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寄り道戦線異状ナシ!
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寄り道戦線異状ナシ!
東京の空というはどす黒くて、絵の具のついた筆を洗った水のような濁りをしている。とはいっても空なんてどうでもいい。それより慣れなきゃいけないものがある。
四月に突然こんな町に放り込まれてしまったのだ。学校に慣れていないというほどでもないが教科書も生徒も先生も違う。2ヶ月経ったから困らないほどには慣れたけど、元の友達が恋しい。
六月三日。
都会の学校は(校風にもよるのだろうけど)今までいた学校とは違うものだ。全体的にきちきちしている。みんな急ぎ足で歩き、それに生徒も先生もきちんとしている。なんとなく違和感があるが本来それでいいのだろう。放課後もみんな部活がない人はすぐ帰ってしまう。別に前の高校では遅くなかったのにこの学校ではちょこっと話していただけで最後尾。べつに競ってるわけでもないし。帰ろうとすると後ろから声。
「明智~ゲーセン行こうぜ!」
「おう、行こう行こう」
友達の浦佐が声をかけてくる。この学校に移ってから一番話している友達だ。放課後にいろいろ道草を食ったりする仲間であり話も合う。
のんびり歩いて学校近くのゲームセンター「銀嶺」へ。まずは何で対戦しようか。
「このゲーム新しく入ったらしいぜ、これで対戦だ」
「よし」
確かに見たことのないゲーム。まったくどちらにも経験がないゲームと来ればフェアだ。他のゲームはやり込みの差でなかなか勝てないやつも余裕なやつもあるのでちょうどいい。
接戦を繰り広げ、勝負には負けたがめちゃくちゃ楽しかった。次に格ゲーで一本勝負したところで自販機のアイスでクールダウン。ゆっくりしていると他の学校の生徒がある大人にゲーセンからつまみ出された。
「あれは私立の先生だな、あの学校厳しいからな」
「そうか、しかしあの私立からだとそれなりにここって距離あるんじゃないのか」
「いちいちこんなところまで見回りに来るなんて」
その後に続く言葉は大変だよ、でもご苦労さんでもない。
「たまったもんじゃないよな!」
「まったくだ」
聞いた話によると部活も文化祭もショボくて、まったく勉強以外何もない学校だという。つまらないなそれは。あの学校に転入してきたら俺は死んだ顔をしていただろう。
六月四日。今日は晴れ。まだ梅雨には早いか。
転入してきて二ヶ月。授業にもだいぶ慣れてきたがまだまだ居眠りできるほどでは無い。それは緊張感という面では良いことでもあるのだが・・・・・・。
そんな緊張感に包まれていたわりにはあっという間に放課後。今日はどうしようか。浦佐は用があると言ってどこかに行っちゃったし、ほかの人はみんな忙しそうだし。東京育ちの人たちがみんな忙しそうにしてるとは思わないが俺の友達はみなそうだ。仕方ない、一人で帰るか。
大地震が来たらすぐに火災が広がりそうな(失礼)昔からある商店街を歩いていくと後ろから駆け足の音。自分を追い越し、目の前の角を曲がり電柱に隠れる。逃げ込んだ女子高生と目が合う。そしてすぐまた駆け足の音が聞こえてくる。
「こちらに走ってくる女子高生をみませんでしたか?」
足音の正体は男子生徒。風紀委員の赤い腕章。なるほどね、そういうことか。
「それならまっすぐ走って行ったぞ、はやく行かないと追いつけないぞ」
「ありがとうございます」
男子生徒が駆けていくのを確認してから女子高生が出てきてお礼を言う。
「ありがとうございます」
「どうして追いかけられてたんだ?」
「買い食いが見つかっちゃって」
「買い食い?それって学校の外じゃないのか」
「学校の外でも風紀委員が見回っているんですよ」
「なるほどねぇ」
先生が見回りするくらいなら聞いたことあるし自分のところでもたまにやっているが・・・・・・きついな。
少し話してその女子生徒とは別れた。自宅に戻ってぐうたらしてると地元の友達から電話がかかってくる。変わったところは特に無いようだった。楽しく話していい気分。さて明日も頑張ろう。
