9 / 33
第三章「昔の彼と、今の彼」
①
しおりを挟む
それからまた数日が経ち、一心君の熱もほとんど下がった。わたしはというと、あの日の反省を生かしながら彼とのちょうどいい距離を模索中だ。
「おはよう、日向」
朝、学校へ向かう途中で後ろからポンと肩を叩かれる。
「コマちゃんおはよう」
「今日は雨じゃなくてよかったね」
「やっとコートで練習できるよ。廊下で筋トレばっかりしてて、飽きあきしてたんだ」
コマちゃんはソフトテニス部で、まだ入ったばっかりなのにもうエース候補だって言われているらしい。真剣な表情でさっそうとコートを駆ける姿は、すごくかっこいい。
ちなみにわたしは、なんの部活にも入っていない。ココアの散歩にも行きたいし、将来の夢の為に料理の練習もしたいからっていう理由。
お母さんは「せっかくの青春なのに」なんて言ってたけど、わたしの毎日は十分充実してる。
「おはよう三ツ星さん」
「あ、月森君。おはよう」
今度は左の肩を叩かれて振り向くと、爽やかな笑顔を浮かべた月森君が立っていた。
「今日も暑いね」
「ちょっと月森。わたしには?」
「ああ、居たんだ。おはよう」
「この…っ」
ぐぬぬ…という効果音が聞こえてきそうなコマちゃんの顔。月森君は特に気にする様子もなく、わたしの隣に並んだ。
こうして登校している間にも、あちこちからハートマークの視線が彼に刺さっている。
「ホントあんたって良い性格してるよね」
「君には言われたくないな」
顔を合わせると言い合いばかりしている二人だけど、裏を返せばそれだけ気のおけない関係だってことなのかもしれない。
「二人とも仲良しだね」
「「絶対やめて!!」」
ニコニコしながらそう言うと、間髪入れずに両サイドから大声が飛んでくる。
それは見事にピッタリと重なっていた。
「そういえば、昨日《ルプス》の写真集が届いたんだけど」
コマちゃんがわたしに話を振ると、すかさず月森君が嫌そうな顔で止める。
「朝からそんな話はやめてくれ」
「なによ月森!だったらアンタは先に行けばいいでしょ!」
「僕は三ツ星さんと一緒に行きたいんだ!」
「わたしだってそうだし!」
わたしを真ん中に挟んで、コマちゃんと月森君がまたギャイギャイと言い合いをはじめた。
「まぁまぁ落ち着いて」
そう言って笑いながら、わたしはふと一心君のことを思い出す。これはもう最近のクセみたいなもので、ことあるごとに彼のことを考えてしまってる。
わたしがこうして友達と楽しく会話してる間も、一心君は部屋で一人なんだろうなって。
「三ツ星さんどうしたの?ボーッとして」
「えっ?ううん、なんでもないよ」
「月森、あんた日向のこと見過ぎだから。顔近いし、ちょっと離れてよね」
シッシッと言いながら手をヒラヒラさせるコマちゃんに、月森君は怒ったように眉を吊り上げた。
「おい生駒、君いい加減に…っ」
「あらら?みんなのアイドル月森君がそんな怖い顔していいのかなぁ?ファン達が見てるよ」
コマちゃんがニヤニヤしながらそう言った瞬間、月森君はハッとした表情で辺りを見回す。
「せーのっ、月森せんぱーい!」
流石月森君。後輩の女の子達が彼に向かって手を振っている。さっきまでの怒った顔が嘘みたいに、彼は王子様スマイルを浮かべる。
かと思ったら、ハッとしたようにわたしを見た。
「ちっ、違うんだ三ツ星さん!彼女達はあくまで僕のファンという立ち位置で、僕はいつだって…っ」
「ああもう、月森がいると一生学校に着かない!行こう、日向!」
しびれを切らしたコマちゃんが、パシッとわたしの手を掴む。そしてそのまま、勢いよく駆け出した。
「あ、あれ?月森君ごめん先に行くね!」
「ちょっと待って、三ツ星さん…!」
テニス部期待の星であるコマちゃんの足は、わたしには止められない。こっちに手を伸ばしながら叫んでいる月森君の声を聞きながら、コマちゃんが大笑いしていた。
それから午前中の授業を受けて、昼休みは机机をくっつけてエッコちゃんと一緒に食べる。残念ながらハルちゃんは今日、風邪でお休みだ。
「明日はまた雨だって」
「雨は嫌いじゃないけど、ココアの散歩が出来なくなるのがなぁ」
「サンちゃんは本当にココアちゃん好きだね。ウチはお父さんが犬嫌いだから飼えなくて、うらやましいな」
「またいつでもココアに会いに来てよ」
エッコちゃんのお家は、道場を営んでいる。若い頃オリンピックの出場候補に選ばれたこともあるらしくて、この辺りでは有名人だ。
