2 / 6
さくらとホタル 2
しおりを挟む
さくらとホタル 2
荷物を抱えてやって来たのは船引家。チャイムを鳴らす。玄関を開けたかなめ君は大荷物に驚いていた。
「どうしたんだ、文芸部に合宿はないぞ。まあ有ってもいいかもしれないけど」
かなめ君はボクの大荷物を着替えと見通した。ボクが訳を話くと、仕方ないから泊まっても構わないと言った。
「親に見つかるとヤバイから見つからないようにしてくれ」
「うん」
ちょっと後ろめたいけど、かなめ君の家に泊まることができる。後でお礼しなきゃ。
「今日は日曜で親がいるんだ。勉強しに来たことにして、帰ったふりをしてそのまま俺の部屋にとどまっていればいい」
一時間ほど一緒に勉強し、六時くらいに帰ったふりをして、九時くらいまでごろごろ。かなめ君も迂闊に行動出来ないのだろう。ボクのところに夜ご飯を持ってきてくれたのは九時をまわってからだった。
「夜食だ。あんまり良いもん無くてごめんな」
おにぎりを三個。かなめ君がいうにはいつも夜食を食べているのでおにぎりなら怪しまれないという。昆布がはいっていた。
「ひとつ言いづらいことがあるんだよ」
「なに?」
「今夜風呂に入れないんだよ、明日の朝まで待ってくれ」
「えっ?」
「親がいるからな、明日の朝親が出た後なら入れるぞ」
仕方ないかぁ。忍び込んでいる身だからね。朝に入れるだけありがたいわけだし。
三春ちゃんの隣に布団を敷いてもらった。洗って無いのがちょっと気になるけど、布団に入る。この日は疲れたのか、慣れないところでも結構すぐ眠れた。
翌日、月曜日の朝。
かなめ君の親は四時頃車で出掛けていった。だいぶ早いけど、どこで働いているのだろう。
シャワーを浴びて、ゆっくり髪を乾かしていると、五時半ごろに三春ちゃんが起きてきた。結構朝が早い。お弁当を作るからだという。ボクが倒れてからは二人ぶんつくっていたという。
「今日からボクが作るよ」
「悪いよ、不来方さんはお客さんだし」
「客じゃないよ、居候だよ、ボクが迷惑掛けてるんだから」
「客でも居候でも無いな」
いつの間にかかなめ君が起きてきていた。
「この家で暮らしてるんだから家族みたいなもんだ。三人で弁当を作ろうぜ」
かなめ君の提案により、三人でサンドウィッチを作ることにした。具に個性がでて、手間もそこまでかからない。冷蔵庫を開けるとレタスやトマトなどサンドウィッチに丁度良い食材が揃っている。
「えーと、浅漬けは」
「かなめ君寝ぼけてる?」
「寝ぼけてたらこんな発言出来ない。ギャグだ」
こうして作ったサンドウィッチを持って、学校へと向かった。
続きます
荷物を抱えてやって来たのは船引家。チャイムを鳴らす。玄関を開けたかなめ君は大荷物に驚いていた。
「どうしたんだ、文芸部に合宿はないぞ。まあ有ってもいいかもしれないけど」
かなめ君はボクの大荷物を着替えと見通した。ボクが訳を話くと、仕方ないから泊まっても構わないと言った。
「親に見つかるとヤバイから見つからないようにしてくれ」
「うん」
ちょっと後ろめたいけど、かなめ君の家に泊まることができる。後でお礼しなきゃ。
「今日は日曜で親がいるんだ。勉強しに来たことにして、帰ったふりをしてそのまま俺の部屋にとどまっていればいい」
一時間ほど一緒に勉強し、六時くらいに帰ったふりをして、九時くらいまでごろごろ。かなめ君も迂闊に行動出来ないのだろう。ボクのところに夜ご飯を持ってきてくれたのは九時をまわってからだった。
「夜食だ。あんまり良いもん無くてごめんな」
おにぎりを三個。かなめ君がいうにはいつも夜食を食べているのでおにぎりなら怪しまれないという。昆布がはいっていた。
「ひとつ言いづらいことがあるんだよ」
「なに?」
「今夜風呂に入れないんだよ、明日の朝まで待ってくれ」
「えっ?」
「親がいるからな、明日の朝親が出た後なら入れるぞ」
仕方ないかぁ。忍び込んでいる身だからね。朝に入れるだけありがたいわけだし。
三春ちゃんの隣に布団を敷いてもらった。洗って無いのがちょっと気になるけど、布団に入る。この日は疲れたのか、慣れないところでも結構すぐ眠れた。
翌日、月曜日の朝。
かなめ君の親は四時頃車で出掛けていった。だいぶ早いけど、どこで働いているのだろう。
シャワーを浴びて、ゆっくり髪を乾かしていると、五時半ごろに三春ちゃんが起きてきた。結構朝が早い。お弁当を作るからだという。ボクが倒れてからは二人ぶんつくっていたという。
