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二章 明弘くんの覚醒
『粗悪品』刑事
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秋山透が、殺された可能性が高いとふんだ石田警部は、とりあえず聴き込みをすることにした。
茂野には、被害者の女の子と、秋山透の部屋から見つかったオイル缶について調べさせている。
あいつがどこまで出来るか分からないが、これも勉強、一人で調べさせることにした。
「すいません。警察です。開けてもらえませんか?」
石田警部はそう言いながら、チャイムを押す。ここは被害者の友人、たしか名前は明弘君だ。秋山透の母から聞いた話では、一番仲が良かったらしい。『ガチャリ』とドアが開き、中から男が出てくる。
「はい。なんでしょうか?」
この男が明弘君だろうか?目線が私とほぼ一緒、身長は私とあまり変わらないぐらいだろう。ほっそりとした体型で、女の子のような顔つきだ。今の若者はこんな顔が多いな。石田警部はそう思いながら質問する。
「ここは明弘君の自宅と聴いていたのですが、貴方が明弘君で間違いないですか?」
その男性は髪をかきあげながら、返事をする。
「そうですが? なにか?」
「言いにくいことなんですが、透くんの亡くなった事件について伺いたいんですが」
「いいですよ。外で話すのも何ですし、中に入りませんか?」
「有難うございます。お邪魔します」
石田警部は家の中に入り、中を観察する。今時の若者には珍しく、あまり何もない、殺風景な部屋だった。家具といえば、パソコンと、テレビ位しかない。丸見えのキッチンを見ると、テーブルはあるのに椅子はない。
不思議に思った石田警部は明弘君に質問する。
「綺麗な部屋ですね。しかし、なぜキッチンのテーブルには椅子がないんですか?」
「ああ、実は最近椅子が壊れてしまったんですよ。結構丈夫で役に立ったんですけど、壊れてしまって。あと、敬語は使わなくても良いですよ。堅苦しいのはあまり好きではないので」
明弘君はそう言いながら、椅子があったであろうキッチンを目を細めながら見る。
早速、石田警部は明弘君に質問を始めた。
「明弘君。実は透君のことで、少し聴きたいことがあるんだけど」
「いいですよ。何でしょうか」
「実は昨日透君の部屋を調べていたんだけど、少し気になるものが見つかってね」
石田警部は、持ってきていたオイル缶の写真を、明弘君の前にそっと置いた。
「実はこんなものが見つかってね。何か心当たり無いかな?」
「いや、特に無いですね」
明弘君は、オイル缶の写真を確認した後、首を横にふる。
「そうか。まだこれは誰にも言っていないのだが、実は透君は殺されたんじゃないかと思っている」
「なぜそう思うんですか?」
明弘君の目が鋭くなったような気がした。獣の目、とでも言うのだろうか。そう思いながら石田警部は答える。
「透君が崖から落ちた現場に、不自然な点が多々あったんだ。まだ確実な証拠は無いが、私はそう思っている」
「そうですか......」
明弘君はうつむきながら、呟くようにそう言った。その時、石田警部にある疑問が生じる。
普通、親友が自殺して、警察から他殺かもしれないと聴かされた時、こんな対応をするのだろうか? もっと取り乱すものではないのか?
