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仕事仲間
車内
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少女二人を後部座席へ押し込み、車へ乗り込む。と、天王が慌てて走ってくる姿が目に入った。
本人は全力疾走しているつもりなのだろうが、恐ろしく遅い。しばらくたってから、息を切らした天王が運転席のウインドウガラスを叩く。
「......ち......だか......」
私はため息をつき、ウインドウガラスを下げる。まだ完全に下げ終わらないうちに天王は首を突っ込んできた。
「......ハアハア......言い忘れてたけど、その子達を殺したあとはすぐに連絡をしてほしいんだ。殺し方に指定はないんだけど、眼球は傷つけないように作ってね」
天王はそう言うと首を引っ込めた。私は無言で睨み付けたあと、車を発進させた。
道路を走らせながら、指でハンドルを叩く。作品製作に対してのやる気は、ほとんどなくなってしまっていた。
天王は作品を買い取ってくれる良い奴だが、注文が多いのが気にくわなかった。
殺人を制限されてしまっては最高の作品を作ることはできない。例え結果的に眼球を傷つける必要がなかったとしても、『制限された』事実事態が不愉快なのだ。
私は誰かの為に作品を作っているわけでも、殺人を犯しているわけでもない。だだ純粋に理解したいのだ。
命の尊さを理解するためには命を創造するしかない。しかし私は男性だ。種を植え付けることはできても、命を育むことは不可能だ。
しかし私は生命を理解したかった。ならばどうすればよいのか。答えは簡単だ。逆転させて考えればよい。
命を少しずつ創造し、完成させるのが女性と神の特権ならば、私は完成した命を少しずつ破壊して完成させる。
創造と破壊は表裏一体、破壊なくして創造は起こり得ない。
破壊してこそ命の美しさを完全に、完璧に理解できるはずだ。私は答えに行き着いたのだ。
しかし、破壊の過程を制限されてしまっては完璧な理解などなし得ない。今回に限って言えば、私は『愛情=作品』ではなく『犯罪=人殺し』を犯してしまうことになる。
「............すまないな」
私は後部座席に座っていた少女に心から謝った。
車を駐車場に停め、家の中に入る。
「ぱぱ!おかえりなさい!」
玄関の扉を開けると、待ち構えていたかのように來唯が飛び付いてきた。
「ああ。ただいま」
私はそう言いながら來唯を抱き上げた。
「きゃははは......ってあれだれ?」
來唯が二人の少女を指差した。私は鎖の端を持たせながら説明する。
「これは島崎からのお土産だ。どちらか一つは今日の夜ご飯にするから台所に繋いでおいてくれ」
「うん! わかった!」
來唯は元気に返事をすると、少女二人を引きずるように連れていった。
今回は『作品』になり得ない。が、『食材』にはなり得る。あの少女たちはまだ幼い。幼いからこそ未熟だ。その未熟さを楽しむための料理は、
『人脳』
これしかないだろう。そうと決まれば早速準備を始めなくては。
本人は全力疾走しているつもりなのだろうが、恐ろしく遅い。しばらくたってから、息を切らした天王が運転席のウインドウガラスを叩く。
「......ち......だか......」
私はため息をつき、ウインドウガラスを下げる。まだ完全に下げ終わらないうちに天王は首を突っ込んできた。
「......ハアハア......言い忘れてたけど、その子達を殺したあとはすぐに連絡をしてほしいんだ。殺し方に指定はないんだけど、眼球は傷つけないように作ってね」
天王はそう言うと首を引っ込めた。私は無言で睨み付けたあと、車を発進させた。
道路を走らせながら、指でハンドルを叩く。作品製作に対してのやる気は、ほとんどなくなってしまっていた。
天王は作品を買い取ってくれる良い奴だが、注文が多いのが気にくわなかった。
殺人を制限されてしまっては最高の作品を作ることはできない。例え結果的に眼球を傷つける必要がなかったとしても、『制限された』事実事態が不愉快なのだ。
私は誰かの為に作品を作っているわけでも、殺人を犯しているわけでもない。だだ純粋に理解したいのだ。
命の尊さを理解するためには命を創造するしかない。しかし私は男性だ。種を植え付けることはできても、命を育むことは不可能だ。
しかし私は生命を理解したかった。ならばどうすればよいのか。答えは簡単だ。逆転させて考えればよい。
命を少しずつ創造し、完成させるのが女性と神の特権ならば、私は完成した命を少しずつ破壊して完成させる。
創造と破壊は表裏一体、破壊なくして創造は起こり得ない。
破壊してこそ命の美しさを完全に、完璧に理解できるはずだ。私は答えに行き着いたのだ。
しかし、破壊の過程を制限されてしまっては完璧な理解などなし得ない。今回に限って言えば、私は『愛情=作品』ではなく『犯罪=人殺し』を犯してしまうことになる。
「............すまないな」
私は後部座席に座っていた少女に心から謝った。
車を駐車場に停め、家の中に入る。
「ぱぱ!おかえりなさい!」
玄関の扉を開けると、待ち構えていたかのように來唯が飛び付いてきた。
「ああ。ただいま」
私はそう言いながら來唯を抱き上げた。
「きゃははは......ってあれだれ?」
來唯が二人の少女を指差した。私は鎖の端を持たせながら説明する。
「これは島崎からのお土産だ。どちらか一つは今日の夜ご飯にするから台所に繋いでおいてくれ」
「うん! わかった!」
來唯は元気に返事をすると、少女二人を引きずるように連れていった。
今回は『作品』になり得ない。が、『食材』にはなり得る。あの少女たちはまだ幼い。幼いからこそ未熟だ。その未熟さを楽しむための料理は、
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