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二章 明弘くんの覚醒
『二人目』落死
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俺は今回の『二人目』に必要な道具を買いに行くことに決めた。道具といっても、どこにでも売っているエンジンオイルだ。
俺は大型量販店の自動車コーナーで、エンジンオイルを品定めしていた。
あまり車には詳しくないのだが、沢山種類があり、バイク用、自動車用と、沢山並んでいる。どうせなら『殺人用』があればいいのに、と思っていると、スポーツタイプ、高粘度と書かれたオイルが目に留まった。とりあえずエンジンオイルはこれにするとして、次はゲームだ。
今度はゲームコーナーに行き、今子供たちに大人気の『DS』を買った......しかし、まさか二万円もするとは思わなかった。だがこれで準備万端だ。後は今日の夜に罠を仕掛けるだけ、夜が待ち遠しい。
深夜1時、俺は公園に来ていた。ここは割りと規模の大きい公園で、高さが五メートル位のジャングルジムがある。このジャングルジムは四角形で一番上に天板がしてあり、近所の子供たちがその上でごっこ遊びをしたり、秘密基地を作ったりしていた。まあ秘密基地はすぐに撤去されていたようだが。
俺はそのジャングルジムに登り、天板の少し下に丁寧にエンジンオイルを塗りつけ、天板に上に買っておいたDSを下から見えるようにずらして置いた。後はこのジムに子供が上るのを待つだけだ。
時計を確認すると午前3時。DSでもしたい気分だ。
暗闇にずっといると嫌でも眠くなる。ついうとうとしているといきなり大きな声が聞こえてきた。
「僕が一番乗り!!」
「待ってよー」
やっと子供たちが来たようだ。小学一年生くらいだろうか。
俺はわざと薄汚れた格好をし、震えながら一人公園の隅のベンチに座っていた。万一誰かに見られてもホームレスだと思われるためだ。
子供たちは最初、走り回って遊んでいたがやんちゃそうな男の子の方がDSの存在に気づいた。
「あれもしかしたらげーむきじゃねー?」
やんちゃそうな男の子がジャングルジムに上ろうとすると、もう一人が必死に止めようとしていた。
「ダメだよここは小学校高学年しか使っちゃいけないんだよ」
しかし、やんちゃそうな男の子は制止を振り切りすいすいと上っていく。
「なんかベタベタしてる」
運動神経がいいのか、手を滑らせることなくDSを取ろうとする。
「あと一歩!」
そう言うと足を一段上にかけた。そのとき、エンジンオイルを踏んだ『二人目』は足を滑らせた。子供は大人と比べ頭の重量割合が高い為、頭が下になりやすい。予想通り、頭から落ちた『二人目』は「グチャリ」と音をたてた後、大量の血を流し、ピクリとも動かなかった。もう一人の男の子は腰を抜かしガタガタ震えながら、
「けんくん? けんくん?」
と声をかけている。
『二人目』の名前を呼んでいるのだろうか。
俺はそこまで確認すると、逃げることにした。長居は無用だ。あれはどう見ても死んでいる。
帰り道、俺は達成感でいっぱいだった。思ったより簡単に、計画通りに進んだ。我ながら完璧だ。俺はその後、『三人目』をどうするか悩みながら車を運転していた。
俺は大型量販店の自動車コーナーで、エンジンオイルを品定めしていた。
あまり車には詳しくないのだが、沢山種類があり、バイク用、自動車用と、沢山並んでいる。どうせなら『殺人用』があればいいのに、と思っていると、スポーツタイプ、高粘度と書かれたオイルが目に留まった。とりあえずエンジンオイルはこれにするとして、次はゲームだ。
今度はゲームコーナーに行き、今子供たちに大人気の『DS』を買った......しかし、まさか二万円もするとは思わなかった。だがこれで準備万端だ。後は今日の夜に罠を仕掛けるだけ、夜が待ち遠しい。
深夜1時、俺は公園に来ていた。ここは割りと規模の大きい公園で、高さが五メートル位のジャングルジムがある。このジャングルジムは四角形で一番上に天板がしてあり、近所の子供たちがその上でごっこ遊びをしたり、秘密基地を作ったりしていた。まあ秘密基地はすぐに撤去されていたようだが。
俺はそのジャングルジムに登り、天板の少し下に丁寧にエンジンオイルを塗りつけ、天板に上に買っておいたDSを下から見えるようにずらして置いた。後はこのジムに子供が上るのを待つだけだ。
時計を確認すると午前3時。DSでもしたい気分だ。
暗闇にずっといると嫌でも眠くなる。ついうとうとしているといきなり大きな声が聞こえてきた。
「僕が一番乗り!!」
「待ってよー」
やっと子供たちが来たようだ。小学一年生くらいだろうか。
俺はわざと薄汚れた格好をし、震えながら一人公園の隅のベンチに座っていた。万一誰かに見られてもホームレスだと思われるためだ。
子供たちは最初、走り回って遊んでいたがやんちゃそうな男の子の方がDSの存在に気づいた。
「あれもしかしたらげーむきじゃねー?」
やんちゃそうな男の子がジャングルジムに上ろうとすると、もう一人が必死に止めようとしていた。
「ダメだよここは小学校高学年しか使っちゃいけないんだよ」
しかし、やんちゃそうな男の子は制止を振り切りすいすいと上っていく。
「なんかベタベタしてる」
運動神経がいいのか、手を滑らせることなくDSを取ろうとする。
「あと一歩!」
そう言うと足を一段上にかけた。そのとき、エンジンオイルを踏んだ『二人目』は足を滑らせた。子供は大人と比べ頭の重量割合が高い為、頭が下になりやすい。予想通り、頭から落ちた『二人目』は「グチャリ」と音をたてた後、大量の血を流し、ピクリとも動かなかった。もう一人の男の子は腰を抜かしガタガタ震えながら、
「けんくん? けんくん?」
と声をかけている。
『二人目』の名前を呼んでいるのだろうか。
俺はそこまで確認すると、逃げることにした。長居は無用だ。あれはどう見ても死んでいる。
帰り道、俺は達成感でいっぱいだった。思ったより簡単に、計画通りに進んだ。我ながら完璧だ。俺はその後、『三人目』をどうするか悩みながら車を運転していた。
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