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1章
モンスター発見だぁぁぁぁ!
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1.覚悟を決めた裕次郎は、いつ火龍が出てきてもいいように、雷刀をしっかり握りしめながら歩く。しかし、恐怖で足がうまく上がらず、倒れてしまった。
「いたい・・・」
裕次郎は、また泣きそうになる。
「そんなに緊張していては、すぐに疲れてしまうぞ」
イザベルが呆れながら、手を差しのべる。
「ありがとう・・・」
裕次郎はイザベルの手をとると、起き上がる。
「大丈夫だ。裕次郎は私が守ってやる。それにほら見てみろ。すごく楽しそうだろう」
イザベルは、そう言うと、シャルロットを指差す。
「豆芝ちゃんどこで遊びましょうか? ん?あっちですか?」
「わん!」
シャルロットは、豆芝と一緒にどんどん先に進んでいる。確かに楽しそうだ。
「分かった。俺も少し楽しんでみるよ」
裕次郎は少しだけ、元気になった気がした。
2.三十分近く山道を登るが、火龍は現れない。
「・・・ちょっと疲れたわ・・・休憩しない?」
ルイーゼが少しきつそうだ。
「そうだな。少し休憩するか」
イザベルが、腰を下ろしながら、そう言った。
「豆芝ちゃん~そっちは危ないですよ~」
シャルロットは相変わらず、豆芝と遊んでいる。
余裕が出てきた裕次郎は、辺りを見回す。木がたくさん生えているが、密集しているといった程ではない。十メートル間隔ぐらいか。そういえば来る途中、全く木が生えてない場所もあった。
「自然がいっぱいで良いところですね」
裕次郎がイザベルを見ながらそう言う。
「ああ。そうだろう。魔獣が出れば、もっと面白いぞ」
イザベルがそう言った瞬間、地響きのような鳴き声が聞こえてくる。
『グォォォォォォ!!』
どうやら山の上から聞こえてくるようだ。裕次郎達は休憩を終えると山を登り初め、少し開けた場所に、奴はいた。
3.あれが火龍か。見た目はとてつもなく大きなトカゲのようで、羽はついていない。飛ぶことは無いようだ。目はギョロリとしていて、蛇を連想させる。ここからが、本当のクエストの始まりだ。しっかり作戦を立てて挑まなければ。
「イザベル、作戦はどうするの? 退却する?」
裕次郎は、ビビりながら木の影に隠れる。
「そんなものはないぞ。それでは先に行かせてもらう」
イザベルはそう言い残すと、突撃していった。
・・・うそだろ。もっと作戦とか立てて挑まないのか? そう思いながらも、裕次郎は守ってくれると言ったイザベルの後ろについていく。
「水斬刃!」
イザベルが呪文を唱え、水を纏った剣を降り下ろす。超高速の斬撃となった鋭い水が、空気と共に火龍を切り裂く。
『バシュッ!』
「ゴァァァァ!」
致命傷ではないものの、苦しそうなうなり声をあげ、動きが緩慢になる。斬撃が足に命中したようだ。その間に裕次郎は、死に物狂いで木の影に隠れる。無理。レベルが違いすぎる。あそこにいたら死ぬ。
「爆雷降!」
間髪入れずに、今度はルイーゼが手を上げながら呪文を唱えた。すると、天空から大量の雷が雨のように降り注いでくる。
『バリバリバリバリ!』
足をやられた火龍は避けきれず、黒焦げになる。最後の力を振り絞るかのように口を開け、炎を吐き出そうとする。
しかし、ルイーゼは反撃の隙を与えなかった。
「斥力球!」
そう唱えると、左手に現れた光輝く白い球を、今にも火を吹きそうなその口に投げ入れる。異物を入れられ、思わず口を閉じた火龍が次の瞬間、大きく膨れ上がり、こもったような爆発音が響き渡る。
「ドゥゥゥン!」
内側からの攻撃に耐えられなかった火龍は絶命し、口から煙を上げた。
「もう・・・限界ね・・・」
そう言うと、ルイーゼは、魔力が力尽き倒れてしまった。
裕次郎は結局、隠れていただけでなにもしなかったが、とりあえずクエストは成功したようだ。倒した証拠に尻尾を切り取ろうと、木の影からこそこそ這い出し雷刀のスイッチをいれる。
『ヴォォン!』
変な音がして雷の刃が出てくる。裕次郎は火龍に近づき、雷刀を尻尾めがけて降り下ろす。
『ヴォン!』
