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第六章「彼のトナリをかけたタイマン勝負⁉︎の前に嫌われちゃった⁉︎」
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「その証拠に、朝日さんのオモシロ写真いっぱい持ってるしな、おれ」
「あ、あ、あれー!ないと思ってたら、持って帰っちゃってたの?」
「センセーには、ナイショな?」
そ、そんな顔して言ったってダメなんだからね⁉︎カッコいいのに、かわいい顔もできるとか、ズルい!
「でも朝日さん、最近おれのことちょっと避けてなかった?」
「え?そ、そんなことないよ⁉︎」
「めちゃくちゃ分かりやすいんだけど」
そうなんだよ、ウチの家族ってみんなウソが下手なんだよね……。
「避けてたっていうか、うまく言えないんだけど……」
これ以上ゴカイさせるのもいやだから、正直に全部話した。って言っても、ホントにうまくいえないんだけど。
夕日ヶ丘君のキラキラスマイルはステキ、でも見てると胸がギュッてなるし、キラキラスマイルじゃない夕日ヶ丘君を知ってるのがわたしだけってことが、すごくうれしい。それに最近、夕日ヶ丘君を見つけるとみんなの前でも声かけちゃいそうになる。だから、ついいやな態度になっちゃった。
「ってわけなんだ。ごめんね、夕日ヶ丘君」
チラッと彼を見ると、なんでかほっぺたが赤い。あ、耳も赤い。
「朝日さん、そんなこと言うキャラじゃなかったじゃん」
「わたしも、初めてだよ」
「うわ……なんだこれ」
どんどん顔が赤くなって、手がパタパタしてる。いつもヨユーそうな夕日ヶ丘君が、めずらしく焦ってる。
「やっぱりいやだった?」
「い、いやそういうわけじゃ」
「なんか変だよ、大丈夫?」
心配になって、夕日ヶ丘君の顔をのぞき込む。パチッと目が合った瞬間、思いっきり逸らされた。
ガーン、みたいな悲しい音が頭の中に響く。悲しくなって、わたしはガックリと頭を下げた。
「ち、違うから!いやでもないし、怒ってもないから!」
「ホント?ホントにホント?」
「ホントだってば!近いし、その顔やめて!もっといつもみたいに、こわい顔してよ!」
ちょっと、いつもみたいにこわい顔ってなに⁉︎
「わたし、今どんな顔してる?」
「し、知らない!」
あらら、夕日ヶ丘君顔隠しちゃった。
「えへへ……」
でも、うれしい。もう、こうして話せないって思ってたから。
「そうそう。そのこわい顔が、いつもの朝日さんって感じで、落ち着くよ!」
夕日ヶ丘君は、ビシッと親指を立てる。あれ?わたし今、結構自然に笑えてたつもりだったんだけど……あれ?
首をカクカクさせるわたしと、んんっと咳払いする夕日ヶ丘君。なんかかみ合ってない気がするけど、まぁいっか。
「てか、どうするの?南さんとの勝負は完敗だったじゃん」
「そういえば、すっかり忘れてた。夕日ヶ丘君が拍手してくれたのがうれしすぎて、正直言うともういいやって思っちゃって」
あ、夕日ヶ丘君また顔隠してる。
「おれも一緒に言うよ。このまま、朝日さんが副委員長じゃなくなるのも、なんかいやだし」
「でもわたし……」
「おれだって、こうして素が出せる相手はキチョーだし、朝日さんといるとタイクツしないしさ」
照れ隠しみたいに、ニッて笑う夕日ヶ丘君を見ると、また泣きそうになる。
「ホントに良い人だよね、夕日ヶ丘君って……うう……」
「別に、誰にでもそうしてるんじゃないからね⁉︎おれは、朝日さんだから、その……」
「よし!わたしも夕日ヶ丘君を見習って、もう一回南さんと話してみるよ!」
おっきい声で宣言しながら、にぎった拳でドン!と胸を叩く。夕日ヶ丘君が、ビクッと肩を揺らした。
「じゃあ、帰ろっか!あ、一緒に出るのはまずいから、夕日ヶ丘君先に……」
「いいよ、一緒に帰ろ」
「え⁉︎で、でも」
「いいからほら、帰るよ!朝日さん!」
夕日ヶ丘君が、笑ってる。みんなの前での師匠スマイルも、今のちょっとイジワルスマイルも、わたしにとってはどっちもキラキラして見える。
「うん!」
わたしも思いっきり笑いながら、夕日ヶ丘君の背中を小走りで追いかけたのだった。
「あ、あ、あれー!ないと思ってたら、持って帰っちゃってたの?」
「センセーには、ナイショな?」
そ、そんな顔して言ったってダメなんだからね⁉︎カッコいいのに、かわいい顔もできるとか、ズルい!
