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二章 明弘くんの覚醒
『五人目』監禁
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俺はゆっくりと『五人目』に近づいていった。
『五人目』は怯えた表情を顔面に張り付かせ、目は見開かれ、足はまるで貧乏揺すりしているかのように震えている。無理もない。いきなり知らない男に連れ去られ椅子に縛られ、殺すと言われる。失禁してないだけまだましだというものだ。
「今から猿ぐつわを外す。もし大声を上げたら殺す。大丈夫、質問に答えてくれればすぐに解放する」
『五人目』はこくこくと泣きながら首を動かしている。まるで壊れたおもちゃのようだ。
俺は猿ぐつわをはずし質問した。
「好きな人はいるの?」
「............」
「答えなかったら刺すよ」
『五人目』は金切り声で叫ぶようにして答えた。
「同じ!クラスの! 卓也くんです!」
「どんなところが好きなの?」
「やさしくて......カッコいいところ......」
声に元気がなくなり再び泣き出した。構わず質問を続けていく。
「家族構成は?」
「お父さんとお母さんと妹の四人家族です......」
「妹さんの名前は?」
「............」
「答えないと刺す。三回目はないよ」
「......望結です」
「君の名前を聞いてなかったね。名前は?」
「希美です......」
「じゃあ希美ちゃん。将来の夢は?」
「幼稚園の......先生......」
一段と泣き声が大きくなる。俺は慌ててビンタした。『五人目』はびっくりしたのかパニックを起こし暴れ始め、椅子が前後左右に激しく揺れる。俺は叫び声をあげられないように無理やり猿ぐつわを噛ませ、話しかける。
「ごめんなさい。つい手が出てしまいました。次の俺の話を聞いたら解放しますから落ち着いてください。」
『五人目』はゆっくりと頷いた。
「よく聞いてくださいね」
声が出せない為また頷いた。『解放しますから』と言ったからか、安堵の表情を見せる。
俺はできるだけ優しく話しかけた。
「解放するといったのは嘘です。貴方は間違いなく死にます。俺が殺す『過程』を経るからです。貴方の命は持って後二日です。ご愁傷さまです」
『五人目』はとたんに暴れだした。椅子が倒れ、痙攣している。顔は恐ろしいほど白く、白目を向いて鼻水か涙か顔がぐちゃぐちゃになっている。俺は優しく椅子を起こし話しかける。
「希美ちゃん?」
しかし気絶したのか返事がない。とりあえず二発ビンタして意識を取り戻させた。
「希美ちゃん、実はこの部屋はこの間証拠を消すために掃除したばっかりなんだ。だから希美ちゃんとは他の場所で遊ぶことにするよ。一緒にそこまでドライブに行こうか」
俺はそう言うと出掛ける準備を始めた。
今から帰ると母に電話をした。久々の里帰りだ。運転している車の後部座席には大きな風呂敷で包んだ『五人目』を乗せている。椅子に縛り付けたまま包んだのですごい大荷物に見える。
俺はこれからの予定を『五人目』に伝えた。
「これから俺の実家に行くよ。そこの離れにある蔵で一緒に遊ぼっか。丈夫な蔵だから叫び声も聞こえないだろうし最適だ」
聞いているのかいないのか風呂敷で包まれた『五人目』は全く反応しなかった。
日も暮れ、辺りも暗くなってしまった。ようやく実家に着いた頃には完全に日が沈んでいた。
俺の実家ははっきり言って『ど』がつくほどの田舎にある。俺の住んでいるアパートから車で三時間ほどだ。とりあえず車を蔵の前まで運転し、持ってきた懐中電灯で照らす。時代劇なんかで出てきそうな大きな蔵で、小さい頃には宝探しをしていた場所だ。もっともがらくたしかなかったが。
俺は蔵の扉を明け中を照らした。中はかび臭く、俺が遊んでいた時とほとんど変わっていない。
蔵の一番奥へ歩いていくと、床に一メートル四方の蓋がしてある。その蓋に付いている取っ手を思いっきり引っ張った。
『ギギギッ』
