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第十三章
思い出のちらし寿司と、未来の夢⑯
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私を抱き締めていた新太さんが、パッと起き上がる。それにつられて私も体を起こした。
「来未」
「はい」
名前を呼ばれたと思ったら、両方の頬っぺたを手の平でブニッと押し潰された。
「あ、あらたひゃ…っ」
「来未が気にする気持ちも分かる。でも俺は、気なんか遣ってない。そうやって来未が俺に気を遣う方が、結構堪える」
「…ごめんなひゃい」
「…ハハッ」
「あ、わりゃっひゃっ!」
新太さんが噴き出したから、顔をプルプル振って抵抗する。
やったのは新太さんなのに、顔を見て笑うなんてあんまりだ。
「ごめんごめん、あんまり可愛い喋り方するから、つい」
「私真剣に話してるんですからね」
「分かってる」
「新太さんと付き合い始めて、私なんかっていうのはもうやめようって決めました。だけどやっぱりこういう時、色々考えちゃって…」
「その気持ち分かる。俺もそうだから」
「新太さんも?」
コテンと首を傾げると、彼は胡座をかいて脚の間に私を座らせる。
それからギュッと、バックハグをしてくれた。
「知ってるだろ?俺が実は臆病だってこと。実家で散々ダメエピソード暴露されて、来未が幻滅したんじゃないかって内心気にしてたんだからな?」
「幻滅?そんなのするわけない」
「分かってても、そういうマイナスの思考に陥ることもあるんだよ。来未だってそうだろ?」
「うん…」
新太さんのことは、もちろん信じてる。だけど彼の言う通り、もっとこうだったらああだったらと思うと、勝手に落ち込んでしまう。
そんな私は相当面倒だと思うんだけど、新太さんはいつもまず肯定してくれる。
本当に、そういうところが大好きだ。
「来未」
「はい」
名前を呼ばれたと思ったら、両方の頬っぺたを手の平でブニッと押し潰された。
「あ、あらたひゃ…っ」
「来未が気にする気持ちも分かる。でも俺は、気なんか遣ってない。そうやって来未が俺に気を遣う方が、結構堪える」
「…ごめんなひゃい」
「…ハハッ」
「あ、わりゃっひゃっ!」
新太さんが噴き出したから、顔をプルプル振って抵抗する。
やったのは新太さんなのに、顔を見て笑うなんてあんまりだ。
「ごめんごめん、あんまり可愛い喋り方するから、つい」
「私真剣に話してるんですからね」
「分かってる」
「新太さんと付き合い始めて、私なんかっていうのはもうやめようって決めました。だけどやっぱりこういう時、色々考えちゃって…」
「その気持ち分かる。俺もそうだから」
「新太さんも?」
コテンと首を傾げると、彼は胡座をかいて脚の間に私を座らせる。
それからギュッと、バックハグをしてくれた。
「知ってるだろ?俺が実は臆病だってこと。実家で散々ダメエピソード暴露されて、来未が幻滅したんじゃないかって内心気にしてたんだからな?」
「幻滅?そんなのするわけない」
「分かってても、そういうマイナスの思考に陥ることもあるんだよ。来未だってそうだろ?」
「うん…」
新太さんのことは、もちろん信じてる。だけど彼の言う通り、もっとこうだったらああだったらと思うと、勝手に落ち込んでしまう。
そんな私は相当面倒だと思うんだけど、新太さんはいつもまず肯定してくれる。
本当に、そういうところが大好きだ。
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