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四月
数名を除きほとんどの同級生が地元の同じ高校に進学した。
そして、僕は中学時代と同じ野球部に入部した。
この辺ではそこそこの強豪校として知られているだけあり僕の高校生活が部活動一色になるのはすぐの話だった。毎日朝練をして放課後はどの部活よりも遅い時間まで練習をした。
あっという間に最初の一年が過ぎた。二年生になるとさらに部活に熱が入るようになっていた。大会にも結果を残し自分の実力にも自信が持てるようにもなっていた。
僕の高校の部活は二年生の夏の大会を最後に引退をすることになっていた。
「これが最後の夏ってやつか」
自分でも驚くほど本気だった。
どおりで漫画や映画のシュチュエーションでよく使われる訳だ。
予選準決勝敗退。
完敗だった。
試合が終わりロッカールームに戻ると全員で肩を組みながら大泣きした。監督の言葉も何も入ってこない。監督が解散を告げても僕らはその場を動くことができなかった。
しばらくするとポツリポツリと帰り始め、僕も家路についた。
一人でトボトボ歩きながら無意識にこんなことを思った。
「最後の試合あの子に見に来てほしかったな。」
「?」
すぐに我に帰り自分に驚いた。
それまで部活動一色で頭から無理やり消していたはずの彼女がなんで今出てくるんだ?
これだけ時間が経っても彼女にいてほしいのか、僕は。
これはどうしようもない。
やっぱりまだ好きなんだよな。
となんだか呆れるように考えた。
数日後、引退式兼後輩への引き継ぎ式を部活内で行った。
後輩たちの後は任せろと言わんばかりの真っ直ぐな瞳を見て少し気持ちが軽くなった。
後輩のマネージャー達から色紙と花を受け取った。
真っ赤な芍薬の花だった。
意外にも監督が選んだらしく花言葉は「誠実」
うちの部活のモットーだっけか。
最後まで監督なんだなと心の中で少し笑った。
式も終わり帰り道の中、仲間の一人が花掲げてこんなことを言った。
「俺たちの高校生活はこの花みたいに青春と情熱の赤だったな!」
皆が歩みを止めた。
「くさすぎる」「よくそんなことが言えるな」
と全員でツッコんで笑った。
笑いながら僕は
「赤ね。仮に花に例えるなら確かにそうかもな」
と内心少し納得してしまった。
これは誰にも言わないでおこう。
そこからは受験勉強をしながら残りの高校生活を楽しもうと学校行事には全力で参加した。
定番だが、学園祭の準備で夜遅くまで友達と学校に残ったり、体育祭でがむしゃらになったり、放課後にファミレスで勉強したり、地元の夏祭りに行ったりとそれまで部活動で通ってこなかった普通の「青春」を送ることができていたと思う。
そんな楽しい時間の合間にも「この場に彼女がいたらな」と考えてしまう。
毎日の生活のさまざまな場面に彼女の姿を思い浮かべていた。
三年生になりあっという間に受験本番だ。
野球は高校でやりきったと感じたから進路はかなり迷った。
ならばやりたいことを見つけられるところに行こうと決めて、たくさんの業界について学べる学部がある大学へ進学することにした。
勉強は部活動の時から厳しく習慣化されていたからそこまで苦手ではなかった。
そのおかげか受験もスムーズに進み無事志望した大学に合格できた。
部活に続けてまた一つ落ち着いた。後は卒業式を待つのみ。
三月
卒業式の日だ。
周りが別れを惜しむ中僕は
「あの卒業式からもう三年も経つのか」
みたいなことを考えていた。
式を終え友人たちと先生方に別れとお礼伝えて高校を後にした。
通学路を歩きながら
「せっかくなら僕個人の高校生活も花に例えてみよう」と思いついた。
僕はあいつの花に例える感じを気に入っているらしい。
いろいろなことを思い出した。
部活動、授業、休み時間や放課後のくだらない事、一瞬気になる子もできたっけな。
そんなことを思い返しながら頭にパッと浮かんだのは水色の花だった。
なんの種類かもわからない。
だけど自分の中でとてもしっくりきた。
「水色の花か、爽やかでいいじゃないか。」
なんてことを考えた。
こうして僕は二本の花を持って高校生活に終わりを告げた。
数名を除きほとんどの同級生が地元の同じ高校に進学した。
そして、僕は中学時代と同じ野球部に入部した。
