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二章 明弘くんの覚醒
『一人目』隠滅
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『四人目』を始末した次の日の朝、俺は家に残っている証拠をすべて始末することにした。
まず、『一人目』を殺した時に着ていた服を始末しなければならない。これは燃やしてしまおう。
その前に部屋に残っている痕跡を消さなければ。俺は部屋の隅々まで掃除機をかけ、雑巾がけをし、特に風呂場は丁寧に掃除した。万一警察が来て血液が残っていたら後々めんどくさいことになるからだ。まあトリックがばれるとは思わないが。
俺は部屋を隅々まで掃除し、アパート裏の庭へ血の着いた服と掃除機のゴミパック、念のため雑巾を落ち葉と一緒に火を着けた。火はめらめら燃え上がり証拠を消してくれる。
何人目になるかはわからないが、『焼死』も選択肢に入れておこうと勝手に決めた。そのとき良いことを思いつき、家へ帰ると実家から貰ったさつまいもを持ってきて火の中に投げ入れた。これで今日の朝御飯は決まりだな。
しまった。今日は遅刻だ。焼きいもを食べていたらすっかり時間を忘れていた。俺はバタバタと支度し玄関を出た。
「いってきます」
と、言った所で、昨日までいた女の子はもう居ないのだと少し悲しい気持ちになった。まあいい。寂しかったらまた連れてくれば良いことだ。別に11人殺し同せば、殺し方をしても問題はない。
俺はそう思うと学校へ走った。しかし透を殺したのは早すぎたかもしれない、これからは遅刻が増えるな。
学校へ着くと空いている席に座る。ギリギリ遅刻は回避できたみたいだ。
「あれっ? 今日は透と一緒じゃないんだ?」
声の方を見ると先に座っていた唯がにこにこしながら声をかけてきた。
「ああ。ちょっとな」
俺はいかにも何かあったような表情でうつ向きながら視線をそらした。
「何かあったの?相談のろうか?」
唯が心配そうに顔を覗きこんでくる。やめろ。うっかり殺してしまいそうになったじゃないか。
俺は唯と同棲も悪くないな。と考えていた。
「おーい聞いてるかー」
唯の声で我にかえる。
「ああ。大丈夫だ。だが今日透が来なかったら相談するかもしれない。」
俺はそう言うと携帯をいじりはじめた。
抗議が終わったあと俺はすぐ唯に話しかけられた。
「今日必修なのに透来なかったよね? なんか聞いてるんでしょ?」
俺はいかにも深刻な話をするかのように声を潜めた。
「実は透のことで気になることがある。相談に乗ってくれないか。」
聞こえずらかったのか、唯はすぐそばまで顔を近づけて来た。ふわっとシャンプーか何か、甘い良い香りがする。だめだ。俺の周りで二人も死んだらさすがに怪しまれる。
「相談? わかった。じゃあ、あのハンバーガーショップで先に待ってて。私は用事をすませてから行くから」
唯はくるっとその場でターンして講義室から出ていった。
俺は先にハンバーガーショップに来ると、透が好きだった、コーラとポテトを注文した。今頃透は飲みたくもない水をたらふく飲んでいるだろう。そんなことを考えていると、唯が入ってきた。
「おまたせー」
そう言うと唯はハンバーガーとコーラを注文した。
「それで相談って何?」
「実は昨日の夜、透が家に来たんだ。なんかとんでもないことをしたと言ってそのまま出ていったが」
唯は話を聞きながらストローをコーラの蓋に刺した。
「何か具体的なことは言ってたの?」
「いや。そこまでは聞いてないが......透、家に居るかもしれないし行ってみるか?」
「そうね。事情がわかるかもしれないし」
俺が殺したんだよ。『四人目』としてね。そう言いたかったがぐっと我慢した。
透の家に着いたが、母親しかいなかった。唯はあからさまにがっかりした様子だった。
「いないんですね。何か透から聞いていますか?」
唯のその質問に内心笑いながらも真面目な顔で透の母親を見つめた。
「特に聞いてないのよ~まあそのうち帰ってくると思うわ~」
息子が溺死して、まだ水の中に入っているというのに全くのんきな母親だ。
俺と唯は見つかったら連絡をくれるように頼んだあと、帰ることにした。
帰り道で俺は唯に家に来るか尋ねたが、顔を真っ赤にして断られた。そういえばまだアパートに来たことがないんじゃないか。俺の実家には入り浸っていたくせに変な奴だ。
