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娘たちの宴
ぶんかい!
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「そうそう、関節の間に刃を入れるのよ」
「こんなかんじ?」
「上手よ。そのまま包丁を引いてみて」
「うわぁすごい! もうゆびとれた!」
「その調子で他の指も切り落としてみて」
「うん! がんばる!」
娘たち二人は隆一くんの分解作業に熱中していた。來唯はいつも好き勝手に壊してばかりだったが、今回は五望に教えてもらいながら解体していた。初めは上手く関節を探せずイライラしていたが、慣れてきたようだった。
指の関節は見つけやすい上、本数も二十本ある。練習にはうってつけだろう。隆一くんも初めは気持ち良さそうに絶叫していたが、声帯を釘で打ち抜いたあと口を縫い付けられてからは一言も話さない。今の隆一くんは話すことも、叫び声を上げることもできなかった。代わりに涙を流し、暴れ、体全体を使って悦びと激痛を表現していた。
娘たちはじっくりゆっくり分解していく。
「おねえちゃん! ぜんぶとった!」
來唯は切り取ったばかりのひとさし指をクチャクチャと噛みながら言った。
「食べちゃ駄目よ! 分解したパーツは全部並べるの!」
五望が慌てて來唯の口からひとさし指を抜いた。肉が唾と共に糸を引いた。
「なんで! いっぱいあるのに!」
來唯は取られた指を素早く奪い返し、綺麗に並べられている指を指差した。五望はため息をつき、首を振った。
「あのね、指は二十本全部揃っているから意味があるの。一つでも欠けてたらおかしいでしょう?」
「おかしくないよ! おいしいよ!」
「なら、代わりに來唯のひとさし指、貰っちゃおうかな。いいよね?」
「............それは...やだな」
來唯はポツリとそう言った後、ひとさし指を五望に渡した。
「はい。ありがとう」
五望はにっこりと笑い、綺麗に並べた。手足の指二十本、全てがシートの上に出揃った。
「......おねえちゃん、ゆびごめんね?」
噛み締めたせいで、一つだけ形がおかしくなったことに気がついたからだろうか? 來唯は五望の手を引き、謝った。
「......いいわよ。それじゃあ、早く続きを始めましょう」
「うん! わかった!」
「っと、その前に......」
五望は包丁を片手に、すでに息絶えている葵に近寄った。慣れた手つきで左右のひとさし指を切断し、持ってくる。
「はい。あとはゴミに出すだけだから、これなら食べてていいわよ」
「おねえちゃん! ありがと!」
來唯はそう言いながら抱きついた後、指を二本くわえ、噛み始めた。
「それじゃ、次は腕を切り落とします。素早く分解しないと出血多量で死んでしまうから、焼けた鉄棒を押し当てて止血しましょう」
「ふぁい! うわっ!」
來唯が元気よく返事をした拍子に、口から指がこぼれ落ちていた。
「こんなかんじ?」
「上手よ。そのまま包丁を引いてみて」
「うわぁすごい! もうゆびとれた!」
「その調子で他の指も切り落としてみて」
「うん! がんばる!」
娘たち二人は隆一くんの分解作業に熱中していた。來唯はいつも好き勝手に壊してばかりだったが、今回は五望に教えてもらいながら解体していた。初めは上手く関節を探せずイライラしていたが、慣れてきたようだった。
指の関節は見つけやすい上、本数も二十本ある。練習にはうってつけだろう。隆一くんも初めは気持ち良さそうに絶叫していたが、声帯を釘で打ち抜いたあと口を縫い付けられてからは一言も話さない。今の隆一くんは話すことも、叫び声を上げることもできなかった。代わりに涙を流し、暴れ、体全体を使って悦びと激痛を表現していた。
娘たちはじっくりゆっくり分解していく。
「おねえちゃん! ぜんぶとった!」
來唯は切り取ったばかりのひとさし指をクチャクチャと噛みながら言った。
「食べちゃ駄目よ! 分解したパーツは全部並べるの!」
五望が慌てて來唯の口からひとさし指を抜いた。肉が唾と共に糸を引いた。
「なんで! いっぱいあるのに!」
來唯は取られた指を素早く奪い返し、綺麗に並べられている指を指差した。五望はため息をつき、首を振った。
「あのね、指は二十本全部揃っているから意味があるの。一つでも欠けてたらおかしいでしょう?」
「おかしくないよ! おいしいよ!」
「なら、代わりに來唯のひとさし指、貰っちゃおうかな。いいよね?」
「............それは...やだな」
來唯はポツリとそう言った後、ひとさし指を五望に渡した。
「はい。ありがとう」
五望はにっこりと笑い、綺麗に並べた。手足の指二十本、全てがシートの上に出揃った。
「......おねえちゃん、ゆびごめんね?」
噛み締めたせいで、一つだけ形がおかしくなったことに気がついたからだろうか? 來唯は五望の手を引き、謝った。
「......いいわよ。それじゃあ、早く続きを始めましょう」
「うん! わかった!」
「っと、その前に......」
五望は包丁を片手に、すでに息絶えている葵に近寄った。慣れた手つきで左右のひとさし指を切断し、持ってくる。
「はい。あとはゴミに出すだけだから、これなら食べてていいわよ」
「おねえちゃん! ありがと!」
來唯はそう言いながら抱きついた後、指を二本くわえ、噛み始めた。
「それじゃ、次は腕を切り落とします。素早く分解しないと出血多量で死んでしまうから、焼けた鉄棒を押し当てて止血しましょう」
「ふぁい! うわっ!」
來唯が元気よく返事をした拍子に、口から指がこぼれ落ちていた。
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