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第一章「憧れのセンパイ」
⑤
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「はぁ…」
帰り道。一人でトボトボと歩きながら、夕焼け空に向かって大きなため息をついた。
王寺先輩が甘党だってことを知れたのはよかったけど、お菓子作りが得意で家庭的な子がタイプなんて。
私とは真逆のタイプだ。お菓子なんて、自分で作ったこともない。しいていえば、昔バレンタインの時チョコレートを溶かして固めたくらい。
食べるのは大大大好きだけど、作ろうなんて考えたこともなかった。
はーちゃんもお菓子とか作らないだろうし、お母さんは…無理だし。
せっかく少し話せるようになったっていうのに、新たな壁。頑張ろうにも、どうやって頑張ったらいいのか分からないからこまる。スマホでお菓子の作り方調べたら、一人でもできるかなぁ。
なんてぶつぶつ悩みながら歩いていたら、あっという間に家に着いてしまった。レンガ調の一軒家が、私の家。やたらと広い庭は、草が生え放題で台無しになってる。
それを横目で見て、のろのろとカバンから鍵を取り出そうとしたその時。
「…ん?」
ふわんと鼻をくすぐる出汁のいい匂いが漂ってきた。その匂いのする方に顔を向けると、それはお隣さんみたいで。
あれ?でもおかしいな。お隣さんは確か、一ヶ月くらい前に海外に引っ越したはずなのに。
なんとなく気になった私は、自分の家の庭から首を伸ばしてこっそりお隣さんを覗き込む。雑草が足首に当たって、チクチクかゆい。
うーん。ここからじゃよく分からないけど、まさか不審者が勝手に家に入って料理してるわけないだろうし…
ガラッ
突然窓が空いたと思ったら、そこから何かが投げられた。それは見事に、ポスッと私の顔面にヒットする。
「え!な、何!」
何が起こったのかと一瞬パニックになったけど、足元に落ちたぬいぐるみを拾い上げて理解した。
今、これが私の顔に投げつけられたのか。
いや、何で!?
帰り道。一人でトボトボと歩きながら、夕焼け空に向かって大きなため息をついた。
王寺先輩が甘党だってことを知れたのはよかったけど、お菓子作りが得意で家庭的な子がタイプなんて。
私とは真逆のタイプだ。お菓子なんて、自分で作ったこともない。しいていえば、昔バレンタインの時チョコレートを溶かして固めたくらい。
食べるのは大大大好きだけど、作ろうなんて考えたこともなかった。
はーちゃんもお菓子とか作らないだろうし、お母さんは…無理だし。
せっかく少し話せるようになったっていうのに、新たな壁。頑張ろうにも、どうやって頑張ったらいいのか分からないからこまる。スマホでお菓子の作り方調べたら、一人でもできるかなぁ。
なんてぶつぶつ悩みながら歩いていたら、あっという間に家に着いてしまった。レンガ調の一軒家が、私の家。やたらと広い庭は、草が生え放題で台無しになってる。
それを横目で見て、のろのろとカバンから鍵を取り出そうとしたその時。
「…ん?」
ふわんと鼻をくすぐる出汁のいい匂いが漂ってきた。その匂いのする方に顔を向けると、それはお隣さんみたいで。
あれ?でもおかしいな。お隣さんは確か、一ヶ月くらい前に海外に引っ越したはずなのに。
なんとなく気になった私は、自分の家の庭から首を伸ばしてこっそりお隣さんを覗き込む。雑草が足首に当たって、チクチクかゆい。
うーん。ここからじゃよく分からないけど、まさか不審者が勝手に家に入って料理してるわけないだろうし…
ガラッ
突然窓が空いたと思ったら、そこから何かが投げられた。それは見事に、ポスッと私の顔面にヒットする。
「え!な、何!」
何が起こったのかと一瞬パニックになったけど、足元に落ちたぬいぐるみを拾い上げて理解した。
今、これが私の顔に投げつけられたのか。
いや、何で!?
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