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5章
ゲロ
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1.裕次郎とヤコはお互いの肩を掴み合い、揺さぶった。
「教えろおお!!」
「嫌ニャァァ!!」
裕次郎はヤコを揺さぶりながら泣きそうになっていた。
もうすぐ戦争が始まるこのタイミングで邪力を封印されてしまったら、童貞のまましんじゃうかもしれない。そんなことになったら死んでも死にきれない! まあ、一回死んだことあるけど!
なんとしても封印を解いてもらうため、裕次郎は腕に力を込め思いっきり揺さぶる。
「ああああ! 解けええ! 封印とけええ!!」
「ぜっ・・・うっ・・・気持ち悪いニャ・・・」
「解けええええ!! ああああ!」
「・・・ニャ・・・でるニャ・・・オエッ・・・」
「ああああああ!」
「オエー!」
「うわああああ!」
裕次郎の目の前にあったヤコの口から、ビームが発射されていた。
2.「・・・・・・」
裕次郎は頭からビームを浴びてしまった。つーんとした独特の臭いが辺りに立ちこめる。
「うう・・・オエッ・・・」
ヤコは袖口で口を拭きながら立ち上がった。そしてふらつきながらも呪文を唱える。
「・・・水蜥蜴/火蜥蜴」
呪文を唱えると、蜥蜴の形をした水と火が現れた。まず水蜥蜴がヤコに水を吹き付け、次に火蜥蜴が熱風を吹き付ける。
ゲロまみれだったヤコは綺麗に洗われ乾かされ元通りになると、落ちていたマントを拾い身に付けた。
「・・・ニャア・・・もう帰るニャ・・・」
ヤコは魔法を消すと、よたよたと歩き始める。裕次郎はゲロまみれのままヤコの進路を塞いだ。
「ちょっと! なんで自分だけさっぱりしてるの! 俺も綺麗にしてよ!」
「・・・裕次郎も魔法を使えば良いニャ。自分のことは自分でするニャよ。指輪はまたあとで話し合えば良いニャ・・・今日はもういいニャ・・・」
ヤコはそう言うと裕次郎を避け、歩いていく。
裕次郎は言われた意味を考える。が、考えれば考えるほど理不尽すぎてイラついてきていた。
そもそもの原因はヤコがまた封印したせいだし。邪力を封印されなければ『支配』の力でゲロ落とせたし。つーかゲロかけたのお前だし!
裕次郎は後からヤコにしのびよると、思いっきり抱きつき頭を擦り付けた。
3.結局裕次郎とヤコはゲロまみれのまま家に帰った。玄関を開けるといつものようにサキが走り寄ってきた。が、急停止しUターンするとそのまま逃げてしまった。
しかしすぐにサキはイザベルと一緒にやって来た。
「ずいぶん汚れているな。少し待っていてくれ」
イザベルはそう言うと台所へと消え、戻ってきたその手には大きな水瓶が抱えられていた。そしてそのままゲロまみれの二人に水をかける。
大量の水は二人を襲う。その勢いに押され二人は玄関から投げ出されると向かいの道に転がった。
「ゲホッ! ゴホッ!」
裕次郎は水が気管に入り咳き込んでしまっていた。ヤコはぐったりと倒れたまま動かない。
そんな二人を見下ろし、イザベルは言葉をかける。
「よし。汚れは落ちたな。それならどちらか風呂へ入るといい。濡れたままとよくないからな」
裕次郎はちらりとヤコを見た。ヤコはいまだ地面に寝転がったまま動かない。
「じゃあ、俺からお風呂はいろうかな・・・」
風邪にはなりたくないし、寒いし早くお風呂にはいろう。裕次郎はそう思いながら家に入った。
続く。
「教えろおお!!」
「嫌ニャァァ!!」
裕次郎はヤコを揺さぶりながら泣きそうになっていた。
もうすぐ戦争が始まるこのタイミングで邪力を封印されてしまったら、童貞のまましんじゃうかもしれない。そんなことになったら死んでも死にきれない! まあ、一回死んだことあるけど!
なんとしても封印を解いてもらうため、裕次郎は腕に力を込め思いっきり揺さぶる。
「ああああ! 解けええ! 封印とけええ!!」
「ぜっ・・・うっ・・・気持ち悪いニャ・・・」
「解けええええ!! ああああ!」
「・・・ニャ・・・でるニャ・・・オエッ・・・」
「ああああああ!」
「オエー!」
「うわああああ!」
裕次郎の目の前にあったヤコの口から、ビームが発射されていた。
2.「・・・・・・」
裕次郎は頭からビームを浴びてしまった。つーんとした独特の臭いが辺りに立ちこめる。
「うう・・・オエッ・・・」
ヤコは袖口で口を拭きながら立ち上がった。そしてふらつきながらも呪文を唱える。
「・・・水蜥蜴/火蜥蜴」
呪文を唱えると、蜥蜴の形をした水と火が現れた。まず水蜥蜴がヤコに水を吹き付け、次に火蜥蜴が熱風を吹き付ける。
ゲロまみれだったヤコは綺麗に洗われ乾かされ元通りになると、落ちていたマントを拾い身に付けた。
「・・・ニャア・・・もう帰るニャ・・・」
ヤコは魔法を消すと、よたよたと歩き始める。裕次郎はゲロまみれのままヤコの進路を塞いだ。
「ちょっと! なんで自分だけさっぱりしてるの! 俺も綺麗にしてよ!」
「・・・裕次郎も魔法を使えば良いニャ。自分のことは自分でするニャよ。指輪はまたあとで話し合えば良いニャ・・・今日はもういいニャ・・・」
ヤコはそう言うと裕次郎を避け、歩いていく。
裕次郎は言われた意味を考える。が、考えれば考えるほど理不尽すぎてイラついてきていた。
そもそもの原因はヤコがまた封印したせいだし。邪力を封印されなければ『支配』の力でゲロ落とせたし。つーかゲロかけたのお前だし!
裕次郎は後からヤコにしのびよると、思いっきり抱きつき頭を擦り付けた。
3.結局裕次郎とヤコはゲロまみれのまま家に帰った。玄関を開けるといつものようにサキが走り寄ってきた。が、急停止しUターンするとそのまま逃げてしまった。
しかしすぐにサキはイザベルと一緒にやって来た。
「ずいぶん汚れているな。少し待っていてくれ」
イザベルはそう言うと台所へと消え、戻ってきたその手には大きな水瓶が抱えられていた。そしてそのままゲロまみれの二人に水をかける。
大量の水は二人を襲う。その勢いに押され二人は玄関から投げ出されると向かいの道に転がった。
「ゲホッ! ゴホッ!」
裕次郎は水が気管に入り咳き込んでしまっていた。ヤコはぐったりと倒れたまま動かない。
そんな二人を見下ろし、イザベルは言葉をかける。
「よし。汚れは落ちたな。それならどちらか風呂へ入るといい。濡れたままとよくないからな」
裕次郎はちらりとヤコを見た。ヤコはいまだ地面に寝転がったまま動かない。
「じゃあ、俺からお風呂はいろうかな・・・」
風邪にはなりたくないし、寒いし早くお風呂にはいろう。裕次郎はそう思いながら家に入った。
続く。
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