一振りで、尻尾はすっぱりと切り落とせた。この刀、なかなかの切れ味だ。そう思い、次郎がスイッチを切ったその瞬間、木の隙間から、こちらに向かって狂ったように走ってくる火龍達がちらりと見えた。
続く。
「いたい・・・」
裕次郎は、また泣きそうになる。
「そんなに緊張していては、すぐに疲れてしまうぞ」
イザベルが呆れながら、手を差しのべる。
「ありがとう・・・」
裕次郎はイザベルの手をとると、起き上がる。
「大丈夫だ。裕次郎は私が守ってやる。それにほら見てみろ。すごく楽しそうだろう」
イザベルは、そう言うと、シャルロットを指差す。
「豆芝ちゃんどこで遊びましょうか? ん?あっちですか?」
「わん!」
シャルロットは、豆芝と一緒にどんどん先に進んでいる。確かに楽しそうだ。
「分かった。俺も少し楽しんでみるよ」
裕次郎は少しだけ、元気になった気がした。
2.三十分近く山道を登るが、火龍は現れない。
「・・・ちょっと疲れたわ・・・休憩しない?」
ルイーゼが少しきつそうだ。
「そうだな。少し休憩するか」
イザベルが、腰を下ろしながら、そう言った。
「豆芝ちゃん~そっちは危ないですよ~」
シャルロットは相変わらず、豆芝と遊んでいる。
余裕が出てきた裕次郎は、辺りを見回す。木がたくさん生えているが、密集しているといった程ではない。十メートル間隔ぐらいか。そういえば来る途中、全く木が生えてない場所もあった。
「自然がいっぱいで良いところですね」
裕次郎がイザベルを見ながらそう言う。
「ああ。そうだろう。魔獣が出れば、もっと面白いぞ」
イザベルがそう言った瞬間、地響きのような鳴き声が聞こえてくる。
『グォォォォォォ!!』
どうやら山の上から聞こえてくるようだ。裕次郎達は休憩を終えると山を登り初め、少し開けた場所に、奴はいた。
3.あれが火龍か。見た目はとてつもなく大きなトカゲのようで、羽はついていない。飛ぶことは無いようだ。目はギョロリとしていて、蛇を連想させる。ここからが、本当のクエストの始まりだ。しっかり作戦を立てて挑まなければ。
「イザベル、作戦はどうするの? 退却する?」
裕次郎は、ビビりながら木の影に隠れる。
「そんなものはないぞ。それでは先に行かせてもらう」
イザベルはそう言い残すと、突撃していった。
・・・うそだろ。もっと作戦とか立てて挑まないのか? そう思いながらも、裕次郎は守ってくれると言ったイザベルの後ろについていく。
「水斬刃!」
イザベルが呪文を唱え、水を纏った剣を降り下ろす。超高速の斬撃となった鋭い水が、空気と共に火龍を切り裂く。
『バシュッ!』
「ゴァァァァ!」
致命傷ではないものの、苦しそうなうなり声をあげ、動きが緩慢になる。斬撃が足に命中したようだ。その間に裕次郎は、死に物狂いで木の影に隠れる。無理。レベルが違いすぎる。あそこにいたら死ぬ。
「爆雷降!」
間髪入れずに、今度はルイーゼが手を上げながら呪文を唱えた。すると、天空から大量の雷が雨のように降り注いでくる。
『バリバリバリバリ!』
足をやられた火龍は避けきれず、黒焦げになる。最後の力を振り絞るかのように口を開け、炎を吐き出そうとする。
しかし、ルイーゼは反撃の隙を与えなかった。
「斥力球!」
そう唱えると、左手に現れた光輝く白い球を、今にも火を吹きそうなその口に投げ入れる。異物を入れられ、思わず口を閉じた火龍が次の瞬間、大きく膨れ上がり、こもったような爆発音が響き渡る。
「ドゥゥゥン!」
内側からの攻撃に耐えられなかった火龍は絶命し、口から煙を上げた。
「もう・・・限界ね・・・」
そう言うと、ルイーゼは、魔力が力尽き倒れてしまった。
裕次郎は結局、隠れていただけでなにもしなかったが、とりあえずクエストは成功したようだ。倒した証拠に尻尾を切り取ろうと、木の影からこそこそ這い出し雷刀のスイッチをいれる。
『ヴォォン!』
変な音がして雷の刃が出てくる。裕次郎は火龍に近づき、雷刀を尻尾めがけて降り下ろす。
『ヴォン!』
一振りで、尻尾はすっぱりと切り落とせた。この刀、なかなかの切れ味だ。そう思い、次郎がスイッチを切ったその瞬間、木の隙間から、こちらに向かって狂ったように走ってくる火龍達がちらりと見えた。
続く。
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