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第四章「あの子にそっくり」
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しおりを挟むすかさずマーサさんが、有栖君の頭をペチンと叩く。
「こら、お前はお嬢様になんて口を聞くの」
「うっせーな、分かってるよ」
有栖君は使わないような言葉と、不機嫌そうな表情。彼はブスッとしながら、ルミエール姫に頭を下げた。
「申し訳ありません、ルミエール姫。無礼をお許しください」
「分かればいいのよ」
「……チッ」
今絶対舌打ちしたと思うんだけど、わたし以外に聞こえなかったのかな…
「メイ様、わたしの息子のソルです。ルミエールお嬢様とは年が同じで、親子ともども昔からよくしていただきました」
「理不尽にいじめられてばっかだったけどな」
「こらソル!お前って子は」
マーサさんに怒られても全然気にしてない様子で、ソルと呼ばれた男の子はプイッとそっぽを向く。
見た目は有栖君にそっくりだけど、有栖君とは違う。わたしとルミエール姫みたいなことが起こったから、すごく驚いちゃった。
「ソルは昔からこうなのよ。乱暴だし態度が悪いったら」
「ルミエール様には負けますよ」
「なんですって?今なんと言ったの?」
「別になにも」
二人は仲が良いみたいで、顔を合わせてからずっと言い合ってる。かと思えば、ソル君は急にわたしに視線を向けた。
「お前、ルミエール姫にそっくりだな」
「あ、あの……えっとわたしは、名前は……」
「メイだろ?さっき聞いた」
モシモジしてるわたしより先に、ソル君がめんどくさそうにそう言った。
「メイ様、すみません。ウチの息子が失礼ばかり」
「あ、いえ……そんな」
頭を下げるマーサさんに向かって首を横に振る。
「ソルはこう見えて騎士見習いなの」
「こう見えてってなんだよ、失礼なヤツだな」
「あら、あなたよりマシよ」
また言い合いを始めたふたりに、わたしはただオロオロすることしかできなかった。
「こら、お前はお嬢様になんて口を聞くの」
「うっせーな、分かってるよ」
有栖君は使わないような言葉と、不機嫌そうな表情。彼はブスッとしながら、ルミエール姫に頭を下げた。
「申し訳ありません、ルミエール姫。無礼をお許しください」
「分かればいいのよ」
「……チッ」
今絶対舌打ちしたと思うんだけど、わたし以外に聞こえなかったのかな…
「メイ様、わたしの息子のソルです。ルミエールお嬢様とは年が同じで、親子ともども昔からよくしていただきました」
「理不尽にいじめられてばっかだったけどな」
「こらソル!お前って子は」
マーサさんに怒られても全然気にしてない様子で、ソルと呼ばれた男の子はプイッとそっぽを向く。
見た目は有栖君にそっくりだけど、有栖君とは違う。わたしとルミエール姫みたいなことが起こったから、すごく驚いちゃった。
「ソルは昔からこうなのよ。乱暴だし態度が悪いったら」
「ルミエール様には負けますよ」
「なんですって?今なんと言ったの?」
「別になにも」
二人は仲が良いみたいで、顔を合わせてからずっと言い合ってる。かと思えば、ソル君は急にわたしに視線を向けた。
「お前、ルミエール姫にそっくりだな」
「あ、あの……えっとわたしは、名前は……」
「メイだろ?さっき聞いた」
モシモジしてるわたしより先に、ソル君がめんどくさそうにそう言った。
「メイ様、すみません。ウチの息子が失礼ばかり」
「あ、いえ……そんな」
頭を下げるマーサさんに向かって首を横に振る。
「ソルはこう見えて騎士見習いなの」
「こう見えてってなんだよ、失礼なヤツだな」
「あら、あなたよりマシよ」
また言い合いを始めたふたりに、わたしはただオロオロすることしかできなかった。
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