さくらとホタル

湯殿たもと

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さくらとホタル 2

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さくらとホタル 2


荷物を抱えてやって来たのは船引家。チャイムを鳴らす。玄関を開けたかなめ君は大荷物に驚いていた。

「どうしたんだ、文芸部に合宿はないぞ。まあ有ってもいいかもしれないけど」

かなめ君はボクの大荷物を着替えと見通した。ボクが訳を話くと、仕方ないから泊まっても構わないと言った。

「親に見つかるとヤバイから見つからないようにしてくれ」

「うん」

ちょっと後ろめたいけど、かなめ君の家に泊まることができる。後でお礼しなきゃ。

「今日は日曜で親がいるんだ。勉強しに来たことにして、帰ったふりをしてそのまま俺の部屋にとどまっていればいい」

一時間ほど一緒に勉強し、六時くらいに帰ったふりをして、九時くらいまでごろごろ。かなめ君も迂闊に行動出来ないのだろう。ボクのところに夜ご飯を持ってきてくれたのは九時をまわってからだった。

「夜食だ。あんまり良いもん無くてごめんな」

おにぎりを三個。かなめ君がいうにはいつも夜食を食べているのでおにぎりなら怪しまれないという。昆布がはいっていた。

「ひとつ言いづらいことがあるんだよ」

「なに?」

「今夜風呂に入れないんだよ、明日の朝まで待ってくれ」

「えっ?」

「親がいるからな、明日の朝親が出た後なら入れるぞ」

仕方ないかぁ。忍び込んでいる身だからね。朝に入れるだけありがたいわけだし。

三春ちゃんの隣に布団を敷いてもらった。洗って無いのがちょっと気になるけど、布団に入る。この日は疲れたのか、慣れないところでも結構すぐ眠れた。

翌日、月曜日の朝。

かなめ君の親は四時頃車で出掛けていった。だいぶ早いけど、どこで働いているのだろう。

シャワーを浴びて、ゆっくり髪を乾かしていると、五時半ごろに三春ちゃんが起きてきた。結構朝が早い。お弁当を作るからだという。ボクが倒れてからは二人ぶんつくっていたという。

「今日からボクが作るよ」

「悪いよ、不来方さんはお客さんだし」

「客じゃないよ、居候だよ、ボクが迷惑掛けてるんだから」

「客でも居候でも無いな」

いつの間にかかなめ君が起きてきていた。

「この家で暮らしてるんだから家族みたいなもんだ。三人で弁当を作ろうぜ」

かなめ君の提案により、三人でサンドウィッチを作ることにした。具に個性がでて、手間もそこまでかからない。冷蔵庫を開けるとレタスやトマトなどサンドウィッチに丁度良い食材が揃っている。

「えーと、浅漬けは」

「かなめ君寝ぼけてる?」

「寝ぼけてたらこんな発言出来ない。ギャグだ」

こうして作ったサンドウィッチを持って、学校へと向かった。


続きます
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