俺はそう思いながら、『五人目』を誰にするか考えていた。透、いや『四人目』が発見されるのも時間の問題、ここからはスピーディーに片付けなければ。
まず、『一人目』を殺した時に着ていた服を始末しなければならない。これは燃やしてしまおう。
その前に部屋に残っている痕跡を消さなければ。俺は部屋の隅々まで掃除機をかけ、雑巾がけをし、特に風呂場は丁寧に掃除した。万一警察が来て血液が残っていたら後々めんどくさいことになるからだ。まあトリックがばれるとは思わないが。
俺は部屋を隅々まで掃除し、アパート裏の庭へ血の着いた服と掃除機のゴミパック、念のため雑巾を落ち葉と一緒に火を着けた。火はめらめら燃え上がり証拠を消してくれる。
何人目になるかはわからないが、『焼死』も選択肢に入れておこうと勝手に決めた。そのとき良いことを思いつき、家へ帰ると実家から貰ったさつまいもを持ってきて火の中に投げ入れた。これで今日の朝御飯は決まりだな。
しまった。今日は遅刻だ。焼きいもを食べていたらすっかり時間を忘れていた。俺はバタバタと支度し玄関を出た。
「いってきます」
と、言った所で、昨日までいた女の子はもう居ないのだと少し悲しい気持ちになった。まあいい。寂しかったらまた連れてくれば良いことだ。別に11人殺し同せば、殺し方をしても問題はない。
俺はそう思うと学校へ走った。しかし透を殺したのは早すぎたかもしれない、これからは遅刻が増えるな。
学校へ着くと空いている席に座る。ギリギリ遅刻は回避できたみたいだ。
「あれっ? 今日は透と一緒じゃないんだ?」
声の方を見ると先に座っていた唯がにこにこしながら声をかけてきた。
「ああ。ちょっとな」
俺はいかにも何かあったような表情でうつ向きながら視線をそらした。
「何かあったの?相談のろうか?」
唯が心配そうに顔を覗きこんでくる。やめろ。うっかり殺してしまいそうになったじゃないか。
俺は唯と同棲も悪くないな。と考えていた。
「おーい聞いてるかー」
唯の声で我にかえる。
「ああ。大丈夫だ。だが今日透が来なかったら相談するかもしれない。」
俺はそう言うと携帯をいじりはじめた。
抗議が終わったあと俺はすぐ唯に話しかけられた。
「今日必修なのに透来なかったよね? なんか聞いてるんでしょ?」
俺はいかにも深刻な話をするかのように声を潜めた。
「実は透のことで気になることがある。相談に乗ってくれないか。」
聞こえずらかったのか、唯はすぐそばまで顔を近づけて来た。ふわっとシャンプーか何か、甘い良い香りがする。だめだ。俺の周りで二人も死んだらさすがに怪しまれる。
「相談? わかった。じゃあ、あのハンバーガーショップで先に待ってて。私は用事をすませてから行くから」
唯はくるっとその場でターンして講義室から出ていった。
俺は先にハンバーガーショップに来ると、透が好きだった、コーラとポテトを注文した。今頃透は飲みたくもない水をたらふく飲んでいるだろう。そんなことを考えていると、唯が入ってきた。
「おまたせー」
そう言うと唯はハンバーガーとコーラを注文した。
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「実は昨日の夜、透が家に来たんだ。なんかとんでもないことをしたと言ってそのまま出ていったが」
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「何か具体的なことは言ってたの?」
「いや。そこまでは聞いてないが......透、家に居るかもしれないし行ってみるか?」
「そうね。事情がわかるかもしれないし」
俺が殺したんだよ。『四人目』としてね。そう言いたかったがぐっと我慢した。
透の家に着いたが、母親しかいなかった。唯はあからさまにがっかりした様子だった。
「いないんですね。何か透から聞いていますか?」
唯のその質問に内心笑いながらも真面目な顔で透の母親を見つめた。
「特に聞いてないのよ~まあそのうち帰ってくると思うわ~」
息子が溺死して、まだ水の中に入っているというのに全くのんきな母親だ。
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帰り道で俺は唯に家に来るか尋ねたが、顔を真っ赤にして断られた。そういえばまだアパートに来たことがないんじゃないか。俺の実家には入り浸っていたくせに変な奴だ。
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