寄り道戦線異状ナシ!

湯殿たもと

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寄り道戦線異状ナシ!2

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寄り道戦線異状ナシ 2


六月五日。水曜日の今日は朝から数学。脳がまだ眠っているというのにやめてほしい。ところが今日は先生は授業の大半を余計なことを話しただけだった。先生が学生だったころは何もなくて大変だった。高校にいけない人もたくさんいたんだぞ、だから勉強しなさいと説教じみたことを言う。まあ聞いている必要がないと言えばないが、疲れる。

長かった授業(?)が終わり解放される。

「平成の時代にそんな大昔の話をされても困るよな。ったく」

近くの席の小諸がそう言って突き放す。俺も同意だ。もっと勉強しろというのはわかるが、それに貧しいとか物がないとかが関係するとは思えない。むしろ娯楽が無いほうが勉強しかすることないとまで思える。テレビにゲームに携帯電話まである時代にそんなこと言っても無駄だ。俺は携帯持ってないけど。

お昼に学食に行くとなんと他のクラスの生徒も同じ話をしている。なんていうことだ。一緒に学食に来ている浦佐はうどんをすすりながらこんなことを言う。

「あのじいさんよくああいうことをいうんだよ、明智は初めてかもしれないけど、俺があの話を聞いたの三回目」

「三回目だあ?」

「卒業までに十回行くかもな」

「行かないでくれ」


放課後。今日はぜひとも寄りたい店がある。それはCDショップ。今日発売らしいのだが、このすぐ近くの店にはなく電車に乗らねばならない。そこそこの急ぎ足で駅に向かう途中、脇の道から人が走ってかてぶつかてしまった。幸いにもよろけただけで転んではなしい、相手に怪我はなさそうだが・・・・・・見覚えのある顔。

「ごめんなさいっ」

「大丈夫だよ、怪我はない?」

「はいっ、あなたは大丈夫ですか」

「ああ」

それをきっかけとして自然な流れでお互い自己紹介をした。彼女は高原千穂。高校二年で同じ年。近くにある私立の高校に通っているという。校則が厳しいと有名な高校だ。そういえば思い今日走っていた理由を尋ねてみる。

「今日こそはゆっくり買い食いをしようと思いまして」

手にはなにやら食べ物屋の包み紙。

「それで見つかって追い回されたということね」

「恥ずかしながら」

と笑いながら彼女は言うが、それから五秒くらいかけて青ざめた。追い回されている途中だったと本人は言う。呼び止める間もなくさよならと一言言うとどこかへ走って逃げていってしまった。

・・・・・・もう既に逃げ切っていたから自己紹介とか出来たと思うんだけどな。まあいいか。

予定通り電車で目当てのCDショップにたどり着く。ここは日本一の品揃えだという。さすが東京。目当ての物を手に入れ、あまり遅くならないように足早に駅に戻る。ビルの山並みがそびえ、人の波が交わり、長い電車が唸りをあげて走る。

CDラジカセは素敵な音楽を奏で、それを楽しみ就寝。


続きます。

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