「明弘君は結構冷静なんだね」
そう言うと明弘君の目が泳ぐ。やはり何が知っているのか?石田警部はそう思った。
「いえ、そんなことは無いですよ。ただ、透は車で海に落ちていたらしいし、ガードレールに加速しながら、突っ込んでいたそうじゃ・・・」
明弘君がそこまで言ったところで、石田警部の電話がなった。断りをいれて電話に出る。
「はい、石田です」
「あっ、茂野です。オイル缶についで分かったことがあったので、電話しました!」
全くタイミングの悪い奴だ。石田警部はそう思いながら、明弘君に話を聞かれないように、背を向ける。
「実は、あのオイル缶についていた指紋は二種類あるそうです。一つは透くんの指紋、もう一つは誰のものか分からないそうです。あと関係があるが分かりませんが、オイルを使ったイタズラが最近起こっています。ジャンルジムにオイルを塗る、というものです。被害者は死亡しており、ゲーム機を持っていたそうです」
「わかった。すくそっちに行く」
オイル缶の指紋は、恐らく犯人のものだろう。それに茂野が言っていたイタズラも気になる。透君の家にはオイル缶の他に、充電器の様なものがあった。あれはもしかしてゲーム機のものではないだろうか。調べてみる必要がありそうだ
「すいません。少し急用が出来ました。帰りますね」
そう言いながら小走りで玄関に向かう。ドアノブに手を掛けた瞬間、石田警部は電話を取る直前の明弘君との会話を思い出していた。
『透は車で海に落ちていたらしいし、ガードレールに加速しながら、突っ込んでいったそうじゃ......』
なぜ明弘君が、『車が加速』したことを知っているんだ?テレビでは一応ニュースになっているが、ただの自殺としか報道していないはず。遺族にも伝えていない。まさか......石田警部は振り返り、質問しようとした。
『ガツン!!』
しかし、言葉を発する前に、何者かに頭を叩かれ、うずくまるように崩れ落ちた。
「お前はまだ殺さない。予定が詰まっているんだ......」
石田警部はその声を聞くと、気を失ってしまった。
俺は刑事を気絶させると、ガムテープで動けないように全身をぐるぐる巻きに固定し、風呂場へ投げ入れた。
「ウグッ」
とくぐもった声を出し、無様に床を転がる。そこでふと俺はいいアイデアを思い付き、買っておいたカッターナイフの刃でこいつと遊ぶことにした。
俺はカッターの刃を刑事の足爪の隙間に入れ込んで遊ぶことにした。まず爪と肉の間に優しく刃を刺し込んだ後、勢いよく押し込んでみた。
「グァァァァ!」
刑事のリアクションは及第点だったが、失敗してしまった。あまりにも勢いよく押し込んでしまったせいで、爪もろとも肉が剥がれ落ちてしまった。これは美しくない。
失敗から学び、次はそっと壊れ物を扱うように少しずつ押し込んでいく。刃を持つ手に、肉を斬る『プツプツ』と何とも言えない感触が伝わって来る。
そして爪の甘皮ギリギリまで刃を滑らせ、勢いよく刃を起こす。
ベリッと音がして爪が垂直に立ち上がり、血が溢れ床を濡らした。
しかし俺は落胆していた。あまりにも『五人目』が素晴らし過ぎたせいか、全く感動も興奮もしない。
まあ、『五人目』とこのゴミを比べる方が失礼というものだ。『五人目に』怒られてしまう。
そう思いながら、今度はカッターの刃をガムテープの隙間から見えていた肌へ刺すことにした。
まずは目についた太ももにゆっくりと刺していく。
肌の張力が、最後の抵抗とばかりに刃を押し返す。そこからさらに力を入れると、『プッ』と妙な手応えを感じた。すると切れた皮膚から、血液が待っていたかのように玉を作りはじめた。柔らかい肉は鉄に勝てない。少しずつ押していく度に『ズルズル』と肉が刃を吸い込んでいく。代わりに、真っ赤な血液が決壊寸前のダムのように溢れ出してくる。
『コツン』と手応えを感じ、刃が止まる。強めに押し込んでも動く気配が無い。どうやら骨まで達したようだ。
俺はそこで諦め、他の部位で遊ぶことにした。次は目だ。
刑事を仰向に寝かせ、丁度目にかかっていたガムテープをはがす。中から怯えた眼球が二個現れた。
「どちらにしようかな」
俺は迷った挙げ句、左目に刺すことにした。ゆっくりと刃を近づけると、瞳孔が緊張したように収縮していた。
「ンンンンンンン!」
テープで巻かれた刑事はまるで芋虫のように暴れる。俺は馬乗りになり、まぶたを無理矢理開きながら刃を差し込んだ。
思ったよりも抵抗なく刺さっていく。すると俺の下にいる刑事が痙攣したように震え始めた。どうやら泣いているようだ。流した血と涙が、綺麗な色を彩っていた。
俺は最初、泣いている理由が解らなかったが、すぐに自分が犯した間違いに気がついた。
うっかりしていた。左目を刺そうとしておきながら、俺から見て左を刺してしまった。あくまで主役は殺される側、これは譲れないポリシーだ。