と、音を立てながら床の扉が開いてくる。完全に開くと中へ入っていった。
中は意外と広く、五メートル四方くらい、高さは二メートルほどだ。天井の扉からは梯子が降りている。
懐中電灯で照らしながら電灯のスイッチをつける。パチッとスイッチをつけると最初は暗かった電灯がじわじわと明るくなってくる。電気はまだ生きていたようだ。
俺はすぐに車へ戻り、『五人目』を風呂敷のまま担いで蔵へ入った。地下の部屋へ入れる時に少し落としてしまったが大丈夫だろう。
風呂敷を開けると『五人目』が出てきた。目を開いたまま、涙を流しピクリともしない。とりあえず『五人目』を中央に置き、猿ぐつわをとってペットボトルに入った水を無理やり飲ませた。
「ゲホッ ガホッ」
『五人目』がむせている。しかしこれで脱水症状になることはない。猿ぐつわを噛ませていないのに叫びもしないことを不思議に思いながら念のため再度、猿ぐつわを噛ませる。電気を消し、天井の扉を閉め俺は蔵から出た。
その後、何事もなかったかのように車を家駐車場に止め、玄関を開けた。
「ただいま。帰ってきたよ」
部屋の向こうから母が顔を出した。
母がこちらに走ってきながら声をかける。
「明弘あんた、帰ってくるならくるでもっと早く連絡しなさいよ~。お父さんと葵もいるからゆっくりしていきなさい」
とりあえず居間へ入ると父と葵がテレビを見ているところだった。
「......おう」
父が俺を見ながら右手をあげる。元々無口な父はあまり喋らない。いつもこんな感じだ。
「お兄ちゃんお帰り~」
いきなり後ろから葵が飛び付いてくる。こいつは俺の妹だ。いつまでたっても兄離れ出来ずにいる。
ひとり暮らしするときも最後まで泣いて嫌がっていた。
「いつまで?いつまでいるの?」
葵が嬉しそうに聞いてくる。まるで子犬のようだ。
「まあ大学もあるし、三日位かな」
そう答え葵の顔を見ると、とても嬉しそうだ。
「今日はお兄ちゃんと一緒に寝よっかな~」
葵がにこにこ笑いなからそう言うと、玄関から戻ってきた母が呆れたように言った。
「あんたもう中学二年生になるんだから、そろそろ兄離れしなさいよ」
「いいじゃんべつに~お兄ちゃん大好きだもん!!」
恥ずかしげもなくそう言うと、にこにことこっちを見てくる。
俺は逃げるように元々使っていた自分の部屋に入っていった。
中へ入るとドアを閉め、部屋を見回す。俺がここを出て行った時と全く変わっていない。疲れていた俺はベットに入った。
ベットに入ってすぐにドアをノックする音がする。
「どうぞ」
と声をかけるとドアが開き、枕を持ったパジャマ姿の葵が立っていた。
「お兄ちゃん、一緒に寝てもいい?」
手を後ろに組み、頭を少しかしげながら聞いてきた。
少し考えて俺は布団の端を持ち上げた。
「わかったよ。ほら、おいで」
妹は嬉しそうにこちらに走ってきて布団に潜り込んだ。手足を俺に絡めてくる。
「タコかお前は」
俺が葵の肩に手をまわしながらそう言うと、嬉しそうに笑い、俺の胸元に顔を埋めてきた。
疲れていた俺は最初葵を見ていたが、まぶたが重くなり、目を閉じた。
「『六人目』、『七人目』、『八人目』か......」
そう考え始めた所で記憶が途切れた。
朝起きると、懐かしい天井が目に入った。そうだ。実家に里帰りをしているんだった。
横を見ると、葵が俺の服によだれをなすりつけてきている。
「葵!起きろ! 俺の服によだれを着けるんじゃない!」
「......お兄ちゃん? 何でいるの?」
寝ぼけた目を擦りながら上半身を起こしている。服がめくれて下着が丸見えだ。
「寝ぼけてるんじゃない!服も直せ!」
葵の肩を持って前後に揺さぶる。やっと目が覚めてきたみたいた。
「お兄ちゃん! そうだ昨日帰って来たんだ!」
そう言うと葵は抱きついてきた。俺の腰に手を回す。
俺は目の前にある頭を優しく撫でながら言った。
「早く顔を洗って来たらどうだ。今日学校だろう?」
「学校休むもん!」
「バカなこと行ってないで準備しなさい」
結局、葵が帰ってきたら目いっぱい遊ぶと約束をさせられた。しょうがないやつだ。
「いつ帰ってくるんだ?」