「でも朝日さん、最近おれのことちょっと避けてなかった?」
「え?そ、そんなことないよ⁉︎」
「めちゃくちゃ分かりやすいんだけど」
そうなんだよ、ウチの家族ってみんなウソが下手なんだよね……。
「避けてたっていうか、うまく言えないんだけど……」
これ以上ゴカイさせるのもいやだから、正直に全部話した。って言っても、ホントにうまくいえないんだけど。
夕日ヶ丘君のキラキラスマイルはステキ、でも見てると胸がギュッてなるし、キラキラスマイルじゃない夕日ヶ丘君を知ってるのがわたしだけってことが、すごくうれしい。それに最近、夕日ヶ丘君を見つけるとみんなの前でも声かけちゃいそうになる。だから、ついいやな態度になっちゃった。
「ってわけなんだ。ごめんね、夕日ヶ丘君」
チラッと彼を見ると、なんでかほっぺたが赤い。あ、耳も赤い。
「朝日さん、そんなこと言うキャラじゃなかったじゃん」
「わたしも、初めてだよ」
「うわ……なんだこれ」
どんどん顔が赤くなって、手がパタパタしてる。いつもヨユーそうな夕日ヶ丘君が、めずらしく焦ってる。
「やっぱりいやだった?」
「い、いやそういうわけじゃ」
「なんか変だよ、大丈夫?」
心配になって、夕日ヶ丘君の顔をのぞき込む。パチッと目が合った瞬間、思いっきり逸らされた。
ガーン、みたいな悲しい音が頭の中に響く。悲しくなって、わたしはガックリと頭を下げた。
「ち、違うから!いやでもないし、怒ってもないから!」
「ホント?ホントにホント?」
「ホントだってば!近いし、その顔やめて!もっといつもみたいに、こわい顔してよ!」
ちょっと、いつもみたいにこわい顔ってなに⁉︎
「わたし、今どんな顔してる?」
「し、知らない!」
あらら、夕日ヶ丘君顔隠しちゃった。
「えへへ……」
でも、うれしい。もう、こうして話せないって思ってたから。
「そうそう。そのこわい顔が、いつもの朝日さんって感じで、落ち着くよ!」
夕日ヶ丘君は、ビシッと親指を立てる。あれ?わたし今、結構自然に笑えてたつもりだったんだけど……あれ?
首をカクカクさせるわたしと、んんっと咳払いする夕日ヶ丘君。なんかかみ合ってない気がするけど、まぁいっか。
「てか、どうするの?南さんとの勝負は完敗だったじゃん」
「そういえば、すっかり忘れてた。夕日ヶ丘君が拍手してくれたのがうれしすぎて、正直言うともういいやって思っちゃって」
あ、夕日ヶ丘君また顔隠してる。
「おれも一緒に言うよ。このまま、朝日さんが副委員長じゃなくなるのも、なんかいやだし」
「でもわたし……」
「おれだって、こうして素が出せる相手はキチョーだし、朝日さんといるとタイクツしないしさ」
照れ隠しみたいに、ニッて笑う夕日ヶ丘君を見ると、また泣きそうになる。
「ホントに良い人だよね、夕日ヶ丘君って……うう……」
「別に、誰にでもそうしてるんじゃないからね⁉︎おれは、朝日さんだから、その……」
「よし!わたしも夕日ヶ丘君を見習って、もう一回南さんと話してみるよ!」
おっきい声で宣言しながら、にぎった拳でドン!と胸を叩く。夕日ヶ丘君が、ビクッと肩を揺らした。
「じゃあ、帰ろっか!あ、一緒に出るのはまずいから、夕日ヶ丘君先に……」
「いいよ、一緒に帰ろ」
「え⁉︎で、でも」
「いいからほら、帰るよ!朝日さん!」
夕日ヶ丘君が、笑ってる。みんなの前での師匠スマイルも、今のちょっとイジワルスマイルも、わたしにとってはどっちもキラキラして見える。
「うん!」
わたしも思いっきり笑いながら、夕日ヶ丘君の背中を小走りで追いかけたのだった。
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