「あのね?ウチのお父さん、昔人狼にケガさせられたことがあるんだ。だから犬も苦手になっちゃったんだって」
ふいにエッコちゃんの表情が曇る。わたしは思わず、手に持っていたおにぎりを置いた。
「オリンピックに出ても絶対メダルは獲れるだろうって言われてたらしいんだけど、そのケガが原因で調子が出なくて結局選手から外されちゃって、すごく辛い思いをしたって。その話を聞いてからわたし、人狼のことが好きじゃないんだ。もちろん、みんな一緒にしちゃダメだってことも分かってるんだけどね」
そういう事情があったんだと、心が痛む。
「エッコちゃんのお父さんはすごいね。そんなに辛いことがあっても、ちゃんと乗り越えて先生として慕われてるんだもん」
「ありがとう。そう言ってもらえるとお父さんも嬉しいと思う」
ニコッと笑うエッコちゃんは、家族思いの優しい子だ。
「アンちゃんが言ってたでしょ?差別されたくないから、人狼だってことを隠して生活してる人もいるって」
「そういえば、そんなこと言ってたね」
「サンちゃんはもし、仲の良い子が本当は人狼だったって知ったら、どうする?」
そう言われて頭に真っ先に浮かんだのは、一心君と心さんの顔。
わたしは、二人のことが大好きだった。人だとか人狼だとかそんなこと関係ないし、そんな世界になればいいのになって思う。
「もし友達が人狼だったとしても、なにも変わらないと思う。だってわたしは、その子自身のことを好きになったんだもん」
そう口にした後、ハッとする。
「あ、でもエッコちゃんのお父さんやエッコちゃんの考え方も分かるし、あくまでわたしはってことだから!」
「うん、分かってるから大丈夫」
胸の前で両手をブンブンと振るわたしを見て、エッコちゃんは笑った。
「サンちゃんっていつもそうだもんね。誰にでも同じように優しいっていうか、人の良いところを見つけるのが得意っていうか」
「えっ、そうかな?」
「そうだよ。トロいってからかわれてたわたしに、ゆっくりで丁寧にできてすごいって言ってくれたもん。あれ、嬉しかったなぁ」
褒められると恥ずかしくて、頬っぺたが熱くなる。
「あ、お父さんの話は誰にもしたことないから、内緒ね?ついでに、犬が苦手だってことも」
「もちろん、言わないよ」
グッと拳を握ると、エッコちゃんは「ありがとう」と笑いながらうなずいた。
「おはよう、日向」
朝、学校へ向かう途中で後ろからポンと肩を叩かれる。
「コマちゃんおはよう」
「今日は雨じゃなくてよかったね」
「やっとコートで練習できるよ。廊下で筋トレばっかりしてて、飽きあきしてたんだ」
コマちゃんはソフトテニス部で、まだ入ったばっかりなのにもうエース候補だって言われているらしい。真剣な表情でさっそうとコートを駆ける姿は、すごくかっこいい。
ちなみにわたしは、なんの部活にも入っていない。ココアの散歩にも行きたいし、将来の夢の為に料理の練習もしたいからっていう理由。
お母さんは「せっかくの青春なのに」なんて言ってたけど、わたしの毎日は十分充実してる。
「おはよう三ツ星さん」
「あ、月森君。おはよう」
今度は左の肩を叩かれて振り向くと、爽やかな笑顔を浮かべた月森君が立っていた。
「今日も暑いね」
「ちょっと月森。わたしには?」
「ああ、居たんだ。おはよう」
「この…っ」
ぐぬぬ…という効果音が聞こえてきそうなコマちゃんの顔。月森君は特に気にする様子もなく、わたしの隣に並んだ。
こうして登校している間にも、あちこちからハートマークの視線が彼に刺さっている。
「ホントあんたって良い性格してるよね」
「君には言われたくないな」
顔を合わせると言い合いばかりしている二人だけど、裏を返せばそれだけ気のおけない関係だってことなのかもしれない。
「二人とも仲良しだね」
「「絶対やめて!!」」
ニコニコしながらそう言うと、間髪入れずに両サイドから大声が飛んでくる。
それは見事にピッタリと重なっていた。
「そういえば、昨日《ルプス》の写真集が届いたんだけど」
コマちゃんがわたしに話を振ると、すかさず月森君が嫌そうな顔で止める。
「朝からそんな話はやめてくれ」
「なによ月森!だったらアンタは先に行けばいいでしょ!」
「僕は三ツ星さんと一緒に行きたいんだ!」
「わたしだってそうだし!」
わたしを真ん中に挟んで、コマちゃんと月森君がまたギャイギャイと言い合いをはじめた。
「まぁまぁ落ち着いて」
そう言って笑いながら、わたしはふと一心君のことを思い出す。これはもう最近のクセみたいなもので、ことあるごとに彼のことを考えてしまってる。
