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娘たちの宴

たのしいな!

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 私は部屋の角へ歩いていき、腰を下ろした。今回は見学にまわってしまったが、自分の獲物をしっかり堪能できれば問題はない。

「じゃあ、まだこれいきてるからあそぼ!」

 來唯は五寸釘でつんつんと葵を刺していた。釘を抜くたび、赤い血が丸く膨れ上がる。

「なら、最初の予定通り落としましょう」

「うん!」

 來唯はブンブンと頭を振った後、よろめいていた。

「きもちわるい......」

 そのまましゃがみこんでしまった。

「來唯大丈夫?」

「うん......だいじょぶ......」

 來唯はよろよろと立ち上がり、紐を引っ張り始めた。
 板にくくりつけていた葵が、少しずつ持ち上がっていく。三メートルほど持ち上げたところで五望が落下地点に、釘を敷き詰めた板を敷いた。たくさんの釘たちはしっかりと上を向き、葵を待ち構える。

「これ、ぴたんこすいっちみたい!」

 來唯はにこにこと笑いながらそう言った。

「ピタンコスイッチ? テレビでやってる?」

 五望はそう言いながら來唯に合図を送る。葵は空中に吊られたままぐらぐらと揺れていた。

「うんそれ! ぴッぴぴッぴぴッぴ! ぴた! んこ! すいっち!」

 來唯は紐を離し、支えを失った葵は釘の海へとダイブした。たくさんの釘たちは葵の中へと入り込んでいった。

「きゃははははは!」

「ふふふふ......」

 娘たちは楽しそうに笑う。

「もういっかい! もういっかい!」

 來唯はぐいぐいと紐を引っ張る、葵は身体中の穴から血を噴き出しながら、引き上げられる。真っ赤に染まった釘は、葵に収まりたがってるかのようにきらきらと光輝いていた。

「ピタンコスイッチ!」

 來唯が手を離すと葵と釘はまた出会う。

「ピタンコスイッチ!」

 そしてまた引き離され再度出会わされる。

「ピタンコ......もうあきた! おしまい!」

 來唯はそう言うと私の元へ駆け寄ってきた。

「ちょっと! 後片付けしなさい!」

 五望はこちらに歩いてきながらそう言った。

「さいごまでいたひとがかたづけだよ!」

「來唯が一番遊んでたじゃない!」

「まあまあ喧嘩しないで。それじゃあ次は隆一くんで遊ぼうか」

 私はそう言うと隆一くんを見た。葵が壊されたとも知らず、すやすやと気持ち良さそうに眠っていた。
 次はお前の番だよ。隆一くん。





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