「う~ん、部活もあるから夕方の6時位かな」
そう言い残し、葵は居間に走っていった。
「おかーさーん今日の朝ご飯なに~」
『五人目』は怯えた表情を顔面に張り付かせ、目は見開かれ、足はまるで貧乏揺すりしているかのように震えている。無理もない。いきなり知らない男に連れ去られ椅子に縛られ、殺すと言われる。失禁してないだけまだましだというものだ。
「今から猿ぐつわを外す。もし大声を上げたら殺す。大丈夫、質問に答えてくれればすぐに解放する」
『五人目』はこくこくと泣きながら首を動かしている。まるで壊れたおもちゃのようだ。
俺は猿ぐつわをはずし質問した。
「好きな人はいるの?」
「............」
「答えなかったら刺すよ」
『五人目』は金切り声で叫ぶようにして答えた。
「同じ!クラスの! 卓也くんです!」
「どんなところが好きなの?」
「やさしくて......カッコいいところ......」
声に元気がなくなり再び泣き出した。構わず質問を続けていく。
「家族構成は?」
「お父さんとお母さんと妹の四人家族です......」
「妹さんの名前は?」
「............」
「答えないと刺す。三回目はないよ」
「......望結です」
「君の名前を聞いてなかったね。名前は?」
「希美です......」
「じゃあ希美ちゃん。将来の夢は?」
「幼稚園の......先生......」
一段と泣き声が大きくなる。俺は慌ててビンタした。『五人目』はびっくりしたのかパニックを起こし暴れ始め、椅子が前後左右に激しく揺れる。俺は叫び声をあげられないように無理やり猿ぐつわを噛ませ、話しかける。
「ごめんなさい。つい手が出てしまいました。次の俺の話を聞いたら解放しますから落ち着いてください。」
『五人目』はゆっくりと頷いた。
「よく聞いてくださいね」
声が出せない為また頷いた。『解放しますから』と言ったからか、安堵の表情を見せる。
俺はできるだけ優しく話しかけた。
「解放するといったのは嘘です。貴方は間違いなく死にます。俺が殺す『過程』を経るからです。貴方の命は持って後二日です。ご愁傷さまです」
『五人目』はとたんに暴れだした。椅子が倒れ、痙攣している。顔は恐ろしいほど白く、白目を向いて鼻水か涙か顔がぐちゃぐちゃになっている。俺は優しく椅子を起こし話しかける。
「希美ちゃん?」
しかし気絶したのか返事がない。とりあえず二発ビンタして意識を取り戻させた。
「希美ちゃん、実はこの部屋はこの間証拠を消すために掃除したばっかりなんだ。だから希美ちゃんとは他の場所で遊ぶことにするよ。一緒にそこまでドライブに行こうか」
俺はそう言うと出掛ける準備を始めた。
今から帰ると母に電話をした。久々の里帰りだ。運転している車の後部座席には大きな風呂敷で包んだ『五人目』を乗せている。椅子に縛り付けたまま包んだのですごい大荷物に見える。
俺はこれからの予定を『五人目』に伝えた。
「これから俺の実家に行くよ。そこの離れにある蔵で一緒に遊ぼっか。丈夫な蔵だから叫び声も聞こえないだろうし最適だ」
聞いているのかいないのか風呂敷で包まれた『五人目』は全く反応しなかった。
日も暮れ、辺りも暗くなってしまった。ようやく実家に着いた頃には完全に日が沈んでいた。
俺の実家ははっきり言って『ど』がつくほどの田舎にある。俺の住んでいるアパートから車で三時間ほどだ。とりあえず車を蔵の前まで運転し、持ってきた懐中電灯で照らす。時代劇なんかで出てきそうな大きな蔵で、小さい頃には宝探しをしていた場所だ。もっともがらくたしかなかったが。
俺は蔵の扉を明け中を照らした。中はかび臭く、俺が遊んでいた時とほとんど変わっていない。
蔵の一番奥へ歩いていくと、床に一メートル四方の蓋がしてある。その蓋に付いている取っ手を思いっきり引っ張った。
『ギギギッ』
と、音を立てながら床の扉が開いてくる。完全に開くと中へ入っていった。
中は意外と広く、五メートル四方くらい、高さは二メートルほどだ。天井の扉からは梯子が降りている。
