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第三章「縮んでいくキョリ」
①
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「こんにちはー、お邪魔します」
「ツバサちゃん!」
「ツバサ!」
インターホンを押すとすぐに、中からドタドタという足音が聞こえてくる。バン!と勢いよくドアが開いて、二人が飛びついてきた。
「来てくれて嬉しい!」
ミドリ君がくりくりのおめめで私を見上げる。
「ツバサ、今日は忍者ごっこしよーぜ!」
アオ君は既に、手におもちゃの剣を握っていた。
二人は双子だけど、二卵性らしくて少しずつ違う。ちょっとタレ目なのがアオ君で、やんちゃなのがミドリ君って感じかな?
「ツバサちゃん、宿題が終わったら僕とも遊んで」
そう声をかけてきたギンガ君も、二人とよく似てる。ホントに可愛いって感じの顔立ちだ。
「今日も皆で、いっぱい遊ぼう!」
私はアオ君から借りたサメオさんぬいぐるみを天高く上げて、大声でそう言った。
ミドリ君もアオ君もギンガ君も、それはまぁ元気だ。部活終わりにこうやって遊ぶのは、体力的には結構大変。
だけどそれより、楽しいっていう気持ちの方が断然勝ってる。この間もそうだったけど、いつのまにか私は相手をしてるっていうよりも同じ目線で本気で全力で遊んでた。
「ほら見て!サメオさん空飛んでるよー!」
「アハハッ、ツバサが変なことしてるー」
「見てみてアオ君!」
「ツバサちゃんおもしろーい!」
皆でわいわい騒いでいる時も、私はチラチラとキッチンに視線を移す。甘崎君は今日もせっせと、皆のご飯を作ってる。
役には立たないだろうけど、一応甘崎君に「手伝うよ」って声をかけた。でも彼は「アイツらの相手してくれるだけで十分」だって。
あ、何だかフライパンがジュウジュウ音を立ててる。今日の献立は何かなぁ。
匂いだけでよだれが出ちゃいそうだから、気をつけないと。
そうこうしている内に夕飯が完成して、皆で食べる準備をする。部屋で宿題をしていたシュタロー君も降りてきて、皆でパチンと手を合わせた。
「嘘、ハンバーグだ…」
私はポカンと口を開けて、目の前に置かれたソースたっぷりのハンバーグを見つめる。
「何その喜び方」
「私ハンバーグだいっ好きなの!」
手作りのハンバーグが食べられるのなんて、いつぶりだろう。お母さんは昔から仕事が忙しくて、小さい頃はお手伝いさんがよく作ってくれてた。
しかもケチャップじゃなくて、ちゃんとデミグラスソースだ。
「甘崎君って、ホントに何者なの…」
「だから大げさだって」
そう言いながらも、甘崎君は少し照れたように指で頬っぺたをかいた。
箸でハンバーグを切ると、ジュワッと肉汁が溢れてくる。ぱくんと口に入れると、お肉のジューシーさとソースの甘みが口いっぱいに広がった。
「うわぁ…おいしい…」
「ツバサちゃんが泣きそうな顔してる」
ギンガ君が私の顔を指さす。
「だって、おいしすぎるから…」
どうしよう、箸が止まらない。付け合わせのじゃがいもと人参もおいしいし、溶き卵がふわふわのコンソメスープもおいしい。
「甘崎君は天才だね」
「はいはい。いいから食べて」
食べながら褒めまくる私に、甘崎君は呆れたように笑った。
「ツバサちゃん!」
「ツバサ!」
インターホンを押すとすぐに、中からドタドタという足音が聞こえてくる。バン!と勢いよくドアが開いて、二人が飛びついてきた。
「来てくれて嬉しい!」
ミドリ君がくりくりのおめめで私を見上げる。
「ツバサ、今日は忍者ごっこしよーぜ!」
アオ君は既に、手におもちゃの剣を握っていた。
二人は双子だけど、二卵性らしくて少しずつ違う。ちょっとタレ目なのがアオ君で、やんちゃなのがミドリ君って感じかな?
「ツバサちゃん、宿題が終わったら僕とも遊んで」
そう声をかけてきたギンガ君も、二人とよく似てる。ホントに可愛いって感じの顔立ちだ。
「今日も皆で、いっぱい遊ぼう!」
私はアオ君から借りたサメオさんぬいぐるみを天高く上げて、大声でそう言った。
ミドリ君もアオ君もギンガ君も、それはまぁ元気だ。部活終わりにこうやって遊ぶのは、体力的には結構大変。
だけどそれより、楽しいっていう気持ちの方が断然勝ってる。この間もそうだったけど、いつのまにか私は相手をしてるっていうよりも同じ目線で本気で全力で遊んでた。
「ほら見て!サメオさん空飛んでるよー!」
「アハハッ、ツバサが変なことしてるー」
「見てみてアオ君!」
「ツバサちゃんおもしろーい!」
皆でわいわい騒いでいる時も、私はチラチラとキッチンに視線を移す。甘崎君は今日もせっせと、皆のご飯を作ってる。
役には立たないだろうけど、一応甘崎君に「手伝うよ」って声をかけた。でも彼は「アイツらの相手してくれるだけで十分」だって。
あ、何だかフライパンがジュウジュウ音を立ててる。今日の献立は何かなぁ。
匂いだけでよだれが出ちゃいそうだから、気をつけないと。
そうこうしている内に夕飯が完成して、皆で食べる準備をする。部屋で宿題をしていたシュタロー君も降りてきて、皆でパチンと手を合わせた。
「嘘、ハンバーグだ…」
私はポカンと口を開けて、目の前に置かれたソースたっぷりのハンバーグを見つめる。
「何その喜び方」
「私ハンバーグだいっ好きなの!」
手作りのハンバーグが食べられるのなんて、いつぶりだろう。お母さんは昔から仕事が忙しくて、小さい頃はお手伝いさんがよく作ってくれてた。
しかもケチャップじゃなくて、ちゃんとデミグラスソースだ。
「甘崎君って、ホントに何者なの…」
「だから大げさだって」
そう言いながらも、甘崎君は少し照れたように指で頬っぺたをかいた。
箸でハンバーグを切ると、ジュワッと肉汁が溢れてくる。ぱくんと口に入れると、お肉のジューシーさとソースの甘みが口いっぱいに広がった。
「うわぁ…おいしい…」
「ツバサちゃんが泣きそうな顔してる」
ギンガ君が私の顔を指さす。
「だって、おいしすぎるから…」
どうしよう、箸が止まらない。付け合わせのじゃがいもと人参もおいしいし、溶き卵がふわふわのコンソメスープもおいしい。
「甘崎君は天才だね」
「はいはい。いいから食べて」
食べながら褒めまくる私に、甘崎君は呆れたように笑った。
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