さくらとホタル

湯殿たもと

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さくらとホタル6(完)

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さくらとホタル6


ボクの家。庭で蝉が鳴いている。暑い。クーラーは効いていないようだった。鍵は開いていたからいないってことは無いだろうけど。

「かなめ君はそこでくつろいでいてね、お父さん探して来るから」

リビングのクーラーをつけ、お父さんの居場所を探す。きっとお父さんの部屋(現物置)にちがいない。階段を登って左に行くとお父さんの部屋・・・そこで出くわしたのはロボット。しかも奴はこのまえこの前ボクとかなめ君を半殺しにしたやつだ。

後ろは階段。身の危険を感じた。ここでやられたら階段を転げ落ちて死ぬ。とっさに階段を駆け降りる。奴はサイレンを鳴らして追ってきた。ボクはリビングに逃げ込む。一人暮らししていたので用心のためにテレビの裏に竹刀を用意していたのだ。

「なんだこのサイレンはっ」

「スタンガンのあいつが来るんだよっ」

「何ィッ!?」

かなめ君はびっくりしてソファーから飛び起きる。スタンガンのあいつで通じるほどあれは辛い出来事だった。竹刀で一発で斬り倒してみせる。

「俺がやる。貸せッ」

かなめ君に竹刀を渡す。かなめ君がボクの前に出ると、奴はそこまで来ていた。

スタンガンを突き出し突撃してくるロボットをかなめ君は竹刀を使って防ぐ。

「さくら、離れるなよ」

「うん」

二回目の攻撃もうまく受け止める。竹刀から焦げたような音。竹刀とつるを結ぶ部位が黒く焼け、細い煙があがる。

ほんの一瞬。だけど長い静寂。かなめ君の額から流れ落ちる汗。

そこへお父さんが階段を下りてきてこちらを見る。竹刀を持ったかなめ君、それにスタンガンで攻撃しようとするロボット。ロボットは三回目の攻撃を行い、かなめ君の竹刀をついに落とさせた。

「こら、やめろッ」

お父さんはロボットをリモコンを使って停止させた。ボクとかなめ君は気が抜けてその場にへなへなと座り込んだ。



・・・暑い。でも明日の終業式が終わればもう夏休みになる。

「さくらはもうお父さんとは仲直りしたんだろ?」

「うん。ボクがロボットが嫌いなのはわかってくれたんだ」

「そうなのか」

「ボクもちょっと悪かった部分があると思うし、反省してる。ロボットを毛嫌いしてたからね」

「毛嫌いって訳じゃ無さそうだけどな、まあ、喧嘩するなよ?」

「うん」


さくらとホタル 完。


あとがき

おはこんばんちは。湯殿たもとです。今回の話はいかがでしょうか。

今回はさくら目線で書いてみました。さくらの父との葛藤的なものが書きたかったんです(書けたとは言ってない)。さくらの過去やかなめとの出会いがはっきりしました。

さくらの父はロボット界で非常に注目されてる人のようです。娘を放って研究してたんだから誉められたものではないですが・・・


次回は七夕の話です。旧暦ですね。ではまた。
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