成長する殺人鬼1(完結)

一二の三太郎

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六章 被害者さんへのお手紙

『七人目』

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 父さんへ

  元気にしていますか? もう会えないので、元気に過ごしているのか、そうでないのか分かりません。残念です。
 俺はまあ、ぼちぼちといった所です。殺した人間の残りカスと面会したり、難しい問題を解いたりしています。

 父さんはいつも遅くまで働いて、家族を養ってくれていましたね。本当にありがとうございます。
 いつも無口でしたが、家族を愛していた事だけは伝わっていましたよ。
 でも、最後の最後で愛情表現の仕方を間違ってしまいましたね。
 本当にあれは驚きました。葵にまたがって楽しむなんて。
 いきなり実の娘を犯すなんて鬼畜の所業ですよ。性欲に負けてしまいましたね。残念です。
 でも、多分葵も悦んでいたと思いますよ。あんなによだれを垂らしていたんですから、間違い無いです。
 それに親近相姦なんて、滅多に体験できる物じゃありません。葵には人生経験の一環として納得してもらうことにしましょう。大丈夫、葵はちゃんと分かってくれますよ。後で手紙を書いておきますね。

 それじゃあ、父さん達を殺した後の話をしますね。父さんと母さん、葵を殺した後、実は彼女ができたんです! 家族と同じように愛し、同じように愛してあげました。あれは本当に良い女でした。五感全てを満足させる事ができる女だったんです。父さんにもあの絶叫を聴かせてあげたかったですよ。
 そしてもう一人女の子を殺そうとしたんです。心咲ちゃんって言う名前の、とっても可愛い女の子です。
 葵や、唯と同じ位の逸材でした。
 ああ、唯っていうのは彼女の名前です。唯一無二の『唯』です。
 でも、心咲ちゃんは殺せませんでした。後少し、もう少し警察官が来るのが遅れていたら、絶対に殺せていたはずなんです。
 本当に勿体なかった。思い出すだけで頭の血管が脈打ちます。
 でも諦めた訳ではありません。絶対にここを脱走して、殺しに行くつもりです。応援していて下さいね。

 父さんも、まさか実の息子に殺されるとは思っていなかったでしょう? 子供は知らない間に成長するものなんです。誇って良いですよ。貴方の息子は、立派に完成しています。もう心配は要りませんよ。これからも、できるだけ人間を殺していきます。見ていてくださいね。

 明弘


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