2 / 32
來唯ちゃんと五望ちゃん
次の獲物
しおりを挟む
風呂から上がった來唯と五望は、食卓の椅子に座った。綺麗さっぱり返り血を落とした二人は、フォークとナイフを握りしめる。
「できたぞ。食べなさい」
私は二人の前にステーキを置く。娘たちは美味しそうに肉にかぶり付いた。少し経った後、私は話始める。
「二人ともちょっといいかな?」
「なに?」
「何ですか?」
五望はフォークとナイフを置き、こちらを見る。
「次の人間なんだが、この家に招待したんだ。全部で三人。女が二人と男が一人だ」
私は二人を交互に見ながらそう言った。
「二人? それなら一人余りますね」
五望が不思議そうに首を傾げる。
「じゃあ、くゆいがふたりころす!」
來唯は椅子から立ち上がり、握りしめていたナイフを肉に突き立てた。
「そんなのずるいです! 私が二つ作ります!」
五望も負けじと言い返す。
「まあまあ。今回はみんなで共同製作しようと思うんだがどうかな?」
私は睨みあっている娘たちにそう言った。
「みんなで?」
「共同製作ですか?」
「そうだ。一人一つではではなくで、みんなで三人殺すんだ。面白そうだろう?」
娘たちはしばらく黙った後、ぱあっと笑顔を見せた。
「ぱぱがころすとこみれるの!」
「父さんも参加するんですか!」
二人はほぼ同時にそう言った。きらきらと目を輝かせている。
「ああ。最近は殺していないからな。二人を見ていたら、父さんも殺したくなってしまったんだ」
私は正直にそう言った。最近娘たちの、特に五望の腕がめきめきと上達していた。昔を思いだし、殺したくなってしまっていたのだ。私は話を続けた。
「三人で殺す。つまりみんなで協力して作品を作り上げなければいけない。そこで、一人目は來唯主導、二人目は五望、三人目は父さん、これでどうだろう?」
「うん! おもしろそう!」
「分かりました! 頑張ります!」
「そうか。作品は今度の金曜日に到着する予定だ。それまでに殺害方法を考えておくように」
娘たちはしっかりと頷き、ステーキを食べ始めた。
「父さん、少しお願いがあるんですけど......」
食事の後五望が近寄ってくると、話しかけてきた。
「どうかしたのか?」
「あの、私たちのお母さんって地下に閉じ込められているんですよね?」
「そうだが......それがどうかしたのか?」
五望はもじもじとしながら、小さい声で話始めた。
「......あの......その......母さんを......」
私はしばらく考えた後、思い出す。そういえば約束していたのだった。
「たしか、一人前になったら母さんを殺したいといっていたな」
「そうです! 父さんは前にいっていましたよね。家族を殺すのは他の殺人とは違うと......だから早く経験してみたいんです......まだ駄目ですか?」
五望は私を見上げてくる。
「そうだな......家族を殺したいのなら、父さんでも良いのではないか?」
私はそう言ってみた。さて。どのような反応をするのだろうか。
「......父さんは......その......殺したくないんです」
五望は小さい声でそう言った。
やはりまだ甘いな。私はそう思っていた。
本物の殺人鬼になれば、家族だろうと友達だろうと殺す。私がかつてそうだったからだ。自分の子供も、殺しの才が無いと分かった瞬間全て殺してきた。結局、五望と來唯しか残らなかった。
私は、期待の眼差しで見つめてくる五望に言った。
「まだ早いな。時期は父さんに任せてくれないか?」
「......分かりました」
五望は少し悲しそうに私を見た。
「そんなに落ち込むな。腕は確実に上がってきているんだ」
私は五望の頭を撫でてやる。
「..........うにゃ...」
五望は変な声を出し、ぷるぷる震えていた。
「今日はもう寝なさい」
私は撫で終わるとそう言った。
「分かりました。お休みなさい」
五望は頭を両手で押さえたまま、走り去っていった。
「できたぞ。食べなさい」
私は二人の前にステーキを置く。娘たちは美味しそうに肉にかぶり付いた。少し経った後、私は話始める。
「二人ともちょっといいかな?」
「なに?」
「何ですか?」
五望はフォークとナイフを置き、こちらを見る。
「次の人間なんだが、この家に招待したんだ。全部で三人。女が二人と男が一人だ」
私は二人を交互に見ながらそう言った。
「二人? それなら一人余りますね」
五望が不思議そうに首を傾げる。
「じゃあ、くゆいがふたりころす!」
來唯は椅子から立ち上がり、握りしめていたナイフを肉に突き立てた。
「そんなのずるいです! 私が二つ作ります!」
五望も負けじと言い返す。
「まあまあ。今回はみんなで共同製作しようと思うんだがどうかな?」
私は睨みあっている娘たちにそう言った。
「みんなで?」
「共同製作ですか?」
「そうだ。一人一つではではなくで、みんなで三人殺すんだ。面白そうだろう?」
娘たちはしばらく黙った後、ぱあっと笑顔を見せた。
「ぱぱがころすとこみれるの!」
「父さんも参加するんですか!」
二人はほぼ同時にそう言った。きらきらと目を輝かせている。
「ああ。最近は殺していないからな。二人を見ていたら、父さんも殺したくなってしまったんだ」
私は正直にそう言った。最近娘たちの、特に五望の腕がめきめきと上達していた。昔を思いだし、殺したくなってしまっていたのだ。私は話を続けた。
「三人で殺す。つまりみんなで協力して作品を作り上げなければいけない。そこで、一人目は來唯主導、二人目は五望、三人目は父さん、これでどうだろう?」
「うん! おもしろそう!」
「分かりました! 頑張ります!」
「そうか。作品は今度の金曜日に到着する予定だ。それまでに殺害方法を考えておくように」
