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第五章「ルミエール姫の気持ち」
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固い表情のわたしとは違って、妖精が見えない三人はきょとんとしてる。
「すごいですメイ様!やっぱりそこに、妖精達がいるんですね」
「いなくてひとりごとだったら、やべーヤツだろ」
「そんなことはいいから、早く内容を教えなさいよ」
ルミエール姫に急かされて、わたしは言われたことを説明する。ルミエール姫だけは、最初から知ってたみたいだ。
「お母様から聞いたことがあるわ。代々妖精つかいだけが扱える、聖なる剣があると」
「妖精つかいの力と妖精の力、そのふたつを合わせると魔女を倒すことができるって」
「だったらメイ。その役目はあなたがやるのよ」
サラッとそう言われて、どんな顔をすればいいのか分からなくなる。
「で、でもわたし妖精つかいじゃないし」
「見ることも話すこともできないわたくしでは、きっとその剣は扱えない」
ルミエール姫は目を細めながら、ゆっくりと手を伸ばす。まるでそこに、妖精でもいるみたいに。
「メイ。ここにはなにかいるかしら」
「い、いいえ」
「……そう」
ルミエール姫は、今どんなことを思ってるんだろう。
だってあんなに泣きながら、王妃さまを助けたいって叫んでたのに。
なんの関係もないわたしにだけ妖精が見えるなんて、きっといい気持ちはしないはずだ。
「せいぜいわたくしの駒として、精いっぱい尽くすことね!」
「ルミエール姫……」
「なんだよこの姫さま。嫌な言い方するな」
ソララが彼女に向かってベーッと舌を出して見せたけど、ルミエール姫には見えない。
「まぁなんにせよ、これでなんとかなるんじゃねぇの」
ソルはあんまり興味がなさそうだ。
「メイ!わたしたちあなたにたくさん力を貸すから、一緒に頑張りましょうね」
ラランが、その小さな小さな手をわたしに重ねた。
「う、うん」
本当に、わたしで大丈夫なのかな。ルミエール姫のことも、やっぱり気になるし。
「ララン。あんたはあんまり頑張らない方がいいんじゃない?いつも空回りばっかりなんだからさ」
「失礼ねソララ!わたしだってやるときはやるんだから!」
「あたしはただ、心配してるだけだって」
ラランはキラキラした笑顔で、やる気に満ちあふれてる。ソララはあんまり、嬉しそうじゃなかった。
「すごいですメイ様!やっぱりそこに、妖精達がいるんですね」
「いなくてひとりごとだったら、やべーヤツだろ」
「そんなことはいいから、早く内容を教えなさいよ」
ルミエール姫に急かされて、わたしは言われたことを説明する。ルミエール姫だけは、最初から知ってたみたいだ。
「お母様から聞いたことがあるわ。代々妖精つかいだけが扱える、聖なる剣があると」
「妖精つかいの力と妖精の力、そのふたつを合わせると魔女を倒すことができるって」
「だったらメイ。その役目はあなたがやるのよ」
サラッとそう言われて、どんな顔をすればいいのか分からなくなる。
「で、でもわたし妖精つかいじゃないし」
「見ることも話すこともできないわたくしでは、きっとその剣は扱えない」
ルミエール姫は目を細めながら、ゆっくりと手を伸ばす。まるでそこに、妖精でもいるみたいに。
「メイ。ここにはなにかいるかしら」
「い、いいえ」
「……そう」
ルミエール姫は、今どんなことを思ってるんだろう。
だってあんなに泣きながら、王妃さまを助けたいって叫んでたのに。
なんの関係もないわたしにだけ妖精が見えるなんて、きっといい気持ちはしないはずだ。
「せいぜいわたくしの駒として、精いっぱい尽くすことね!」
「ルミエール姫……」
「なんだよこの姫さま。嫌な言い方するな」
ソララが彼女に向かってベーッと舌を出して見せたけど、ルミエール姫には見えない。
「まぁなんにせよ、これでなんとかなるんじゃねぇの」
ソルはあんまり興味がなさそうだ。
「メイ!わたしたちあなたにたくさん力を貸すから、一緒に頑張りましょうね」
ラランが、その小さな小さな手をわたしに重ねた。
「う、うん」
本当に、わたしで大丈夫なのかな。ルミエール姫のことも、やっぱり気になるし。
「ララン。あんたはあんまり頑張らない方がいいんじゃない?いつも空回りばっかりなんだからさ」
「失礼ねソララ!わたしだってやるときはやるんだから!」
「あたしはただ、心配してるだけだって」
ラランはキラキラした笑顔で、やる気に満ちあふれてる。ソララはあんまり、嬉しそうじゃなかった。
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