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三人目の魔物
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「イザベラ、今日は何したい?」
(不思議、尻尾が見えるみたい)
今日も美味しい朝食を頂き、ゆっくりと紅茶を飲んだ後。アザゼル様が目を輝かせながらこちらを覗き込む。
窓から差し込む光を取り込んだ金の瞳は、とても美しかった。
「私の願いばかり聞いていただいて、申し訳ないです」
「俺が勝手に拐ってんだ、気にすんなそんなもん」
「ですが…」
言葉を濁した私に、アザゼル様はむっと眉間に皺を作る。そしてどこから出したのか、この間の紙を目の前に突きつけてきた。
「我慢すんな、イザベラ」
「アザゼル様…」
涙が溢れそうになり、それを止めようと勝手に眉が垂れる。彼は黒髪をゆらりと揺らして、私の頬に指先を伸ばした。
「言ったろ?俺が全部、受け止めてやるって」
「…はい」
この人はどうしてこんなに、私に優しくしてくれるのだろう。打算があったとしても、こんなのやり過ぎだ。
今まで私が接してきたどんな人達よりも温かいとかんじるのが、魔王だなんて。
「…私は、幸せ者ですね。そんな風に言っていただけるなんて」
いつもであれば、その腕から逃れようとすぐに身を引くのに。今はその指の温もりが嬉しくて、そっと瞼を閉じるだけだった。
「イザベラ…俺は」
ドゴオォォン!!
「アザゼル様ーーっ!!」
突如轟いた大きな破壊音と舞い散る土煙。それは城の重厚な扉が壊された音なのだと理解するよりも先に、アザゼル様の元に何かが体当たりのように飛び込んできた。
「アザゼル様!会いたかった!今日もとっても美しいです!!」
あまりに素早過ぎて目で追えなかったけれど、どうやら女性のようだ。
薄桃色のふわふわとした髪に、可愛らしい高い声。初めて見る衣装は彼女のスタイルの良さを引き立てている。
「ふざけんな離れろ」
「その冷たい態度も素敵!ああ、私のアザゼル様ぁ!!」
「誰がお前のだ!」
アザゼル様がとても嫌そうな顔で暴れている。私よりも背は高いけれど、アザゼル様よりはずっと小柄だ。にも関わらず、その女性は抵抗などものともせずぴたりと張りついている。
そんな二人の様子をただただぽかんと見つめていると、薄桃色の髪の女性はここでやっと私の存在に気がついたようだった。
「は?誰?」
「あ、あの私」
「イザベラ、来い」
わたわたと慌ててしまい自己紹介すらままならない。アザゼル様は彼女を無理矢理振り解くと、私の手を掴みぐいっと引き寄せた。
「は、はああぁぁぁ!?」
私を抱き締めながらふん、と鼻を鳴らすアザゼル様と、またもや突然のことに固まる私。
すると目の前の可愛らしい女性は、髪を逆立てんばかりのに鬼の形相で声を張り上げた。
(不思議、尻尾が見えるみたい)
今日も美味しい朝食を頂き、ゆっくりと紅茶を飲んだ後。アザゼル様が目を輝かせながらこちらを覗き込む。
窓から差し込む光を取り込んだ金の瞳は、とても美しかった。
「私の願いばかり聞いていただいて、申し訳ないです」
「俺が勝手に拐ってんだ、気にすんなそんなもん」
「ですが…」
言葉を濁した私に、アザゼル様はむっと眉間に皺を作る。そしてどこから出したのか、この間の紙を目の前に突きつけてきた。
「我慢すんな、イザベラ」
「アザゼル様…」
涙が溢れそうになり、それを止めようと勝手に眉が垂れる。彼は黒髪をゆらりと揺らして、私の頬に指先を伸ばした。
「言ったろ?俺が全部、受け止めてやるって」
「…はい」
この人はどうしてこんなに、私に優しくしてくれるのだろう。打算があったとしても、こんなのやり過ぎだ。
今まで私が接してきたどんな人達よりも温かいとかんじるのが、魔王だなんて。
「…私は、幸せ者ですね。そんな風に言っていただけるなんて」
いつもであれば、その腕から逃れようとすぐに身を引くのに。今はその指の温もりが嬉しくて、そっと瞼を閉じるだけだった。
「イザベラ…俺は」
ドゴオォォン!!
「アザゼル様ーーっ!!」
突如轟いた大きな破壊音と舞い散る土煙。それは城の重厚な扉が壊された音なのだと理解するよりも先に、アザゼル様の元に何かが体当たりのように飛び込んできた。
「アザゼル様!会いたかった!今日もとっても美しいです!!」
あまりに素早過ぎて目で追えなかったけれど、どうやら女性のようだ。
薄桃色のふわふわとした髪に、可愛らしい高い声。初めて見る衣装は彼女のスタイルの良さを引き立てている。
「ふざけんな離れろ」
「その冷たい態度も素敵!ああ、私のアザゼル様ぁ!!」
「誰がお前のだ!」
アザゼル様がとても嫌そうな顔で暴れている。私よりも背は高いけれど、アザゼル様よりはずっと小柄だ。にも関わらず、その女性は抵抗などものともせずぴたりと張りついている。
そんな二人の様子をただただぽかんと見つめていると、薄桃色の髪の女性はここでやっと私の存在に気がついたようだった。
「は?誰?」
「あ、あの私」
「イザベラ、来い」
わたわたと慌ててしまい自己紹介すらままならない。アザゼル様は彼女を無理矢理振り解くと、私の手を掴みぐいっと引き寄せた。
「は、はああぁぁぁ!?」
私を抱き締めながらふん、と鼻を鳴らすアザゼル様と、またもや突然のことに固まる私。
すると目の前の可愛らしい女性は、髪を逆立てんばかりのに鬼の形相で声を張り上げた。
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