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第三章「ナイスなコンビでいざ遠足⁉︎」
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♢♢♢
「なんでお前がとなりの席なんだよ!」
「わたしのクジ運ってカミ!だね」
「おれにとってはジゴクなんですけど」
さて、本日はゼッコーの遠足日和!とはならない、ちょっとくもった空。まぁ、わたしの心は熱中症になりそうなくらいのカラカラ晴天だから、へっちゃら。しかもなんとビックリ、席決めのクジで夕日ヶ丘君のとなりになりました!バスのいちばん後ろ、わたし達の横には荷物とかが置いてあって、クラスメイトは誰もいない。
「クラス副委員長としてバッチリ決めるから!成功するように祈ってて!」
「なんでもカミ頼みだな」
「知ってる?家には『カタクロクシン』っていう六つのカミサマがいるんだよ。それは六に柱って書いて『ロクチュウ』ってあらわすんだけど、家の中のいろんな場所にいてね?まずいちばんめは……」
「トートツな建築まめ知識はやめろ!」
おお、夕日ヶ丘君のキレキレツッコミ、なんだか久しぶりに聞いた気がする。気分がシャキッとするから、いいね。うん。
「でも、静かにしないとバレちゃうよ。シーッ」
「うるさいアンタのせいだろそのポーズ止めろ!」
って怒りながら、さっきよりずっとヒソヒソ声になった。
「なにもしなくていいって。なんかサイアクなことになりそうだし」
「大丈夫!今日は頑張って、夕日ヶ丘君の疲れをいやすから!」
「ほらそれ!遠足だろいやすってなんだ!」
ノートにびっちり書いてきたから、失敗なんてしないはず。でも今日はなるべく「悪役令嬢」って言われないためにも、笑わないよう気をつけなくちゃ。
「フフフ……」
「笑うなこえーから!」
あらら、無理だった。
この遠足の目的、それは「協力と達成」。上川先生の説明を聞いて、みんな二列になってレッツ山登りスタート。ただひたすら上を目指して、ひたすら足を動かす。わたしは運動好きだし、いつもの制服もかわいくていいけど、このあずき色のジャージもきらいじゃない。女子はみんな、ダサいからいやだっていってるみたいだけどね。
「うそ、まだ半分も来てないの⁉︎」
「わたし、もうダメ……」
「のぼり坂ばっかりだし、足いたい~」
クラスごと、それぞれちょっとずつ時間をずらしてスタートしてる。華組はいちばん最後だから、後ろには先生達以外誰もいない。
歩き始めて一時間。ザッと見た感じ、息を切らしてないのはわたしと夕日ヶ丘君くらい?さすが師匠。
「なんでそんなヨユーなんだよ」
「だってわたし、将来はお父さんの跡を継ぎたいからさ!」
「関係あんのかそれ……」
実はこの列も、夕日ヶ丘君のとなり。バスと一緒だからね。
「夕日ヶ丘君だって、ヨユーそうだよ。もしかして夢は大工ですか?」
「全然まったく違いますけど」
ふん!と鼻をならしながらクルッと後ろに向きを変えると、クラスのみんなに声をかけはじめる夕日ヶ丘君。ちなみに、わたし達二人が先頭だ。
「なんでお前がとなりの席なんだよ!」
「わたしのクジ運ってカミ!だね」
「おれにとってはジゴクなんですけど」
さて、本日はゼッコーの遠足日和!とはならない、ちょっとくもった空。まぁ、わたしの心は熱中症になりそうなくらいのカラカラ晴天だから、へっちゃら。しかもなんとビックリ、席決めのクジで夕日ヶ丘君のとなりになりました!バスのいちばん後ろ、わたし達の横には荷物とかが置いてあって、クラスメイトは誰もいない。
「クラス副委員長としてバッチリ決めるから!成功するように祈ってて!」
「なんでもカミ頼みだな」
「知ってる?家には『カタクロクシン』っていう六つのカミサマがいるんだよ。それは六に柱って書いて『ロクチュウ』ってあらわすんだけど、家の中のいろんな場所にいてね?まずいちばんめは……」
「トートツな建築まめ知識はやめろ!」
おお、夕日ヶ丘君のキレキレツッコミ、なんだか久しぶりに聞いた気がする。気分がシャキッとするから、いいね。うん。
「でも、静かにしないとバレちゃうよ。シーッ」
「うるさいアンタのせいだろそのポーズ止めろ!」
って怒りながら、さっきよりずっとヒソヒソ声になった。
「なにもしなくていいって。なんかサイアクなことになりそうだし」
「大丈夫!今日は頑張って、夕日ヶ丘君の疲れをいやすから!」
「ほらそれ!遠足だろいやすってなんだ!」
ノートにびっちり書いてきたから、失敗なんてしないはず。でも今日はなるべく「悪役令嬢」って言われないためにも、笑わないよう気をつけなくちゃ。
「フフフ……」
「笑うなこえーから!」
あらら、無理だった。
この遠足の目的、それは「協力と達成」。上川先生の説明を聞いて、みんな二列になってレッツ山登りスタート。ただひたすら上を目指して、ひたすら足を動かす。わたしは運動好きだし、いつもの制服もかわいくていいけど、このあずき色のジャージもきらいじゃない。女子はみんな、ダサいからいやだっていってるみたいだけどね。
「うそ、まだ半分も来てないの⁉︎」
「わたし、もうダメ……」
「のぼり坂ばっかりだし、足いたい~」
クラスごと、それぞれちょっとずつ時間をずらしてスタートしてる。華組はいちばん最後だから、後ろには先生達以外誰もいない。
歩き始めて一時間。ザッと見た感じ、息を切らしてないのはわたしと夕日ヶ丘君くらい?さすが師匠。
「なんでそんなヨユーなんだよ」
「だってわたし、将来はお父さんの跡を継ぎたいからさ!」
「関係あんのかそれ……」
実はこの列も、夕日ヶ丘君のとなり。バスと一緒だからね。
「夕日ヶ丘君だって、ヨユーそうだよ。もしかして夢は大工ですか?」
「全然まったく違いますけど」
ふん!と鼻をならしながらクルッと後ろに向きを変えると、クラスのみんなに声をかけはじめる夕日ヶ丘君。ちなみに、わたし達二人が先頭だ。
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