成長する殺人鬼1(完結)

一二の三太郎

文字の大きさ
上 下
24 / 39
四章 唯ちゃんの好きな人

『唯』爆笑

しおりを挟む
「唯。お肉美味しいね」
 俺は、唯の炙った肉を噛み締めながら話しかけた。しかし、唯は泣きながら小刻みに震えるだけで、話を聞いてくれない。
「ねえ、聞いてる?」
 俺は唯の手を握り、優しく炙っていく。
「いやぁぁぁぁ! いたいぃぃぃ!」
 唯は大声で泣き叫んだ。よほど痛いのだろう。なかなか良い表情をしている。
 まったく。そんなリアクションができるのなら、最初から無視しないで欲しい。
「はい。ちゃんと反応してくれたお礼にお肉をあげるね」
 俺は唯の中に唯を入れようとした。初めは必死に口を閉じていたが、手を炙ってやると大人しく口を開いた。もっとも悲鳴付きだったが。
 大きく開いた口にお肉を放りこみ、優しく命令する。
「噛んで味わった後、飲み込んで」
 唯は涙を流しながら自分自身を味わい、取り込んだ。しかし、そのまま無言で目を閉じてしまった。
「感想は無いの?」
 俺は唯に質問した。
 折角美味しい部分を食べさせてあげたのに、感想を言わないなんて失礼な奴だ。
「......おねがい...もうやめてよ......」
 唯は俺を見つめ、涙で潤んだ瞳で訴えてきた。
「違うでしょ」
 俺は優しく教えてあげることにした。まったく。唯は何も分かってない。
「俺はさっきのお肉の味についての感想を聞いたの。唯が何をして欲しいかなんてどうでもいいんだよ」
 唯は俺の瞳をじっと見つめてきていた。俺はさらに言葉を続けた。
「良く分かって無いみたいだね。じゃあ今から言う事を復唱してね。分かった?」
 唯は話を聞いているのかいないのか、返事をしなかった。
「じゃあ、『とってもお肉美味しかった! もっとちょうだい!』て言って」
「............」
 唯は何も言わない。俺は少しイライラしていた。『五人目』はしっかり話を聞いてくれたのに、唯はいまいち話を聞いていないようだ。
「ねえ! 聞いてる?」
「............」
「おい。聞いてんの? 答えろよ」
「............」
「......もういいや。お前死ねよ」
 俺は、全く言うことを聞かない唯に苛立っていた。彼女にしてやった時にはあんなに喜んでいたくせに、今は彼氏の言うことを全く聞いてない。こいつは俺が思っていた以上に最低な女だ。
 俺は深くため息をつき、持っていたスピリタスの蓋を開け、飲み口を唯の膣に挿入した。
 唯は震えながらも、声は出さず、ごくごくとスピリタスを飲み干した。
 そして空になった瓶を放り投げ、素早くバスバーナーを膣に挿入した。そしてトリガーを握る。
「ギャアアアアアアア!」
 俺が今まで聞いてきた悲鳴の中で、一番うるさい声だった。体を必死によじり、腹を突き上げ、何とかして逃れようと暴れていた。俺は必死でトリガーを握る。絶対に手は離すものか。
 挿入したガスバーナーが唯を壊していく。唯の膣口は焼けただれ、煙を出していた。
 しかし、これは面白い。見た目にはほとんど損傷はないが、内蔵は焼けただれているのだろう。
 俺は、絶叫の合間に「オッオッオッ」と変な声を出している唯を笑いながら観賞し、最終イベントを待った。そして、ついにその時はやって来た。
『ボゥン!』
 何ともいえない音が唯の中から聞こえた。やっとスピリタスが引火したようだ。それと同時に一気に腹が膨れた。
「今だ!」
 俺は勢い良くガスバーナーを抜き取った。
 その瞬間、唯の膣から炎が噴き上がった。まるで、車のマフラーから出てくるアフターファイヤーのようだ。
 火を吹いたせいたろう。唯の腹はすぐに萎み、膣はくすぶった煙を立ち上らせた。中からスピリタスが漏れてくる度に、炎がポッポッポッと不規則に燃え上がる。
「......ブフッ...アハハハハハハ!」
 俺はその滑稽な様子に大爆笑してしまった。思わず膝を叩く。
「『ボゥン!』てなんだよ! しかも『ポッポッポッ』って火まで噴いちゃうし、もう面白すぎ! ブハハハハハ! もうダメ! お腹痛い! ギャハハハハハ!」
 俺は唯をバシバシ叩きながら笑い転げていた。俺の彼女は面白すぎる。最高だ。
 しばらく笑い転げた後、俺は涙を拭きながら立ち上がった。さて。次は唯の妹で遊ぼうかな。
「じゃあね。恋人になっていた期間は短かったけど、本当に楽しかったよ。特に最後なんか......ブフッ...」
 俺は最後に吹き出すと、唯にお別れのキスをし、部屋を出た。よし。これで『九人目』は殺した。次は『十人目』だ。






※(『スピリタス』は、アルコール度数が96パーセントのお酒です。未成年の飲酒は法律で禁止されています。お酒は二十歳になってから飲みましょうね)


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不労の家

千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。  世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。  それは「一生働かないこと」。  世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。  初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。  経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。  望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。  彼の最後の選択を見て欲しい。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

小径

砂詠 飛来
ホラー
うらみつらみに横恋慕 江戸を染めるは吉原大火―― 筆職人の与四郎と妻のお沙。 互いに想い合い、こんなにも近くにいるのに届かぬ心。 ふたりの選んだ運命は‥‥ 江戸を舞台に吉原を巻き込んでのドタバタ珍道中!(違

迷い家と麗しき怪画〜雨宮健の心霊事件簿〜②

蒼琉璃
ホラー
 ――――今度の依頼人は幽霊?  行方不明になった高校教師の有村克明を追って、健と梨子の前に現れたのは美しい女性が描かれた絵画だった。そして15年前に島で起こった残酷な未解決事件。点と線を結ぶ時、新たな恐怖の幕開けとなる。  健と梨子、そして強力な守護霊の楓ばぁちゃんと共に心霊事件に挑む!  ※雨宮健の心霊事件簿第二弾!  ※毎回、2000〜3000前後の文字数で更新します。  ※残酷なシーンが入る場合があります。  ※Illustration Suico様(@SuiCo_0)

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

いつもと違う日常

k33
ホラー
ある日 高校生のハイトはごく普通の日常をおくっていたが...学校に行く途中 空を眺めていた そしたら バルーンが空に飛んでいた...そして 学校につくと...窓にもバルーンが.....そして 恐怖のゲームが始まろうとしている...果たして ハイトは..この数々の恐怖のゲームを クリアできるのか!? そして 無事 ゲームクリアできるのか...そして 現実世界に戻れるのか..恐怖のデスゲーム..開幕!

最終死発電車

真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。 直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。 外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。 生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。 「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!

処理中です...