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來唯ちゃんと五望ちゃん

キャンバスの到着

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 私は來唯と五望を部屋に呼んだ。今回の殺し方の確認をする為だ。二人の娘たちは部屋に入ってくると、静かに椅子に座った。

「今日、人間が家に届くはずだ。二人はどんな作品を作るつもりだ?」

 私はそう訊いてみた。

「はい!」

 來唯が元気よく手を上げた。

「......それじゃあ、來唯からどうぞ」

「くゆいはこれでさすの!」

 來唯はポケットから五寸釘を取り出した。いくつかがこぼれ落ち、音を立てた。

「ほら。落としてるわよ」

 五望がため息をつき、五寸釘を拾って來唯に渡した。

「ありがと! おねえちゃん!」

 來唯はにこにこしながらお礼を言った。

 「それで刺すだけか?」

 私は正直失望していた。いくらまだ幼いとはいえ、ここまで殺害の美学を叩き込んできたつもりだった。
 しかし私の失望は裏切られた。來唯は首を振りながら言った。

「ちがうよ! てとあしをしばって、いっぱいくぎをしきつめたうえにおとすの!なんかいも!しぬまで!」

 來唯は手をブンブン振り回しながらそう言った、釘があちこちに飛んでいった。

「なるほど。悪くないな」

 私は感心していた。釘の上に人間を落とすか。來唯がそんな発想をするなんて、子は親が知らないうちに成長するものだな。

「私も決めています!」

 今度は五望が手を上げた。そのまま説明をし始めた。

「今回はみんなで殺すので、ゲーム性を重視しようと思っています。体の部位を書いた紙を順番に引き、出た部位を切り落としていって、殺してしまったら負けです。どうでしょうか?」

「良いと思うぞ」

 私はそう言った。もちろん、この殺し方は五望が自分で考え出したものだ。私は自分がしてきた殺し方は一切伝えていない。
 つまり、五望はあの時点での私と同等に優れているということだ。

「......お前たち。成長したな」

 私は二人を見ながらそう言った。

「ぱぱはどうするの?」

 來唯はそう尋ねてきた。

「私か? 私は一番最後だからな。残った一人に殺した二人を食べさせようと思う。その後体の部品を殺した二人と交換していくんだ。もちろん二人は一切気にせず殺していいぞ。肉塊と化した部位の移植もまた趣がある。どうだ?」

 私はそう答えた。久しぶりの殺人、ブランクもある。今回は少し軽めに仕上げる事にした。

「うん~よくわかんないな」

 來唯は首を傾げ、ぽかんとしていた。どうやらまだ難しかったようだ。

「流石です! 父さん!」

 五望は称賛の言葉を送ってくれた。

「よし! それでは各自道具を準備するように! それと殺人の最中に良いアイデアを思い付いたら、直ぐに実行すること。いいな!」

 私は久々の殺人に気が高ぶっていた。




 二時間後準備が完全に終わり、後は人間の到着を待つだけだった。

「すいませーん!!」

 チャイムが鳴り、若々しく、とても良い絶叫を聴かせてくれそうな声が聞こえてきた。

「ぱぱ~さくひんがきたよ~」

 來唯がそう言いながら私の所へやって来た。

 さて。久しぶりのショーの始まりだ。私は頬を叩き、気合いを入れた。

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