ワガママ姫とわたし!

清澄 セイ

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第二章「夢じゃないなんてありえない!」

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おそるおそるベッドの上に座って、自分の手首をジッと見つめる。あの時森の中でさらわれそうになった時に、強い力でつかまれた。あの時の恐怖が、今でも頭に焼きついて離れない。

これは夢だからなにが起こっても絶対大丈夫だって、必死に自分に言い聞かせてた。だけどもう、ごまかせない。

「だって、夢なら痛いはずないもん……」

つかまれたところがうっすらあざになってて、鈍くズキズキ痛む。怖くて考えないようにしてたけど、もしかしたらこれは夢じゃなくて…

「ありえないよそんなの!」

夢じゃないなら、一体なんなのかちっとも理解できない。家じゃないし、日本でもないし、そもそも時代すら違うように見える。

もしこのまま目が覚めなかったら、わたしどうしたら……っ

ガタガタッ!

ジワッと目に涙が浮かんだ瞬間、クローゼットから大きな物音が聞こえた。




「なっ、なに……っ!?」

ビックリして立ち上がって、音のした方を見つめる。ここはお城だし、さっきみたいな人達はいないはずなのに。

クローゼットのドアが、勝手に開く。怖くて仕方ないのに、そこから目が逸らせなかった。

「一体なにがありえないなの?」

聞いたことのない、澄んだキレイな声。スカイブルーのドレスを揺らしながらクローゼットから出てきたのは、一人の女の子だった。

「大声で叫んで、うるさいったら」
「あ、あ、あのっ」
「あら?あなた……」

女の子が出てきた場所にもビックリしたけど、それ以上に驚いたのは……

「わたくしにうりふたつじゃない」

わたしとその子が、双子みたいにそっくりだったことだ。
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