「今日からボクが作るよ」
「悪いよ、不来方さんはお客さんだし」
「客じゃないよ、居候だよ、ボクが迷惑掛けてるんだから」
「客でも居候でも無いな」
いつの間にかかなめ君が起きてきていた。
「この家で暮らしてるんだから家族みたいなもんだ。三人で弁当を作ろうぜ」
かなめ君の提案により、三人でサンドウィッチを作ることにした。具に個性がでて、手間もそこまでかからない。冷蔵庫を開けるとレタスやトマトなどサンドウィッチに丁度良い食材が揃っている。
「えーと、浅漬けは」
「かなめ君寝ぼけてる?」
「寝ぼけてたらこんな発言出来ない。ギャグだ」
こうして作ったサンドウィッチを持って、学校へと向かった。
続きます
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
からふるに彩れ
らら
青春
この世界や人に対して全く無関心な、主人公(私)は嫌々高校に入学する。
そこで、出会ったのは明るくてみんなに愛されるイケメン、藤田翔夜。
彼との出会いがきっかけでどんどんと、主人公の周りが変わっていくが…
藤田翔夜にはある秘密があった…。
少女漫画の主人公みたいに純粋で、天然とかじゃなくて、隠し事ばっかで腹黒な私でも恋をしてもいいんですか?
────これは1人の人生を変えた青春の物語────
※恋愛系初めてなので、物語の進行が遅いかもしれませんが、頑張ります!宜しくお願いします!
紗綾 拍手お礼&番外編
萌葱
青春
紗綾 ~君と歩く季節~と言う、完結済みの私の作品の過去の拍手用作品+番外編です
鈍感少女の周りでやきもき切ない思いをする男子達という小説となります。
過去拍手に加え、時折番外編が追加されます
※小説家になろう様で連載しています、他作品も外部リンクとして何作かアルファポリス様にも掲載させて頂いておりますが、直接投稿の形をこの作品でしてみようと思っております。
本編もなろう様へのリンクという形で置いてありますので興味を持って頂けたら覗いて下さると嬉しいです。
※最大8話つながる話もありますが、基本1話で終わる本編の番外編ですので、短編としました。
※いじめ表現から本編に念のためR15を付けているので、一応こちらにも付けておきますが、基本的にそのような表現は余り無いと思います。
基本的には本編の別視点や同じ流れに入れるには長くなりすぎるため泣く泣く弾いた小話部分など、関連はしていますが読まなくても本編には影響はありません。
ですが、本編が時期と共に変化していく話なので常に本編のネタバレの可能性をはらみます。
タイトル横の時期や前書きを参考にそこまで未読の方はご注意下さい
窓際の君
気衒い
青春
俺こと如月拓也はとある一人の女子生徒に恋をしていた。とはいっても告白なんて以ての外。積極的に声を掛けることすら出来なかった。そんなある日、憂鬱そうに外を見つめるクラスメイト、霜月クレアが目に入る。彼女の瞳はまるでここではないどこか遠くの方を見ているようで俺は気が付けば、彼女に向かってこう言っていた。
「その瞳には一体、何が映ってる?」
その日を境に俺の変わり映えのしなかった日常が動き出した。
Gravity
OKAYU*
青春
🍁あらすじ🍁
読書家で物静かな「きみ」を初めて知ったのは大学生時代のこと。
派手なグループに属していた「あたし」は、たぶん関わりなんてないんだろうなと思っていたけど……。
これは、大学を卒業して「きみ」の妻になった「あたし」の、些細な思い出話――
・……――――・……――――・……――――
🍐説明もろもろ🍐
✽他サイトのコンテスト応募用に書き上げた物語です。
✽後半からの「あたし」と「きみ」の会話パートが理解しにくいかもしれません🥲ゴメンナサイ‥
「あたし」の心象世界にフォーカスを当てたかったので、こういう手法を選びました。
✽タイトルの『Gravity』は、スラングの“惹きつける人”という意味から引っ張ってきました。
✽みなさんの自由な感想をお待ちしてます‥❢
もしもあの世とこの世でSNSがつながるなら。
雪水
青春
あの世とこの世、決して交わることのない2つの世界がもしSNSを通して繋がったなら、というお話。
女の子の名前は春香、男の子の名前は結城。男の子視点でお話が進んで行きます。
途中嘔吐表現が含まれます。ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる