成長する殺人鬼1(完結)

一二の三太郎

文字の大きさ
上 下
5 / 39
二章 明弘くんの覚醒

『二人目』落死

しおりを挟む
 俺は今回の『二人目』に必要な道具を買いに行くことに決めた。道具といっても、どこにでも売っているエンジンオイルだ。
 俺は大型量販店の自動車コーナーで、エンジンオイルを品定めしていた。
 あまり車には詳しくないのだが、沢山種類があり、バイク用、自動車用と、沢山並んでいる。どうせなら『殺人用』があればいいのに、と思っていると、スポーツタイプ、高粘度と書かれたオイルが目に留まった。とりあえずエンジンオイルはこれにするとして、次はゲームだ。
 今度はゲームコーナーに行き、今子供たちに大人気の『DS』を買った......しかし、まさか二万円もするとは思わなかった。だがこれで準備万端だ。後は今日の夜に罠を仕掛けるだけ、夜が待ち遠しい。

 深夜1時、俺は公園に来ていた。ここは割りと規模の大きい公園で、高さが五メートル位のジャングルジムがある。このジャングルジムは四角形で一番上に天板がしてあり、近所の子供たちがその上でごっこ遊びをしたり、秘密基地を作ったりしていた。まあ秘密基地はすぐに撤去されていたようだが。
 俺はそのジャングルジムに登り、天板の少し下に丁寧にエンジンオイルを塗りつけ、天板に上に買っておいたDSを下から見えるようにずらして置いた。後はこのジムに子供が上るのを待つだけだ。
 時計を確認すると午前3時。DSでもしたい気分だ。
 暗闇にずっといると嫌でも眠くなる。ついうとうとしているといきなり大きな声が聞こえてきた。
「僕が一番乗り!!」
「待ってよー」
 やっと子供たちが来たようだ。小学一年生くらいだろうか。
 俺はわざと薄汚れた格好をし、震えながら一人公園の隅のベンチに座っていた。万一誰かに見られてもホームレスだと思われるためだ。
 子供たちは最初、走り回って遊んでいたがやんちゃそうな男の子の方がDSの存在に気づいた。
「あれもしかしたらげーむきじゃねー?」
 やんちゃそうな男の子がジャングルジムに上ろうとすると、もう一人が必死に止めようとしていた。
「ダメだよここは小学校高学年しか使っちゃいけないんだよ」
 しかし、やんちゃそうな男の子は制止を振り切りすいすいと上っていく。
「なんかベタベタしてる」
 運動神経がいいのか、手を滑らせることなくDSを取ろうとする。
「あと一歩!」
 そう言うと足を一段上にかけた。そのとき、エンジンオイルを踏んだ『二人目』は足を滑らせた。子供は大人と比べ頭の重量割合が高い為、頭が下になりやすい。予想通り、頭から落ちた『二人目』は「グチャリ」と音をたてた後、大量の血を流し、ピクリとも動かなかった。もう一人の男の子は腰を抜かしガタガタ震えながら、
「けんくん? けんくん?」
 と声をかけている。
『二人目』の名前を呼んでいるのだろうか。
 俺はそこまで確認すると、逃げることにした。長居は無用だ。あれはどう見ても死んでいる。
 帰り道、俺は達成感でいっぱいだった。思ったより簡単に、計画通りに進んだ。我ながら完璧だ。俺はその後、『三人目』をどうするか悩みながら車を運転していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バベル病院の怪

中岡 始
ホラー
地方都市の市街地に、70年前に建設された円柱形の奇妙な廃病院がある。かつては最先端のモダンなデザインとして話題になったが、今では心霊スポットとして知られ、地元の若者が肝試しに訪れる場所となっていた。 大学生の 森川悠斗 は都市伝説をテーマにした卒業研究のため、この病院の調査を始める。そして、彼はX(旧Twitter)アカウント @babel_report を開設し、廃病院での探索をリアルタイムで投稿しながらフォロワーと情報を共有していった。 最初は何の変哲もない探索だったが、次第に不審な現象が彼の投稿に現れ始める。「背景に知らない人が写っている」「投稿の時間が巻き戻っている」「彼が知らないはずの情報を、誰かが先に投稿している」。フォロワーたちは不安を募らせるが、悠斗本人は気づかない。 そして、ある日を境に @babel_report の投稿が途絶える。 その後、彼のフォロワーの元に、不気味なメッセージが届き始める—— 「次は、君の番だよ」

ゾンビと片腕少女はどのように死んだのか特殊部隊員は語る

leon
ホラー
元特殊作戦群の隊員が親友の娘「詩織」を連れてゾンビが蔓延する世界でどのように生き、どのように死んでいくかを語る

#■■■■村

白鳥ましろ
ホラー
この作品はモキュメンタリーです 『私』を探して

夜に融ける。

エシュ
ホラー
短編ホラーです。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

悪夢

ちゃっぷ
ホラー
後味の悪い話、何となく思いついた話、昔見た夢の話などをポツポツと思いついた時に書いていきます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【1分読書】意味が分かると怖いおとぎばなし

響ぴあの
ホラー
【1分読書】 意味が分かるとこわいおとぎ話。 意外な事実や知らなかった裏話。 浦島太郎は神になった。桃太郎の闇。本当に怖いかちかち山。かぐや姫は宇宙人。白雪姫の王子の誤算。舌切りすずめは三角関係の話。早く人間になりたい人魚姫。本当は怖い眠り姫、シンデレラ、さるかに合戦、はなさかじいさん、犬の呪いなどなど面白い雑学と創作短編をお楽しみください。 どこから読んでも大丈夫です。1話完結ショートショート。

処理中です...