居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

第十二章

ケチャップ味のオムライスと、家族のこと⑧

それからしばらく翼さんと談笑していると、私のスマホに新太さんからの着信が。

「来未ごめん、もしかして」

「あ、はい。今翼さんがいらっしゃってます」

電話越しに、新太さんの深い深い溜息が聞こえる。

「ごめんな、なるべく急いで切り上げて帰るから」

「無理はしないでくださいね」

「ありがとう」

呆れたような、申し訳なさそうな声の新太さんに思わず笑ってしまう。

なんだか、これだけで新太さんと翼さんの関係性が分かる気がした。

「新太、迷惑そうだったでしょ」

「い、いえ！そんなことは」

「来未ちゃん分かりやすい」

クスクスと笑われて恥ずかしくなり、背中を丸める。

「アイツ、私の連絡は返さないくせに」

「アハハ…」

「でもごめんね？せっかくのお休みなのに長居しちゃって」

「そんなことありません。こうやって翼さんとお話できて、ホントに嬉しいです」

「私も、来未ちゃんと話せて嬉しいよ。むしろ新太がいなくてよかったわ」

「フフッ」

思わぬ形だったけど、新太さんのお姉さんと話ができるなんてこんな機会はなかなかない。

翼さんは、気さくで優しくて凄くいい人だ。

話し下手な私を翼さんがさり気なくリードしてくれるおかげで、初対面でも話が弾んだ。

（こんな女性、憧れるなぁ）

ふと気がつけば、窓から見える空が赤く染まり始めていた。




「ただいま。来未、大丈夫か？」

玄関ポーチまで迎えに出た私の肩を掴みながら、新太さんは開口一番心配そうな瞳でそう口にした。

「アイツまだいるんだろう？」

「ちょっと、姉に向かってアイツとは失礼じゃない？」

私達の後ろから、腕組みした翼さんが顔を出す。

思わず、二人の顔を交互に見比べてしまった。涼しげで意思の強そうな目元が、特に似ている。