流石に申し訳ない気持ちになり、刑事から見て左も刺してあげようと押さえつける。
「刑事さん。この景色が貴方が見ることになる最後の景色です。堪能して下さいね」
俺は間違えたお詫びにしっかりと風呂場の天井を見せてやると、眼球に刃を差し込んだ。
今回は目の中心ではなく、ぐるっと縁を一周させるように切れ込みを入れていく。最初に切れ込みを入れた所に最後の刃が到着すると、眼球をえぐり出そうとした。
が、ぶっつけ本番のせいか、ただ一周切れ込みが入っただけで眼球が取れはしなかった。
やっぱり面白くない。
俺は目の前にある動く針山にカッターの刃を刺し込みながら、こんなゴミよりも『六人目』『七人目』『八人目』を殺す準備をしようと考えていた。
茂野には、被害者の女の子と、秋山透の部屋から見つかったオイル缶について調べさせている。
あいつがどこまで出来るか分からないが、これも勉強、一人で調べさせることにした。
「すいません。警察です。開けてもらえませんか?」
石田警部はそう言いながら、チャイムを押す。ここは被害者の友人、たしか名前は明弘君だ。秋山透の母から聞いた話では、一番仲が良かったらしい。『ガチャリ』とドアが開き、中から男が出てくる。
「はい。なんでしょうか?」
この男が明弘君だろうか?目線が私とほぼ一緒、身長は私とあまり変わらないぐらいだろう。ほっそりとした体型で、女の子のような顔つきだ。今の若者はこんな顔が多いな。石田警部はそう思いながら質問する。
「ここは明弘君の自宅と聴いていたのですが、貴方が明弘君で間違いないですか?」
その男性は髪をかきあげながら、返事をする。
「そうですが? なにか?」
「言いにくいことなんですが、透くんの亡くなった事件について伺いたいんですが」
「いいですよ。外で話すのも何ですし、中に入りませんか?」
「有難うございます。お邪魔します」
石田警部は家の中に入り、中を観察する。今時の若者には珍しく、あまり何もない、殺風景な部屋だった。家具といえば、パソコンと、テレビ位しかない。丸見えのキッチンを見ると、テーブルはあるのに椅子はない。
不思議に思った石田警部は明弘君に質問する。
「綺麗な部屋ですね。しかし、なぜキッチンのテーブルには椅子がないんですか?」
「ああ、実は最近椅子が壊れてしまったんですよ。結構丈夫で役に立ったんですけど、壊れてしまって。あと、敬語は使わなくても良いですよ。堅苦しいのはあまり好きではないので」
明弘君はそう言いながら、椅子があったであろうキッチンを目を細めながら見る。
早速、石田警部は明弘君に質問を始めた。
「明弘君。実は透君のことで、少し聴きたいことがあるんだけど」
「いいですよ。何でしょうか」
「実は昨日透君の部屋を調べていたんだけど、少し気になるものが見つかってね」
石田警部は、持ってきていたオイル缶の写真を、明弘君の前にそっと置いた。
「実はこんなものが見つかってね。何か心当たり無いかな?」
「いや、特に無いですね」
明弘君は、オイル缶の写真を確認した後、首を横にふる。
「そうか。まだこれは誰にも言っていないのだが、実は透君は殺されたんじゃないかと思っている」
「なぜそう思うんですか?」
明弘君の目が鋭くなったような気がした。獣の目、とでも言うのだろうか。そう思いながら石田警部は答える。
「透君が崖から落ちた現場に、不自然な点が多々あったんだ。まだ確実な証拠は無いが、私はそう思っている」
「そうですか......」
明弘君はうつむきながら、呟くようにそう言った。その時、石田警部にある疑問が生じる。
普通、親友が自殺して、警察から他殺かもしれないと聴かされた時、こんな対応をするのだろうか? もっと取り乱すものではないのか?
「明弘君は結構冷静なんだね」
そう言うと明弘君の目が泳ぐ。やはり何が知っているのか?石田警部はそう思った。
「いえ、そんなことは無いですよ。ただ、透は車で海に落ちていたらしいし、ガードレールに加速しながら、突っ込んでいたそうじゃ・・・」
明弘君がそこまで言ったところで、石田警部の電話がなった。断りをいれて電話に出る。
「はい、石田です」
「あっ、茂野です。オイル缶についで分かったことがあったので、電話しました!」
全くタイミングの悪い奴だ。石田警部はそう思いながら、明弘君に話を聞かれないように、背を向ける。
「実は、あのオイル缶についていた指紋は二種類あるそうです。一つは透くんの指紋、もう一つは誰のものか分からないそうです。あと関係があるが分かりませんが、オイルを使ったイタズラが最近起こっています。ジャンルジムにオイルを塗る、というものです。被害者は死亡しており、ゲーム機を持っていたそうです」
