居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

清澄 セイ

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第十三章

思い出のちらし寿司と、未来の夢⑫

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「来未さんは、とっても手際がいいねぇ」

「そんな…でも、ありがとうございます」

「私、あんまり料理が得意じゃなくてねぇ。みんなはなんだって文句言わずに食べてくれるから、つい気を抜いちゃって」

戻した干し椎茸やこんにゃくなんかを小鍋で煮詰めながら、お義母さんがそう言って笑った。

私は茹でたエビの殻を剥きながら、話に耳を傾ける。

「新太、格好つけでしょう?昔からそうなのよぉ。転けたって意地でも泣かなくて」

「フフッ、そうなんですね」

「私達夫婦がのんびりしてるもんだから、子供の方がしっかり育っちゃって。頼もしいけど、ちゃんと息抜きできてるやろかって心配になるのよねぇ」

そう口にするお義母さんの瞳は、とても優しげで。

お母さんを、思い出した。

二人でキッチンに立って料理を作りながら、色んなこと話したっけ。

優しくて穏やかで、だけど強くて。私のために、お母さんとお父さんの役割を担ってくれた。

私は、お母さんのことが大好きだった。

今でも、大好きだ。

「これからは、新太の隣に来未さんがいてくれる。安心だわぁ」

「私の方が、いつも新太さんに助けられてばかりで。だけどこれからは私も、もっとしっかり頑張っていきます」

「あらぁ、来未さんはそのまんまで大丈夫よぉ。初めて会ったばかりだけど、いい子だってすぐ分かるもの」

「お義母さん…」

「これから、新太のことよろしくお願いしますねぇ。来未さん」

「はい、こちらこそ!」

火にかけた小鍋からは、クツクツと湯気が立ってる。いい匂いがして、途端にお腹が空いてきた。

「私の母はもう亡くなってるいるんですけど、生きてる頃はよくこうやって二人で料理したんです」

「そうなの、いいお母さんだったのねぇ」

「私も母みたいな人になりたいなと、思っています」

「まぁ、素敵」

穏やかに目を細めてくれるお義母さんの姿に、胸がじんわりと温かくなる。

「新太さんが、こちらにお伺いする前に話してくれました。お義母さんの作るちらし寿司が、小さな頃から大好きだったと」

「あらぁ、あの子が?いつも同じものだって文句しか聞いたことないのに」

「私も、早く食べたいです。お義母さんのちらし寿司」

「フフッ。来未さん、ありがとうねぇ」

嬉しそうなお義母さんを見て、私も自然と笑顔が浮かぶ。

いつのまにか、さっきまでの緊張はどこかへ消えていた。
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