娘たちはしっかりと頷き、ステーキを食べ始めた。
「父さん、少しお願いがあるんですけど......」
食事の後五望が近寄ってくると、話しかけてきた。
「どうかしたのか?」
「あの、私たちのお母さんって地下に閉じ込められているんですよね?」
「そうだが......それがどうかしたのか?」
五望はもじもじとしながら、小さい声で話始めた。
「......あの......その......母さんを......」
私はしばらく考えた後、思い出す。そういえば約束していたのだった。
「たしか、一人前になったら母さんを殺したいといっていたな」
「そうです! 父さんは前にいっていましたよね。家族を殺すのは他の殺人とは違うと......だから早く経験してみたいんです......まだ駄目ですか?」
五望は私を見上げてくる。
「そうだな......家族を殺したいのなら、父さんでも良いのではないか?」
私はそう言ってみた。さて。どのような反応をするのだろうか。
「......父さんは......その......殺したくないんです」
五望は小さい声でそう言った。
やはりまだ甘いな。私はそう思っていた。
本物の殺人鬼になれば、家族だろうと友達だろうと殺す。私がかつてそうだったからだ。自分の子供も、殺しの才が無いと分かった瞬間全て殺してきた。結局、五望と來唯しか残らなかった。
私は、期待の眼差しで見つめてくる五望に言った。
「まだ早いな。時期は父さんに任せてくれないか?」
「......分かりました」
五望は少し悲しそうに私を見た。
「そんなに落ち込むな。腕は確実に上がってきているんだ」
私は五望の頭を撫でてやる。
「..........うにゃ...」
五望は変な声を出し、ぷるぷる震えていた。
「今日はもう寝なさい」
私は撫で終わるとそう言った。
「分かりました。お休みなさい」
五望は頭を両手で押さえたまま、走り去っていった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
暗夜の灯火
波と海を見たな
ホラー
大学を卒業後、所謂「一流企業」へ入社した俺。
毎日毎日残業続きで、いつしかそれが当たり前に変わった頃のこと。
あまりの忙しさから死んだように家と職場を往復していた俺は、過労から居眠り運転をしてしまう。
どうにか一命を取り留めたが、長い入院生活の中で自分と仕事に疑問を持った俺は、会社を辞めて地方の村へと移住を決める。
村の名前は「夜染」。
その影にご注意!
秋元智也
ホラー
浅田恵、一見女のように見える外見とその名前からよく間違えられる事が
いいのだが、れっきとした男である。
いつだったか覚えていないが陰住むモノが見えるようになったのは運が悪い
としか言いようがない。
見たくて見ている訳ではない。
だが、向こうは見えている者には悪戯をしてくる事が多く、極力気にしない
ようにしているのだが、気づくと目が合ってしまう。
そういう時は関わらないように逃げるのが一番だった。
その日も見てはいけないモノを見てしまった。
それは陰に生きるモノではなく…。
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-
ジャストコーズ/小林正典
ホラー
※アルファポリス「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」サバイバルホラー賞受賞。群馬県の山中で起こった惨殺事件。それから六十年の時が経ち、夏休みを楽しもうと、山にあるログハウスへと泊まりに来た六人の大学生たち。一方、爽やかな自然に場違いなヤクザの三人組も、死体を埋める仕事のため、同所へ訪れていた。大学生が謎の老人と遭遇したことで事態は一変し、不可解な死の連鎖が起こっていく。生死を賭けた呪いの鬼ごっこが、今始まった……。
美しい骸骨
栗菓子
ホラー
人は死んだら腐りはて、白骨死体と化す。その骸骨に人々はどんな思いを抱いたのか?
ここは或る村で、死んだ家族の墓を数年後掘りおこし、頭蓋骨を泥と死肉を洗い流す。そしてしばらく天日干しする。そうすると白い骸骨が出来上がる。
家族で彼らは仲間の遺体に、丁寧に植物や岩、赤土の溶いた塗料で丁寧に芸術作品を創る儀式が或る。
花や植物の紋様。魔除けの紋様。天空の模様。鳥や獣の模様。
彼らはその骸骨を守り物とし、自然に凍った冷凍の洞窟に収める。
中央には祭壇。食べ物と葬列の花。綺麗な石。貝殻など死者を供養する綺麗な者ばかり集めて供えている。
供養だ。
喪った家族の痕跡、証はこの頭蓋骨の山によって残される。
彼らはそれに安堵し、ああまだいるんだわと錯覚をし、心の安寧を取り戻す。
村だけの祭りは、それぞれの最近死んだ骸骨を取り出し、子供たちに抱かせ村中を回り、美しい景色、先祖の創り出した遺跡などを見せる。
一周した後、洞窟に丁寧に収める。その後で大人も子どもも開放的な祭りが始まる。
その一役をかうのが、骨にまじないの紋様を書く呪術者である。
他にも託宣や、予言をするシャーマンである。
だから、私は愛した。
惰眠
ホラー
一生に一度の本気の愛情を注ぐ。愛するから愛されるわけではないことはわかっている。それでも愛するのって素敵でしょ?すべてを捨てでもいいと思えるほど私にとって貴方は魅力的だってこと、少しはわかって。彼女は精一杯の思いを込めて、愛を捧げた。彼女は一途だった。
貴方も私の心の中を覗きたいみたいね。
もっと狂ってしまえばいいのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる