夏の記憶

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記憶。

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暑い。

今日何回これ言うんだろ。

そう思いながら家を出る。

正門で友だちと合流し


「うぃーす」


と語源不明の挨拶をする。


「暑くね」

「マジあちい」

「今日終わったら絶対アイス食お」

「いや絶対食う。ピノ絶対食う。」

「暑い時に食べるアイスのチョイスにしては微妙じゃね?」

「そうか?」

そんな会話をしながら着替えを終えグラウンドへ。

暑い。

先の方には陽炎で揺れるみんなが見えた。

全員でアップを済ませる頃に先生が来る。


「暑いからこまめに水分とっていこう」
「今日は一番暑くなる時間になる前には終わらせるから集中してやろう」

一同で返事をし部活が始まる。

僕は冬にやるよりも夏に部活をやる方がなぜか楽しく感じる。

でも暑い。

でもテンションはいつもより高い。

どれだけ水を飲んでも足りない。

1時間半ほど練習をしてミニゲームを何度かやった。

メニューの中でこれが一番楽しい。

最後に先生が


「ラストに少し負荷をかけるからダッシュして今日は終わりにしよう」


ミニゲームを終えてヘトヘトの僕らは一瞬動きが止まった。

2列に並びながら僕らは小声で

「終わった」
「死ぬ」
「無理無理」
「暑すぎる」

各々が覚悟を決めた。

そして始まる先生の

『無限ラスト1本』

暑さと疲れで結局何本やったか覚えていない。

「じゃあ片付けて着替えて職員室前に集合」

一同で返事をして満身創痍の中片付けをして着替える。

部室では

「本当に死ぬかと思った」
「もう何も覚えてない」
「俺たちにダッシュさせないと死ぬ呪いにでもかかってんのか」
「つーかーれーたー」
「さっさと着替えて帰ろ」

愚痴と疲弊の言葉が飛び交う。


ミーティングをしてついに解散。


そして僕ら2人は朝に正門でした誓いを果たす。


時刻は13時前。

1日の中でも暑い時間帯。

コンビニに入り僕たちは生き返った。

「え、涼し」

「もうここに住もう」

「それな」

ガリガリ君を齧りながらコンビニを出て友だちを待った。

「よし帰ろーぜー」

そう言いながら店を出たそいつの手には



スイカバー。



「おまえ・・・・・・」


「?」


「・・・いや、暑いな。」

「それな」

夏だった。


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