この辺ではそこそこの強豪校として知られているだけあり僕の高校生活が部活動一色になるのはすぐの話だった。毎日朝練をして放課後はどの部活よりも遅い時間まで練習をした。
あっという間に最初の一年が過ぎた。二年生になるとさらに部活に熱が入るようになっていた。大会にも結果を残し自分の実力にも自信が持てるようにもなっていた。
僕の高校の部活は二年生の夏の大会を最後に引退をすることになっていた。
「これが最後の夏ってやつか」
自分でも驚くほど本気だった。
どおりで漫画や映画のシュチュエーションでよく使われる訳だ。
予選準決勝敗退。
完敗だった。
試合が終わりロッカールームに戻ると全員で肩を組みながら大泣きした。監督の言葉も何も入ってこない。監督が解散を告げても僕らはその場を動くことができなかった。
しばらくするとポツリポツリと帰り始め、僕も家路についた。
一人でトボトボ歩きながら無意識にこんなことを思った。
「最後の試合あの子に見に来てほしかったな。」
「?」
すぐに我に帰り自分に驚いた。
それまで部活動一色で頭から無理やり消していたはずの彼女がなんで今出てくるんだ?
これだけ時間が経っても彼女にいてほしいのか、僕は。
これはどうしようもない。
やっぱりまだ好きなんだよな。
となんだか呆れるように考えた。
数日後、引退式兼後輩への引き継ぎ式を部活内で行った。
後輩たちの後は任せろと言わんばかりの真っ直ぐな瞳を見て少し気持ちが軽くなった。
後輩のマネージャー達から色紙と花を受け取った。
真っ赤な芍薬の花だった。
意外にも監督が選んだらしく花言葉は「誠実」
うちの部活のモットーだっけか。
最後まで監督なんだなと心の中で少し笑った。
式も終わり帰り道の中、仲間の一人が花掲げてこんなことを言った。
「俺たちの高校生活はこの花みたいに青春と情熱の赤だったな!」
皆が歩みを止めた。
「くさすぎる」「よくそんなことが言えるな」
と全員でツッコんで笑った。
笑いながら僕は
「赤ね。仮に花に例えるなら確かにそうかもな」
と内心少し納得してしまった。
これは誰にも言わないでおこう。
そこからは受験勉強をしながら残りの高校生活を楽しもうと学校行事には全力で参加した。
定番だが、学園祭の準備で夜遅くまで友達と学校に残ったり、体育祭でがむしゃらになったり、放課後にファミレスで勉強したり、地元の夏祭りに行ったりとそれまで部活動で通ってこなかった普通の「青春」を送ることができていたと思う。
そんな楽しい時間の合間にも「この場に彼女がいたらな」と考えてしまう。
毎日の生活のさまざまな場面に彼女の姿を思い浮かべていた。
三年生になりあっという間に受験本番だ。
野球は高校でやりきったと感じたから進路はかなり迷った。
ならばやりたいことを見つけられるところに行こうと決めて、たくさんの業界について学べる学部がある大学へ進学することにした。
勉強は部活動の時から厳しく習慣化されていたからそこまで苦手ではなかった。
そのおかげか受験もスムーズに進み無事志望した大学に合格できた。
部活に続けてまた一つ落ち着いた。後は卒業式を待つのみ。
三月
卒業式の日だ。
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「あの卒業式からもう三年も経つのか」
みたいなことを考えていた。
式を終え友人たちと先生方に別れとお礼伝えて高校を後にした。
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「せっかくなら僕個人の高校生活も花に例えてみよう」と思いついた。
僕はあいつの花に例える感じを気に入っているらしい。
いろいろなことを思い出した。
部活動、授業、休み時間や放課後のくだらない事、一瞬気になる子もできたっけな。
そんなことを思い返しながら頭にパッと浮かんだのは水色の花だった。
なんの種類かもわからない。
だけど自分の中でとてもしっくりきた。
「水色の花か、爽やかでいいじゃないか。」
なんてことを考えた。
こうして僕は二本の花を持って高校生活に終わりを告げた。
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