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アザゼルの運命の相手
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きっと私には他者を慮るという心が足りないのだと、そう思っている。
国の為に民の為にと、今まで尽くしてきたようなつもりになっていたけれど。本当は、それしか知らないだけ。聖女である自分に一番縋っていたのは、私自身なのだ。
「…なんで私がこの女の隣なのよ」
とりあえずあの場が収まっても、ロココ様はまだ腹の虫が治らないようだ。カウチソファにどかりと腰掛け、ぶつぶつと何かを呟いている。
本当に不思議だ。彼女を見ていると、自身が嫌われているという事実よりもその感情の豊かさを羨ましいと思ってしまうのだから。
思わずじいっと見つめていると、彼女はあからさまに嫌そうにちっと舌打ちをした。
「イザベラ。こいつはロココだ」
「ロココ様」
「様なんてつけないでよ。背筋がゾクゾクしちゃう」
以前のイアンと同じようなセリフと共にロココ様…もといロココさんは、ぶるりと身体を震わせた。
「で?何の用だ」
彼は彼で、至極不機嫌そうに顔を歪めている。隣に座れと言われたのを、私が断ってしまったからだと思う。
「それはもう、私はアザゼル様のお顔を拝見しに来たのですわ!」
「どうでもいい用だな」
「そんなこと言って、本当は私のことが可愛いくせに」
アザゼル様を見つめる彼女の瞳は、ハートに輝いている。余程強い思いなのだろうと、ついついロココさんを興味津々に見つめてしまう。
「あ。それともう一つ。こちらの方が私にとってはどうでもいいことなのだけど」
彼女はどこからか、ぴらりと一通の封筒を取り出す。
「お師匠様からのお手紙です」
「一番先にそれを渡せ」
「忘れていたのでしょうね」
背後に立っているイアンの言葉に、ロココさんはまたちっと舌を打った。
「アレイスター様はご健勝でしょうか」
「当たり前でしょう?なんていったって、あの方は私のお師匠様なんだから!」
ふんと鼻を鳴らしたかと思うと、次の瞬間にはヘーゼルの瞳をきらきらと輝かせながら立ち上がり、自身の胸に手を置いた。
「私のお師匠様、アレイスター・グラファト様は偉大なるお方!アザゼル様と同じくらい、私が尊敬し好きで好きで堪らない絶世の美男子!ああ、あの方の話をしていたらすぐにでもお顔を拝見したくなったわ!どうしましょう!」
「相変わらず煩い女ですね貴女は」
「黙りなさいイアン!」
彼女のお師匠様なる方について熱弁していたロココさんは、水をさされたのが気に障ったらしくかっと目を見開きイアンを威嚇する。
そしてその表情のまま、隣に座る私を見下ろした。
「アザゼル様が何と言おうと、私はアンタを認めないんだからね!」
「あ、あの私は」
「アザゼル様とお師匠様は運命で結ばれているのよ!それを邪魔したりしたら、絶対許さないわ!」
(なるほど。アザゼル様とロココさんのお師匠様は、運命で結ばれていらっしゃるのね)
私は彼女を見つめながら、何度もこくこくと頷いた。そんな私を見て、彼女が変な顔をする。
「ロココ。イザベラ様には貴女のその悪趣味な思考は理解できないでしょう」
「な…っ、誰が悪趣味よ!」
「悪趣味だろうが…ったく」
地団駄を踏むロココさんと、呆れたような顔のイアン、そしてアザゼル様。
(運命の相手だなんて、とっても素敵なのに)
私はまだ見ぬロココさんのお師匠様に、思いを馳せた。
国の為に民の為にと、今まで尽くしてきたようなつもりになっていたけれど。本当は、それしか知らないだけ。聖女である自分に一番縋っていたのは、私自身なのだ。
「…なんで私がこの女の隣なのよ」
とりあえずあの場が収まっても、ロココ様はまだ腹の虫が治らないようだ。カウチソファにどかりと腰掛け、ぶつぶつと何かを呟いている。
本当に不思議だ。彼女を見ていると、自身が嫌われているという事実よりもその感情の豊かさを羨ましいと思ってしまうのだから。
思わずじいっと見つめていると、彼女はあからさまに嫌そうにちっと舌打ちをした。
「イザベラ。こいつはロココだ」
「ロココ様」
「様なんてつけないでよ。背筋がゾクゾクしちゃう」
以前のイアンと同じようなセリフと共にロココ様…もといロココさんは、ぶるりと身体を震わせた。
「で?何の用だ」
彼は彼で、至極不機嫌そうに顔を歪めている。隣に座れと言われたのを、私が断ってしまったからだと思う。
「それはもう、私はアザゼル様のお顔を拝見しに来たのですわ!」
「どうでもいい用だな」
「そんなこと言って、本当は私のことが可愛いくせに」
アザゼル様を見つめる彼女の瞳は、ハートに輝いている。余程強い思いなのだろうと、ついついロココさんを興味津々に見つめてしまう。
「あ。それともう一つ。こちらの方が私にとってはどうでもいいことなのだけど」
彼女はどこからか、ぴらりと一通の封筒を取り出す。
「お師匠様からのお手紙です」
「一番先にそれを渡せ」
「忘れていたのでしょうね」
背後に立っているイアンの言葉に、ロココさんはまたちっと舌を打った。
「アレイスター様はご健勝でしょうか」
「当たり前でしょう?なんていったって、あの方は私のお師匠様なんだから!」
ふんと鼻を鳴らしたかと思うと、次の瞬間にはヘーゼルの瞳をきらきらと輝かせながら立ち上がり、自身の胸に手を置いた。
「私のお師匠様、アレイスター・グラファト様は偉大なるお方!アザゼル様と同じくらい、私が尊敬し好きで好きで堪らない絶世の美男子!ああ、あの方の話をしていたらすぐにでもお顔を拝見したくなったわ!どうしましょう!」
「相変わらず煩い女ですね貴女は」
「黙りなさいイアン!」
彼女のお師匠様なる方について熱弁していたロココさんは、水をさされたのが気に障ったらしくかっと目を見開きイアンを威嚇する。
そしてその表情のまま、隣に座る私を見下ろした。
「アザゼル様が何と言おうと、私はアンタを認めないんだからね!」
「あ、あの私は」
「アザゼル様とお師匠様は運命で結ばれているのよ!それを邪魔したりしたら、絶対許さないわ!」
(なるほど。アザゼル様とロココさんのお師匠様は、運命で結ばれていらっしゃるのね)
私は彼女を見つめながら、何度もこくこくと頷いた。そんな私を見て、彼女が変な顔をする。
「ロココ。イザベラ様には貴女のその悪趣味な思考は理解できないでしょう」
「な…っ、誰が悪趣味よ!」
「悪趣味だろうが…ったく」
地団駄を踏むロココさんと、呆れたような顔のイアン、そしてアザゼル様。
(運命の相手だなんて、とっても素敵なのに)
私はまだ見ぬロココさんのお師匠様に、思いを馳せた。
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