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4話 選んだ人間を知ろう
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『名前 佐藤 義武
国籍 ニッポン
性別 男
年齢 24歳
職業 ニート
趣味 引きこもり
嗜好 二次元の女の子
etc.』
「・・・・・・?」
矢が刺さったのはニッポンという国。その国の男性であり、24歳だと言うことまでは分かりましたが、その他の情報について頭に入ってきません。これだけ多くの人間を調査してきたのに、表示項目は初めて見るものばかりでした。
ニートという職業は何でしょうか。趣味の引きこもりもよく分かりません、インドア派という解釈でよろしいのでしょうか。
そして嗜好、平面の女の子が好きという意味が理解できません。そもそも平面の女の子ってなんでしょうか。
考えすぎて頭が沸騰してしまいそうです。
あまり考えすぎるのもよくありません、こんなときのためにこの部屋にもコールシステムがあるのです。
早速コールシステムを起動しコルトバさんの番号へと繋ぐと、スナック菓子を頬張るコルトバさんがモニターに映りました。
『えっ、ちょアリアく――』
コールシステムを解除、とりあえず私は壁の地図を剥がすことから始めました。
プルル!プルル!
やはり信じるべきは自分自身、自分の考えをしっかり持って行動することが大切だと思うのです。分からないからといって上司を頼るのは軟弱な逃げの一手と言え――
プルル!プルル!
「・・・・・・・・・・・・」
あまりに音がうるさいので、コールシステムを起動することにしました。
モニターに映ったのは机の上で土下座をするコルトバさん。私、この人の弱みでも握っていたでしょうか。
『信じてください!ちょうど休憩時間だったんです!サボってお菓子を食べてた訳じゃないんです!』
「はあ・・・・・・あの信じますので土下座は止めていただいてよろしいですか?」
『感謝いたします!』
そのまま後ろにスライドすると、コルトバさんは机から落ちると同時に椅子に座り込みました。謎の技術です。
『それで何の電話かな?』
「あっそうでした。上司のあまりにショッキングなお姿に頭をやられて――」
『もう一回土下座する?』
どうやらプライドは地底奥深くに投げ捨てたようです。
「実はデータを取り扱うに際しまして、言葉の意味が分からないものがあったのでコルトバさんにお聞きしようかと」
『そういうことならじゃんじゃん聞いてよ!僕もアリアくんの助けになりたいしさ!』
「ではまず部署の変更を――」
『どの言葉の意味が分からないんだって!?』
冗談のつもりだったのですが本気で話を逸らされました、私に逃げ場はないようです。
「まずニートって職業から知りたいのですが」
『ニート?ああそれは職業じゃないよ』
「職業じゃない?」
『ざっくり言えば教育も受けてなくて仕事もしてない人ってことだね』
「なるほど、屑のことですね」
『いや、まあ、そうなんだけど・・・・・・』
なんだかコルトバさんの表情が暗くなりました。まずいことを言ったでしょうか。
「では次に引きこもりの意味をお願いします」
『どんな人間か察しちゃったよ・・・・・・引きこもりは家族以外の人とほとんど交流せずに自宅に引き持っている人のことだよ』
「リーチがかかっちゃいましたね」
『何に!?何にリーチがかかっちゃったの!?』
何故かコルトバさんは身を震わせ始めました。一体どうしたというのでしょう。
「最後に『二次元の女の子が嗜好』というのを教えてください」
『ああ、うん。それはたぶんだけど絵に描いた女の子が好きってことじゃないかな?』
「はっ?」
『ひぃ!僕に怒らないでよ!』
「いえ、怒ったのではなく言葉の意味が分からなくて。実物ではなく偽物の女の子がいいってことですか?」
『うーんどうかな。現実の女の子と違って理想像とか描きやすいからなのかな、自分の好みに仕上がるというか』
「仕事はしない・外には出ない・現実は見ない、屑ビンゴです」
『屑ビンゴ!?』
とうとうコルトバさんは奇声を発してしまいました。突然立ち上がって全身で何かを表現しています。ただの質問にそんなに興奮する理由があったでしょうか。
まあ何はともあれ、コルトバさんのおかげで言葉の意味を理解することができました。
「ありがとうございますコルトバさん、何かありましたら連絡させていただきます」
『優しくだよ!?ドル・ワードに来る人間には優し――』
感謝の思いを伝え、そのままコールシステムを解除します。人を理解するというのは、こうも大変なことなのですね。
私の運が悪いのか、なかなか興味深い一人目であることは判明しましたが、異世界を肯定的に捉えてくれる人材であることには変わりありません。
私の思いはどうあれ、異世界人事部の規則を基に対応するのみ。
ここまできた以上、実行すべきことは後一つ。
一人目――佐藤義武さんを時空の狭間に連れてくるだけです。
国籍 ニッポン
性別 男
年齢 24歳
職業 ニート
趣味 引きこもり
嗜好 二次元の女の子
etc.』
「・・・・・・?」
矢が刺さったのはニッポンという国。その国の男性であり、24歳だと言うことまでは分かりましたが、その他の情報について頭に入ってきません。これだけ多くの人間を調査してきたのに、表示項目は初めて見るものばかりでした。
ニートという職業は何でしょうか。趣味の引きこもりもよく分かりません、インドア派という解釈でよろしいのでしょうか。
そして嗜好、平面の女の子が好きという意味が理解できません。そもそも平面の女の子ってなんでしょうか。
考えすぎて頭が沸騰してしまいそうです。
あまり考えすぎるのもよくありません、こんなときのためにこの部屋にもコールシステムがあるのです。
早速コールシステムを起動しコルトバさんの番号へと繋ぐと、スナック菓子を頬張るコルトバさんがモニターに映りました。
『えっ、ちょアリアく――』
コールシステムを解除、とりあえず私は壁の地図を剥がすことから始めました。
プルル!プルル!