懐中電灯で照らしながら電灯のスイッチをつける。パチッとスイッチをつけると最初は暗かった電灯がじわじわと明るくなってくる。電気はまだ生きていたようだ。
俺はすぐに車へ戻り、『五人目』を風呂敷のまま担いで蔵へ入った。地下の部屋へ入れる時に少し落としてしまったが大丈夫だろう。
風呂敷を開けると『五人目』が出てきた。目を開いたまま、涙を流しピクリともしない。とりあえず『五人目』を中央に置き、猿ぐつわをとってペットボトルに入った水を無理やり飲ませた。
「ゲホッ ガホッ」
『五人目』がむせている。しかしこれで脱水症状になることはない。猿ぐつわを噛ませていないのに叫びもしないことを不思議に思いながら念のため再度、猿ぐつわを噛ませる。電気を消し、天井の扉を閉め俺は蔵から出た。
その後、何事もなかったかのように車を家駐車場に止め、玄関を開けた。
「ただいま。帰ってきたよ」
部屋の向こうから母が顔を出した。
母がこちらに走ってきながら声をかける。
「明弘あんた、帰ってくるならくるでもっと早く連絡しなさいよ~。お父さんと葵もいるからゆっくりしていきなさい」
とりあえず居間へ入ると父と葵がテレビを見ているところだった。
「......おう」
父が俺を見ながら右手をあげる。元々無口な父はあまり喋らない。いつもこんな感じだ。
「お兄ちゃんお帰り~」
いきなり後ろから葵が飛び付いてくる。こいつは俺の妹だ。いつまでたっても兄離れ出来ずにいる。
ひとり暮らしするときも最後まで泣いて嫌がっていた。
「いつまで?いつまでいるの?」
葵が嬉しそうに聞いてくる。まるで子犬のようだ。
「まあ大学もあるし、三日位かな」
そう答え葵の顔を見ると、とても嬉しそうだ。
「今日はお兄ちゃんと一緒に寝よっかな~」
葵がにこにこ笑いなからそう言うと、玄関から戻ってきた母が呆れたように言った。
「あんたもう中学二年生になるんだから、そろそろ兄離れしなさいよ」
「いいじゃんべつに~お兄ちゃん大好きだもん!!」
恥ずかしげもなくそう言うと、にこにことこっちを見てくる。
俺は逃げるように元々使っていた自分の部屋に入っていった。
中へ入るとドアを閉め、部屋を見回す。俺がここを出て行った時と全く変わっていない。疲れていた俺はベットに入った。
ベットに入ってすぐにドアをノックする音がする。
「どうぞ」
と声をかけるとドアが開き、枕を持ったパジャマ姿の葵が立っていた。
「お兄ちゃん、一緒に寝てもいい?」
手を後ろに組み、頭を少しかしげながら聞いてきた。
少し考えて俺は布団の端を持ち上げた。
「わかったよ。ほら、おいで」
妹は嬉しそうにこちらに走ってきて布団に潜り込んだ。手足を俺に絡めてくる。
「タコかお前は」
俺が葵の肩に手をまわしながらそう言うと、嬉しそうに笑い、俺の胸元に顔を埋めてきた。
疲れていた俺は最初葵を見ていたが、まぶたが重くなり、目を閉じた。
「『六人目』、『七人目』、『八人目』か......」
そう考え始めた所で記憶が途切れた。
朝起きると、懐かしい天井が目に入った。そうだ。実家に里帰りをしているんだった。
横を見ると、葵が俺の服によだれをなすりつけてきている。
「葵!起きろ! 俺の服によだれを着けるんじゃない!」
「......お兄ちゃん? 何でいるの?」
寝ぼけた目を擦りながら上半身を起こしている。服がめくれて下着が丸見えだ。
「寝ぼけてるんじゃない!服も直せ!」
葵の肩を持って前後に揺さぶる。やっと目が覚めてきたみたいた。
「お兄ちゃん! そうだ昨日帰って来たんだ!」
そう言うと葵は抱きついてきた。俺の腰に手を回す。
俺は目の前にある頭を優しく撫でながら言った。
「早く顔を洗って来たらどうだ。今日学校だろう?」
「学校休むもん!」
「バカなこと行ってないで準備しなさい」
結局、葵が帰ってきたら目いっぱい遊ぶと約束をさせられた。しょうがないやつだ。
「いつ帰ってくるんだ?」
「う~ん、部活もあるから夕方の6時位かな」
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