続きます。
東京の空というはどす黒くて、絵の具のついた筆を洗った水のような濁りをしている。とはいっても空なんてどうでもいい。それより慣れなきゃいけないものがある。
四月に突然こんな町に放り込まれてしまったのだ。学校に慣れていないというほどでもないが教科書も生徒も先生も違う。2ヶ月経ったから困らないほどには慣れたけど、元の友達が恋しい。
六月三日。
都会の学校は(校風にもよるのだろうけど)今までいた学校とは違うものだ。全体的にきちきちしている。みんな急ぎ足で歩き、それに生徒も先生もきちんとしている。なんとなく違和感があるが本来それでいいのだろう。放課後もみんな部活がない人はすぐ帰ってしまう。別に前の高校では遅くなかったのにこの学校ではちょこっと話していただけで最後尾。べつに競ってるわけでもないし。帰ろうとすると後ろから声。
「明智~ゲーセン行こうぜ!」
「おう、行こう行こう」
友達の浦佐が声をかけてくる。この学校に移ってから一番話している友達だ。放課後にいろいろ道草を食ったりする仲間であり話も合う。
のんびり歩いて学校近くのゲームセンター「銀嶺」へ。まずは何で対戦しようか。
「このゲーム新しく入ったらしいぜ、これで対戦だ」
「よし」
確かに見たことのないゲーム。まったくどちらにも経験がないゲームと来ればフェアだ。他のゲームはやり込みの差でなかなか勝てないやつも余裕なやつもあるのでちょうどいい。
接戦を繰り広げ、勝負には負けたがめちゃくちゃ楽しかった。次に格ゲーで一本勝負したところで自販機のアイスでクールダウン。ゆっくりしていると他の学校の生徒がある大人にゲーセンからつまみ出された。
「あれは私立の先生だな、あの学校厳しいからな」
「そうか、しかしあの私立からだとそれなりにここって距離あるんじゃないのか」
「いちいちこんなところまで見回りに来るなんて」
その後に続く言葉は大変だよ、でもご苦労さんでもない。
「たまったもんじゃないよな!」
「まったくだ」
聞いた話によると部活も文化祭もショボくて、まったく勉強以外何もない学校だという。つまらないなそれは。あの学校に転入してきたら俺は死んだ顔をしていただろう。
六月四日。今日は晴れ。まだ梅雨には早いか。
転入してきて二ヶ月。授業にもだいぶ慣れてきたがまだまだ居眠りできるほどでは無い。それは緊張感という面では良いことでもあるのだが・・・・・・。
そんな緊張感に包まれていたわりにはあっという間に放課後。今日はどうしようか。浦佐は用があると言ってどこかに行っちゃったし、ほかの人はみんな忙しそうだし。東京育ちの人たちがみんな忙しそうにしてるとは思わないが俺の友達はみなそうだ。仕方ない、一人で帰るか。
大地震が来たらすぐに火災が広がりそうな(失礼)昔からある商店街を歩いていくと後ろから駆け足の音。自分を追い越し、目の前の角を曲がり電柱に隠れる。逃げ込んだ女子高生と目が合う。そしてすぐまた駆け足の音が聞こえてくる。
「こちらに走ってくる女子高生をみませんでしたか?」
足音の正体は男子生徒。風紀委員の赤い腕章。なるほどね、そういうことか。
「それならまっすぐ走って行ったぞ、はやく行かないと追いつけないぞ」
「ありがとうございます」
男子生徒が駆けていくのを確認してから女子高生が出てきてお礼を言う。
「ありがとうございます」
「どうして追いかけられてたんだ?」
「買い食いが見つかっちゃって」
「買い食い?それって学校の外じゃないのか」
「学校の外でも風紀委員が見回っているんですよ」
「なるほどねぇ」
先生が見回りするくらいなら聞いたことあるし自分のところでもたまにやっているが・・・・・・きついな。
少し話してその女子生徒とは別れた。自宅に戻ってぐうたらしてると地元の友達から電話がかかってくる。変わったところは特に無いようだった。楽しく話していい気分。さて明日も頑張ろう。
続きます。
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