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最終章「悪役令嬢は卒業!って、世の中そんなに甘くない⁉︎」
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数日経った日のお昼休み。夕日ヶ丘君は相変わらず、男子からも女子からもモテモテ。最近はキラキラの笑顔を見ても、胸の中がモヤモヤすることはなくなった。
夕日ヶ丘君の言葉ひとつで、わたしの天気はクルクル変わる。快晴、くもり、雷、大雨。これがホントの天気だったら、めちゃくちゃ大変だと思う。良かった、わたしの心の中限定で。
夕日ヶ丘君がみんなに囲まれてるのを、こっそり盗み見。前と変わらない様子にホッとしながら、お手洗いに行こうと思って立ち上がる。
「あ、あの……朝日さん……っ!」
教室を出て少し歩くと、途中で誰かに名前を呼ばれた。
「東田さん?」
胸の前で手をギュッとにぎって、食べられる前のウサギみたいなウルウルの瞳でこっちを見つめてるのは、東田さんだった。去年同じクラスだったけど、今は違う。彼女は今、華組のトナリの虹組だったよね。
どっちかといえばおとなしいタイプで、たまに挨拶とかしてくれる、優しい子だ。
この間の防災訓練で、東田さんにかかりそうだったお湯を、わたしが代わりにかぶった。って言っても、考えるより先に体が前に出てたし、あの時は東田さんだって気付かなかったんだけどね。ケガはなかったみたいで、ホントに良かった。
「あ、あの……」
東田さん、すごいモジモジしてる。もしかして、わたしと一緒なのかな。
「トイレなら、あっちだけど」
「え⁉︎う、うん。知ってるよ」
そりゃそうだよね。トナリのクラスだしね。
「あ、あのね。わたし、この間ちゃんとお礼言えなかったなって……思って……」
「この間って……」
ああ、防災訓練のことか。東田さん、気にしてるのかな。
「別に良いよ、大丈夫」
もう、わたしのバカバカ!なんでこんなそっけない感じになっちゃうの!夕日ヶ丘君の前では、あんなにしゃべれるのに!あ。あと最近は南さんの前でも、かな?
「で、でも……」
東田さん、やっぱりモジモジしてる。
「早く(トイレ)行かないと」
「あ、ご、ごめんなさい!」
えっ?なんで謝られたの⁉︎しかもめちゃくちゃ悲しそうな顔してる!ど、ど、どうしよう!
「引き止めてごめんなさい!わたしもう行くね!」
東田さんはそのまま、パッと向きを変える。わたしはあわてて、その背中に向けて「ありがとう!」って叫んだ。
なにがありがとうなんだかよく分かんないけど、とにかくそれだけは言いたくて。
「……わ、わたしこそ!助けてくれて、ありがとう……っ!」
東田さんが振り返って、同じ言葉を返してくれる。ここからでも、彼女のほっぺが赤いのが分かった。
「うう……」
うれしい、うれしすぎる。だって、わたしのことこわいのに、勇気出してくれたってことだもんね。東田さん、良い人だなぁ……。
「あ、トイレそっちじゃないのに!」
すごい大事なことに気付いた時には、もう東田さんの姿は見えなくなってた。
夕日ヶ丘君の言葉ひとつで、わたしの天気はクルクル変わる。快晴、くもり、雷、大雨。これがホントの天気だったら、めちゃくちゃ大変だと思う。良かった、わたしの心の中限定で。
夕日ヶ丘君がみんなに囲まれてるのを、こっそり盗み見。前と変わらない様子にホッとしながら、お手洗いに行こうと思って立ち上がる。
「あ、あの……朝日さん……っ!」
教室を出て少し歩くと、途中で誰かに名前を呼ばれた。
「東田さん?」
胸の前で手をギュッとにぎって、食べられる前のウサギみたいなウルウルの瞳でこっちを見つめてるのは、東田さんだった。去年同じクラスだったけど、今は違う。彼女は今、華組のトナリの虹組だったよね。
どっちかといえばおとなしいタイプで、たまに挨拶とかしてくれる、優しい子だ。
この間の防災訓練で、東田さんにかかりそうだったお湯を、わたしが代わりにかぶった。って言っても、考えるより先に体が前に出てたし、あの時は東田さんだって気付かなかったんだけどね。ケガはなかったみたいで、ホントに良かった。
「あ、あの……」
東田さん、すごいモジモジしてる。もしかして、わたしと一緒なのかな。
「トイレなら、あっちだけど」
「え⁉︎う、うん。知ってるよ」
そりゃそうだよね。トナリのクラスだしね。
「あ、あのね。わたし、この間ちゃんとお礼言えなかったなって……思って……」
「この間って……」
ああ、防災訓練のことか。東田さん、気にしてるのかな。
「別に良いよ、大丈夫」
もう、わたしのバカバカ!なんでこんなそっけない感じになっちゃうの!夕日ヶ丘君の前では、あんなにしゃべれるのに!あ。あと最近は南さんの前でも、かな?
「で、でも……」
東田さん、やっぱりモジモジしてる。
「早く(トイレ)行かないと」
「あ、ご、ごめんなさい!」
えっ?なんで謝られたの⁉︎しかもめちゃくちゃ悲しそうな顔してる!ど、ど、どうしよう!
「引き止めてごめんなさい!わたしもう行くね!」
東田さんはそのまま、パッと向きを変える。わたしはあわてて、その背中に向けて「ありがとう!」って叫んだ。
なにがありがとうなんだかよく分かんないけど、とにかくそれだけは言いたくて。
「……わ、わたしこそ!助けてくれて、ありがとう……っ!」
東田さんが振り返って、同じ言葉を返してくれる。ここからでも、彼女のほっぺが赤いのが分かった。
「うう……」
うれしい、うれしすぎる。だって、わたしのことこわいのに、勇気出してくれたってことだもんね。東田さん、良い人だなぁ……。
「あ、トイレそっちじゃないのに!」
すごい大事なことに気付いた時には、もう東田さんの姿は見えなくなってた。
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