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三人目

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 私は部屋へと続く廊下を歩いていた。残っている人間はあの元気そうな女だ。どうやって殺してやろうか。
 方法はいくらでもあるが、久々の殺人だ。楽しく、それでいて芸術的な内容にしたい。
 グチャグチャに犯した後、腹を裂いて隆一くんの性器を子宮に入れてみようか。いや、それとも油で濡らした棒を肛門に挿入して、そのまま立て掛るか。棒は自重で少しずつゆっくりと入り込んでいき、最後には棒の先端が口から飛び出す。その間、作品は絶叫を上げ続けてくれるだろう。その姿を見ながら酒を飲むのも悪くない。

 違うな。

 私は立ち止まると、にやりと笑う。

 確かに絶叫を肴に酒を飲む。これも良いだろう。しかし今回は『肴』にではなく『酒』にしよう。
 中国から伝わった酒に『まむし酒』というものがある。生きたまむしを泥抜きし、口から酒を注ぎ込み、肛門を切り酒を出す。最後に酒につけ二月後に飲む。滋養強壮の効果があるらしい。
 なら、『女酒』でも良いでのはないか? 女に酒を飲ませ肛門を切り酒を出す。腹を裂いて糞を取り除き酒につけてみよう。

 これなら長い期間舌を楽しませることができる。他の人間を殺しながら女酒を飲むことも出来る。それは最高の贅沢ではないか?

 今回の作品は『女酒』を作ろう。そう決めた。ならば必要なものを揃えなければ。大量の酒、ドラム缶、包丁。大丈夫、全てこの屋敷には揃っている。
 私は廊下を歩きながら、美味しくできた酒の味を妄想していた。




 隆一が男の人と出ていって四十分以上が過ぎた。十分が経過した時点で、言われた通りすぐにスマホで電話をかけた。でも電波が悪いのか全然繋がらなかった。部屋の外へ出ようともしたけど、また鍵を掛けられたのか開かなかった。

 深雪は不安になりながらもパニックには陥っていなかった。理由はただ一つ、隆一が『ここにいろ』と言ったからだ。隆一は昔からお調子者だったけど、いざという時は頼りになる男だった。その隆一が『ここにいろ』と言った。だから私は信じてここにいるんだ。
 でも隆一が出て行ってから四十分以上たっている。何かトラブルに巻き込まれていなければいいんだけど......。
 あの男の人も何となく不気味だったし、まだ葵も戻ってこない。二人とも大丈夫かな......。
 不安がどんどん膨らんできていたその時、ドアの鍵がガチャリと音を立てた。

「隆一!? 隆一なの?」

 深雪は立ち上がり、ドアへ駆け寄る。

「すいません。隆一くんは別の部屋にいます。深雪さんでしたよね。貴方も片付けをお願いします。こちらへ来てください」

 男の人はそう言うと廊下を歩いていった。深雪は急いで後を追う。
 やっと隆一に会える。どうせ『掃除大変だよ~』とかぶーたれながら掃除してるんだろう。

「ここです。開けて入ってください」

 男の人はそう言うとドアの前で立ち止まった。深雪は言われた通りにドアノブに手をかけ、開けた。



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