わたしがこうして友達と楽しく会話してる間も、一心君は部屋で一人なんだろうなって。
「三ツ星さんどうしたの?ボーッとして」
「えっ?ううん、なんでもないよ」
「月森、あんた日向のこと見過ぎだから。顔近いし、ちょっと離れてよね」
シッシッと言いながら手をヒラヒラさせるコマちゃんに、月森君は怒ったように眉を吊り上げた。
「おい生駒、君いい加減に…っ」
「あらら?みんなのアイドル月森君がそんな怖い顔していいのかなぁ?ファン達が見てるよ」
コマちゃんがニヤニヤしながらそう言った瞬間、月森君はハッとした表情で辺りを見回す。
「せーのっ、月森せんぱーい!」
流石月森君。後輩の女の子達が彼に向かって手を振っている。さっきまでの怒った顔が嘘みたいに、彼は王子様スマイルを浮かべる。
かと思ったら、ハッとしたようにわたしを見た。
「ちっ、違うんだ三ツ星さん!彼女達はあくまで僕のファンという立ち位置で、僕はいつだって…っ」
「ああもう、月森がいると一生学校に着かない!行こう、日向!」
しびれを切らしたコマちゃんが、パシッとわたしの手を掴む。そしてそのまま、勢いよく駆け出した。
「あ、あれ?月森君ごめん先に行くね!」
「ちょっと待って、三ツ星さん…!」
テニス部期待の星であるコマちゃんの足は、わたしには止められない。こっちに手を伸ばしながら叫んでいる月森君の声を聞きながら、コマちゃんが大笑いしていた。
それから午前中の授業を受けて、昼休みは机机をくっつけてエッコちゃんと一緒に食べる。残念ながらハルちゃんは今日、風邪でお休みだ。
「明日はまた雨だって」
「雨は嫌いじゃないけど、ココアの散歩が出来なくなるのがなぁ」
「サンちゃんは本当にココアちゃん好きだね。ウチはお父さんが犬嫌いだから飼えなくて、うらやましいな」
「またいつでもココアに会いに来てよ」
エッコちゃんのお家は、道場を営んでいる。若い頃オリンピックの出場候補に選ばれたこともあるらしくて、この辺りでは有名人だ。
「あのね?ウチのお父さん、昔人狼にケガさせられたことがあるんだ。だから犬も苦手になっちゃったんだって」
ふいにエッコちゃんの表情が曇る。わたしは思わず、手に持っていたおにぎりを置いた。
「オリンピックに出ても絶対メダルは獲れるだろうって言われてたらしいんだけど、そのケガが原因で調子が出なくて結局選手から外されちゃって、すごく辛い思いをしたって。その話を聞いてからわたし、人狼のことが好きじゃないんだ。もちろん、みんな一緒にしちゃダメだってことも分かってるんだけどね」
そういう事情があったんだと、心が痛む。
「エッコちゃんのお父さんはすごいね。そんなに辛いことがあっても、ちゃんと乗り越えて先生として慕われてるんだもん」
「ありがとう。そう言ってもらえるとお父さんも嬉しいと思う」
ニコッと笑うエッコちゃんは、家族思いの優しい子だ。
「アンちゃんが言ってたでしょ?差別されたくないから、人狼だってことを隠して生活してる人もいるって」
「そういえば、そんなこと言ってたね」
「サンちゃんはもし、仲の良い子が本当は人狼だったって知ったら、どうする?」
そう言われて頭に真っ先に浮かんだのは、一心君と心さんの顔。
わたしは、二人のことが大好きだった。人だとか人狼だとかそんなこと関係ないし、そんな世界になればいいのになって思う。
「もし友達が人狼だったとしても、なにも変わらないと思う。だってわたしは、その子自身のことを好きになったんだもん」
そう口にした後、ハッとする。
「あ、でもエッコちゃんのお父さんやエッコちゃんの考え方も分かるし、あくまでわたしはってことだから!」
「うん、分かってるから大丈夫」
胸の前で両手をブンブンと振るわたしを見て、エッコちゃんは笑った。
「サンちゃんっていつもそうだもんね。誰にでも同じように優しいっていうか、人の良いところを見つけるのが得意っていうか」
「えっ、そうかな?」
「そうだよ。トロいってからかわれてたわたしに、ゆっくりで丁寧にできてすごいって言ってくれたもん。あれ、嬉しかったなぁ」
褒められると恥ずかしくて、頬っぺたが熱くなる。
「あ、お父さんの話は誰にもしたことないから、内緒ね?ついでに、犬が苦手だってことも」
「もちろん、言わないよ」
グッと拳を握ると、エッコちゃんは「ありがとう」と笑いながらうなずいた。
20
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる