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第五章「ルミエール姫の気持ち」
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カチャ
「メイ……?」
しばらくして、ルミエール姫が部屋に戻ってきた。わたしはフードを被ったまま、ソファーに浅く腰掛けてる。
「そんな格好でなにをやっているの?もうすぐ夕食よ。マーサがここに運んでくるから…」
「わたし、さっきルミエール姫を探しにいったんです」
そう口にすると、ルミエール姫がピクッと反応する。
普通にしてるけど、目元が赤い。
さっきの姿を思い出すと、胸の奥がズキズキ痛む。
「ソルに教えてもらって、王妃さまの部屋に行きました」
「……あのおしゃべり」
「みんな、ルミエール姫を心配してるんです」
あのお茶会の時は、確かにすごく嫌な感じだった。ああいう人たちに囲まれてばかりだったら、孤独になるのも仕方ないと思う。
「無様だと思ってるんでしょう」
「そんなこと、思ってません」
「妖精と会話のできるあなたがいれば、わたくしは要らないんだもの」
わたしはハッキリとそう口にして、被っていたフードを下ろす。
パサッ
ルミエール姫の瞳が、みるみるうちに見開かれた。
「メイ……あなたそれ……」
「マーサさんにお願いしたんです」
彼女が驚くのも無理はない。だってルミエール姫と同じように胸のあたりまであった髪を、わたしはバッサリ切ったんだから。
「生まれて初めて初めてこんなに短くしました。頭が軽くなって、なんだかいいですね」
「どうしてそんなこと」
動揺してるルミエール姫の手を、ギュッと握る。
「わたしはわたしで、あなたはあなたです!要らないなんて、そんなこと絶対にない!」
「メイ……」
ルミエール姫の瞳に、また涙がたまっていく。彼女は短くなったわたしの髪にそっと触れた。
「また、あなたに励まされてしまったわ」
「ルミエール姫って、意外と涙もろいですよね」
「失礼ね、そんなことないわよ」
「アハハッ」
わたしが笑うと、ルミエール姫も泣きながら笑顔を見せてくれる。
「……似合ってるわ、その髪」
ぶっきらぼうだけどあったかいその言い方に、わたしまで涙がこぼれそうになった。
「メイ……?」
しばらくして、ルミエール姫が部屋に戻ってきた。わたしはフードを被ったまま、ソファーに浅く腰掛けてる。
「そんな格好でなにをやっているの?もうすぐ夕食よ。マーサがここに運んでくるから…」
「わたし、さっきルミエール姫を探しにいったんです」
そう口にすると、ルミエール姫がピクッと反応する。
普通にしてるけど、目元が赤い。
さっきの姿を思い出すと、胸の奥がズキズキ痛む。
「ソルに教えてもらって、王妃さまの部屋に行きました」
「……あのおしゃべり」
「みんな、ルミエール姫を心配してるんです」
あのお茶会の時は、確かにすごく嫌な感じだった。ああいう人たちに囲まれてばかりだったら、孤独になるのも仕方ないと思う。
「無様だと思ってるんでしょう」
「そんなこと、思ってません」
「妖精と会話のできるあなたがいれば、わたくしは要らないんだもの」
わたしはハッキリとそう口にして、被っていたフードを下ろす。
パサッ
ルミエール姫の瞳が、みるみるうちに見開かれた。
「メイ……あなたそれ……」
「マーサさんにお願いしたんです」
彼女が驚くのも無理はない。だってルミエール姫と同じように胸のあたりまであった髪を、わたしはバッサリ切ったんだから。
「生まれて初めて初めてこんなに短くしました。頭が軽くなって、なんだかいいですね」
「どうしてそんなこと」
動揺してるルミエール姫の手を、ギュッと握る。
「わたしはわたしで、あなたはあなたです!要らないなんて、そんなこと絶対にない!」
「メイ……」
ルミエール姫の瞳に、また涙がたまっていく。彼女は短くなったわたしの髪にそっと触れた。
「また、あなたに励まされてしまったわ」
「ルミエール姫って、意外と涙もろいですよね」
「失礼ね、そんなことないわよ」
「アハハッ」
わたしが笑うと、ルミエール姫も泣きながら笑顔を見せてくれる。
「……似合ってるわ、その髪」
ぶっきらぼうだけどあったかいその言い方に、わたしまで涙がこぼれそうになった。
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