居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

清澄 セイ

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第十二章

ケチャップ味のオムライスと、家族のこと⑤

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「ごめんね、お昼時に来ちゃって。新太に出前でも取らせようかと思ってたからさ」

オープンキッチンの正面から、翼さんが私に話しかけてくる。

美人で迫力があって目元がハッキリしてるから最初は少し気後れしていたけど、翼さんはとても、気さくな人のようだ。

「仲がいいんですね」

調理しながら、時折目線を翼さんに向ける。

「うーん、普通かな?新太あんなだから普段は滅多に連絡よこしてこないし、こっちから連絡したって返ってこないし。だから私、用がある時もあんまり事前に連絡しないんだよね。意味ないし」

「アハハ、そうなんですね」

「来未ちゃんって、料理上手いんだね。話しながらそんなに手際がいいなんて、凄い」

「いえ、ただ作るのが好きなだけです」

「私も新太も、昔から料理だけはダメなんだよね。なんなら母親だって食事作るの好きじゃないって言ってるし。だから尊敬する」

「ありがとうございます」

そうこうしてるうちに、料理が完成した。

一人分ずつトレーに乗せて、ダイニングテーブルへと運ぶ。

「お待たせしました」

「オムライス!すごい!」

翼さんは、目をキラキラ輝かせる。

なんてことない普通のオムライスとコンソメスープ。

だけどこんな風に喜んでくれると、こっちまで嬉しくなる。新太さんと反応がまるで同じだ。

「食べていい?食べていい?」

「はい、食べましょう」

「いただきます」

丁寧に手を合わせた翼さんは、オムライスをスプーンで豪快に掬うとパクンと口に運んだ。

「おいしい!」

「本当ですか?よかった」

「卵ふわふわ。それに、中のチキンライスも凄く美味しいね」

「私オムライスが好きで、色んなお店に食べに行ったりレシピを調べたりしたんです。どうしたら、あんな味に近づけるかなって」

「そっか。このおいしさは努力の賜物ってわけね」

こんなに真っ直ぐに褒められると、照れ臭い。

「こんな美味しい料理が食べられるなんて、新太は幸せ者だね」

「いえ、そんな」

「いまさら聞くけど、二人は一緒に住んでるんだよね?」

その言葉に、スプーンを持つ手が止まる。

どんな顔をしたらいいのか分からなかったけど、私は改めて背筋を伸ばし翼さんに向き直った。
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