やはり信じるべきは自分自身、自分の考えをしっかり持って行動することが大切だと思うのです。分からないからといって上司を頼るのは軟弱な逃げの一手と言え――
プルル!プルル!
「・・・・・・・・・・・・」
あまりに音がうるさいので、コールシステムを起動することにしました。
モニターに映ったのは机の上で土下座をするコルトバさん。私、この人の弱みでも握っていたでしょうか。
『信じてください!ちょうど休憩時間だったんです!サボってお菓子を食べてた訳じゃないんです!』
「はあ・・・・・・あの信じますので土下座は止めていただいてよろしいですか?」
『感謝いたします!』
そのまま後ろにスライドすると、コルトバさんは机から落ちると同時に椅子に座り込みました。謎の技術です。
『それで何の電話かな?』
「あっそうでした。上司のあまりにショッキングなお姿に頭をやられて――」
『もう一回土下座する?』
どうやらプライドは地底奥深くに投げ捨てたようです。
「実はデータを取り扱うに際しまして、言葉の意味が分からないものがあったのでコルトバさんにお聞きしようかと」
『そういうことならじゃんじゃん聞いてよ!僕もアリアくんの助けになりたいしさ!』
「ではまず部署の変更を――」
『どの言葉の意味が分からないんだって!?』
冗談のつもりだったのですが本気で話を逸らされました、私に逃げ場はないようです。
「まずニートって職業から知りたいのですが」
『ニート?ああそれは職業じゃないよ』
「職業じゃない?」
『ざっくり言えば教育も受けてなくて仕事もしてない人ってことだね』
「なるほど、屑のことですね」
『いや、まあ、そうなんだけど・・・・・・』
なんだかコルトバさんの表情が暗くなりました。まずいことを言ったでしょうか。
「では次に引きこもりの意味をお願いします」
『どんな人間か察しちゃったよ・・・・・・引きこもりは家族以外の人とほとんど交流せずに自宅に引き持っている人のことだよ』
「リーチがかかっちゃいましたね」
『何に!?何にリーチがかかっちゃったの!?』
何故かコルトバさんは身を震わせ始めました。一体どうしたというのでしょう。
「最後に『二次元の女の子が嗜好』というのを教えてください」
『ああ、うん。それはたぶんだけど絵に描いた女の子が好きってことじゃないかな?』
「はっ?」
『ひぃ!僕に怒らないでよ!』
「いえ、怒ったのではなく言葉の意味が分からなくて。実物ではなく偽物の女の子がいいってことですか?」
『うーんどうかな。現実の女の子と違って理想像とか描きやすいからなのかな、自分の好みに仕上がるというか』
「仕事はしない・外には出ない・現実は見ない、屑ビンゴです」
『屑ビンゴ!?』
とうとうコルトバさんは奇声を発してしまいました。突然立ち上がって全身で何かを表現しています。ただの質問にそんなに興奮する理由があったでしょうか。
まあ何はともあれ、コルトバさんのおかげで言葉の意味を理解することができました。
「ありがとうございますコルトバさん、何かありましたら連絡させていただきます」
『優しくだよ!?ドル・ワードに来る人間には優し――』
感謝の思いを伝え、そのままコールシステムを解除します。人を理解するというのは、こうも大変なことなのですね。
私の運が悪いのか、なかなか興味深い一人目であることは判明しましたが、異世界を肯定的に捉えてくれる人材であることには変わりありません。
私の思いはどうあれ、異世界人事部の規則を基に対応するのみ。
ここまできた以上、実行すべきことは後一つ。
一人目――佐藤義武さんを時空の狭間に連れてくるだけです。
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