「わかった。すくそっちに行く」
オイル缶の指紋は、恐らく犯人のものだろう。それに茂野が言っていたイタズラも気になる。透君の家にはオイル缶の他に、充電器の様なものがあった。あれはもしかしてゲーム機のものではないだろうか。調べてみる必要がありそうだ
「すいません。少し急用が出来ました。帰りますね」
そう言いながら小走りで玄関に向かう。ドアノブに手を掛けた瞬間、石田警部は電話を取る直前の明弘君との会話を思い出していた。
『透は車で海に落ちていたらしいし、ガードレールに加速しながら、突っ込んでいったそうじゃ......』
なぜ明弘君が、『車が加速』したことを知っているんだ?テレビでは一応ニュースになっているが、ただの自殺としか報道していないはず。遺族にも伝えていない。まさか......石田警部は振り返り、質問しようとした。
『ガツン!!』
しかし、言葉を発する前に、何者かに頭を叩かれ、うずくまるように崩れ落ちた。
「お前はまだ殺さない。予定が詰まっているんだ......」
石田警部はその声を聞くと、気を失ってしまった。
俺は刑事を気絶させると、ガムテープで動けないように全身をぐるぐる巻きに固定し、風呂場へ投げ入れた。
「ウグッ」
とくぐもった声を出し、無様に床を転がる。そこでふと俺はいいアイデアを思い付き、買っておいたカッターナイフの刃でこいつと遊ぶことにした。
俺はカッターの刃を刑事の足爪の隙間に入れ込んで遊ぶことにした。まず爪と肉の間に優しく刃を刺し込んだ後、勢いよく押し込んでみた。
「グァァァァ!」
刑事のリアクションは及第点だったが、失敗してしまった。あまりにも勢いよく押し込んでしまったせいで、爪もろとも肉が剥がれ落ちてしまった。これは美しくない。
失敗から学び、次はそっと壊れ物を扱うように少しずつ押し込んでいく。刃を持つ手に、肉を斬る『プツプツ』と何とも言えない感触が伝わって来る。
そして爪の甘皮ギリギリまで刃を滑らせ、勢いよく刃を起こす。
ベリッと音がして爪が垂直に立ち上がり、血が溢れ床を濡らした。
しかし俺は落胆していた。あまりにも『五人目』が素晴らし過ぎたせいか、全く感動も興奮もしない。
まあ、『五人目』とこのゴミを比べる方が失礼というものだ。『五人目に』怒られてしまう。
そう思いながら、今度はカッターの刃をガムテープの隙間から見えていた肌へ刺すことにした。
まずは目についた太ももにゆっくりと刺していく。
肌の張力が、最後の抵抗とばかりに刃を押し返す。そこからさらに力を入れると、『プッ』と妙な手応えを感じた。すると切れた皮膚から、血液が待っていたかのように玉を作りはじめた。柔らかい肉は鉄に勝てない。少しずつ押していく度に『ズルズル』と肉が刃を吸い込んでいく。代わりに、真っ赤な血液が決壊寸前のダムのように溢れ出してくる。
『コツン』と手応えを感じ、刃が止まる。強めに押し込んでも動く気配が無い。どうやら骨まで達したようだ。
俺はそこで諦め、他の部位で遊ぶことにした。次は目だ。
刑事を仰向に寝かせ、丁度目にかかっていたガムテープをはがす。中から怯えた眼球が二個現れた。
「どちらにしようかな」
俺は迷った挙げ句、左目に刺すことにした。ゆっくりと刃を近づけると、瞳孔が緊張したように収縮していた。
「ンンンンンンン!」
テープで巻かれた刑事はまるで芋虫のように暴れる。俺は馬乗りになり、まぶたを無理矢理開きながら刃を差し込んだ。
思ったよりも抵抗なく刺さっていく。すると俺の下にいる刑事が痙攣したように震え始めた。どうやら泣いているようだ。流した血と涙が、綺麗な色を彩っていた。
俺は最初、泣いている理由が解らなかったが、すぐに自分が犯した間違いに気がついた。
うっかりしていた。左目を刺そうとしておきながら、俺から見て左を刺してしまった。あくまで主役は殺される側、これは譲れないポリシーだ。
流石に申し訳ない気持ちになり、刑事から見て左も刺してあげようと押さえつける。
「刑事さん。この景色が貴方が見ることになる最後の景色です。堪能して下さいね」
俺は間違えたお詫びにしっかりと風呂場の天井を見せてやると、眼球に刃を差し込んだ。
今回は目の中心ではなく、ぐるっと縁を一周させるように切れ込みを入れていく。最初に切れ込みを入れた所に最後の刃が到着すると、眼球をえぐり出そうとした。
が、ぶっつけ本番のせいか、ただ一周切れ込みが入っただけで眼球が取れはしなかった。
やっぱり面白くない。
俺は目の前にある動く針山にカッターの刃を刺し込みながら、こんなゴミよりも『六人目』『七人目』『八人目』を殺す準備をしようと考えていた。
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