ワガママ姫とわたし!

清澄 セイ

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第五章「ルミエール姫の気持ち」

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「これはこれはルミエール姫様」
「あ、あの」

だめだ、今はルミエール姫のフリをしなきゃならないんだから、オドオドしてたら変に思われる。

丸まってた背筋をピンと伸ばして、わたしはルミエール姫の話し方を真似る。

「こ、こんな場所で一体なにをしているのかしら?」
「なにって、僕達はただ力比べをしていただけです。騎士見習いとして」

大柄の男の子が答えると、ソル以外の子たちも大きくうなずく。

「そうです、ルミエール姫。ソルが負けたことを認めないので、困っていたところなんです」
「いつもそうなんです。乱暴で身の程知らずで、弱いくせに」

座り込んだままのソルを見ても、やっぱりなにも言わずに俯いたまま。

わたしはギリッと奥歯を噛み締めて、目の前の男の子たちを思いっきり睨みつけた。

「言っておくけど、ソルはあなたたちの何倍も強いわ。比べるのが可哀想なくらいよ」
「は、はぁ?なんだって?」
「次にソルを馬鹿にしているところを見たら、タダじゃおかないわ」
「そ、そんな……ルミエール姫はなにも知らないからであって」
「あなたこそそんな口を聞いて、このわたくしを一体誰だと思ってるの?無礼だわ!」

声を荒げてみせると、途端に男の子たちはヒュッと身を縮こませる。

「わっ、わたくしはこの国の王女なのよ!」
「申し訳ございません!」
「わかったらどこかへいきなさい!」

最後のセリフを投げた後、足早に去っていく後ろ姿に向かって深いため息をつく。

急に体から力が抜けて、わたしもその場にドサッと座り込んでしまった。

き、緊張した……。

「なにやってんだよ、メイ」
「ば、バレちゃった?」
「バレバレだから」

声のトーンが低いから、余計なことして怒らせたのかと思って、おそるおそるソルに視線を向ける。

「へたくそ」

言葉とは裏腹に、ソルは呆れたみたいに笑ってた。
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