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3章

嵐の後

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1.裕次郎はしくしくと泣いた後、むくりと立ち上がった。まだ完全に終わっていなかった事に気がついたからだ。
 確かに、ルイーゼとの試合は終わってしまったかもしれない。しかし! まだヤコとの試合が残っているではないか。
 一回目の試合に負けてしまっても、二回目の試合に勝てれば問題ない! ノープロブレム!
「よしゃああ! 頑張るぞお!」
 裕次郎は、誰もいない廊下で一人、雄叫びを上げた。

2.そうと決まれば、早速デートしよう。思い立ったが吉日だ。
 裕次郎は、意味の分からない使命感に襲われていた。
 ヤコを見つけようと必死に歩き回り、探したが何処にもいない。
 しかし、裕次郎は慌てなかった。ヤコが一人で帰っている可能性は少ないし、まだ学校内にはいるはずだ。そう考えていた。
 裕次郎は頭をフル回転させ、ある作戦を思い付いた。
煙煙スモーキー・スモーク!」
 裕次郎は掌から煙を出した。辺りが薄く、曇り始めた。煙を出し続け、出来るだけ低濃度で学校全体に行き渡らせていく。
視神経同期ビジョン・アイ!」
 呪文を唱えると、煙は大量の小さな目へと変化し、視神経は同期された。よし、上手くいった。
 裕次郎は、たくさんの目を使いヤコを探し回った。
 どこにいるんだろうか・・・!
 その時、裕次郎の目の一つに、ある文字が飛び込んできた。
『女子トイレ』
 オイオイマジかよ。この魔術最高じゃねえか。
 裕次郎は早速女子トイレに侵入しようと、数個の目を花園へと向かわせた。
「いたぁい!」
 女子トイレに入ろうとした瞬間、裕次郎の作ったお目々が弾けとんだ。
 失敗した。痛覚も同期させちゃってた。
 しかし、裕次郎は目が弾けとんだ痛みよりも、女子トイレが覗けなかった心の痛みの方が強かった。
 そこに楽園パラダイスがあるのに、入ることができない。とても歯痒かった。
 テンションがた落ちの裕次郎だったが、次の文字を見た瞬間テンションは急上昇した。
『女子更衣室』
 よし。入っちゃおう。
 裕次郎は女子トイレと同じように入ろうとし、同じようにお目々を潰された。痛みにのたうち回りながら、考えていた。
 恐らく、魔法と魔術は侵入できないのだ。俺が校内に煙を充満させ、目を作った時に痛みは感じなかった。
 つまり、その時点で女子トイレ及び女子更衣室には煙は入っていなかった事になる。つまりガードされていたはずだ。作成した眼球に魔法無効化を付けるか、魔法耐性を上げれば何とかなりそうだが、短時間でできるとは思えない・・・
「・・・ちくしょう」
 俺は、何て使えない魔術なんだ! と思いながら、最初の目的であるヤコを探し始めた。
「いないなあ・・・」
 裕次郎の目は、他人に見つからないよう低空飛行しながらヤコを探していた。
「・・・!」
 裕次郎は、恐ろしい事実に気がついてしまった。そう、俺は今女の子のパンツ見放題なんだと。
 早速全戦力を低空飛行させ、パンツ鑑賞会を開始しようとした。しかし後ろから声をかけられてしまう。
「・・・裕次郎何してるかニャ?」
 裕次郎が振り向くと、不思議そうな顔のヤコが立っていた。


 続く。


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