成長する殺人鬼1(完結)

一二の三太郎

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四章 唯ちゃんの好きな人

『唯』遊戯

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 俺は家族全員を蔵に閉じ込めた後、早足で自分の部屋に向かっていた。
 流石に、早く唯と遊ばないと時間が足りなくなってしまう。いくら日本の警察でも、俺の周りでこれだけの死者を出せば、疑われてしまうのは間違いない。その前に唯と、その妹、そして幼稚園児を大量に殺さなければならない。なかなかのハードスケジュールだ。それさえ終わってしまえば、後は逃げるだけだ。各地を旅しながら気が向いた時間に、気が向いた人間を殺していこう。そうだ。47都道府県殺人ツアーを開催しようか。
 俺は自分の部屋の前に立つと深く深呼吸をし、ドアを開けた。

 ドアを開けると、唯が怯えた表情で俺を見上げてくる。やっと目が覚めたか。
「ごめん。遅くなっちゃった。それじゃあ遊ぼうか」
 俺は優しく唯に近づくと、頭を撫でてやった。しかし、唯は落ち着くどころか、ますます体を激しく震えさせた。
「大丈夫? 今からその調子じゃ体が持たないよ?」
 俺はにっこりと微笑む。すると唯が、震える声を絞り出した。
「......あ......明弘が私を縛り付けたの?」
 涙を溜めたその目は、恐怖と期待が混ざったような、何ともいえない光を放っていた。
 俺がその光を奪ってやる。
「そうだよ。唯。お前にはここで死んでもらう。俺の為に死ね」
 優しく、じっくりと目を見ながら話す。まだ、唯の目には光が灯っていた。
「なにか、なにか理由があるんでしょ? 私に話してみてよ? ね、お願い......」
 唯はすがるような視線で俺を見てくる。
 そうか。こいつは俺を理解しようとしてくれているのか。ならば、話すしかないな。
「実は俺、殺人を理解するために、たくさんの人を殺してるんだ。透を殺したのも俺だし、車に乗っていた女の子を殺したのも俺。拾ってきた高校生も殺したし、家族も全員殺した。君も今から殺すし、君の妹も殺すつもりだよ。そうだ、君が死んだら、彼女として両親に挨拶してきてくれないか」
 俺がそう言うと、唯は泣きながら質問してきた。
「なんで! なにが? 意味わかんないよ!」
 混乱したように頭を振り続ける唯。それを見ながら俺は落胆していた。
 もしかしたら、唯も俺の考えに賛同し、
「そうなの......真理追求の為ならしょうがないね。私を殺してください」
 と、言ってくれるかもしれないと期待したのに。
 俺は大きくため息をつき、今回の『遊び』に使う道具を用意し始めた。
 ナイフ、ライタ、マッチ、キャンプ用のガスバーナ、替えのボンベ、塩、焼き肉のタレ、ポン酢、スピリタス。
 俺はライターを持って唯に近づいていった。しかし、そこでうっかり忘れていたことを思い出した。
 そういえば、俺は唯と付き合っていたんだった。唯も死ぬ前に恋人とセックスしたいだろう。
 俺はライターを床に置き、代わりにナイフを掴んだ。そして、震える唯の服を剥ぎ取り始めた――

 ――俺は、なにも着ていない唯の上で射精した。放たれた精子は、全て唯の膣が受け止めてくれた。どうやら射精した瞬間は相手にも分かるらしい。俺が射精した瞬間、唯が小刻みに震え始めた。
 俺は今だ膨張したままの股間を引き抜いた。二人を繋いでいた性器は離れ、糸を引いた。唯は小さな声でうめき、膣から精子を吐き出した。
 俺は唯から降りるとまじまじとその体を見つめた。
 しかし、葵とは全く違う体だ。全体的に脂肪がついているのか、ムッチリとしていて、乳房は中から押されているように張っていた。
 乳首は葵と比べたら少し暗めで、恥丘には、密林のような陰毛が生えていた。葵の時には丸見えだったワレメも、ほとんど隠れてしまっている。
 さて。
 俺は気を取り直し、服を着た。唯は裸で縛り付けられたまま、泣いていた。これからが本番だ。俺はライターに火をつけた。『シュボッ』と音をたて、オレンジ色の炎が現れた。
 唯の左足をしっかりと掴み、小指を優しく炙っていく。
 唯の絶叫と共に、小指に水ぶくれが現れてきた。俺はじっくりしっかり炙っていく。
 俺の耳は唯の絶叫で、鼻は唯の香りで満たされていった。口からは、この後満たされるであろう舌が唾を出し続けていた。
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