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第十一章
手作りなんかより高級店の方がいいに決まってる⑧
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数ヶ月前に参加した飲み会で知り合った、ITエンジニアの利根川さん。普段は駐在員としてシンガポールに滞在しているらしく、たまたま帰国していた時に出会って、その日のうちに告白された。
本音を言えば、この時はまだ大澤係長にアプローチをかけるつもりだったから、あまり乗り気ではなかった。話しているとそれなりに楽しいし、なにより条件がいいとも思ったけれど。
見た目でいえば大澤係長の方がタイプだ。けれど利根川さんだって悪くはない。
エンジニアは技術職だし、海外での駐在員を任されるということは地位だってそれなりのものなんだろうし。
不動産鑑定士には勝てないけど、このまま断るのも惜しい。
彼はすぐシンガポールに戻らなきゃならないらしく、付き合った直後から遠距離。
もし大澤係長からアプローチを受けても利根川さんにはバレる心配がほとんどないから、逆に都合がよかった。
だけどまさか、大澤係長があんな人だったなんて。
私より山田さんなんかの肩を持つ、なんの計算もできないダメな男。
最初から好きでもなんでもなかったのだから、未練なんてない。
私を慕うフリをして陰で悪口ばっかり言う女子社員達も、自分の保身のためだけに私になにも言わない坂上部長も、上辺だけしか見ていない営業の男達も、みんないらない。
電話でもメッセージでも私のことを好きなのが丸分かりの利根川さんはきっと、私がシンガポールに行きたいと言えばプロポーズしてくれるはずだ。
それで、全てはうまくいく。
だけどただひとつだけ。
このまま、あの子を調子に乗らせたままなんて、それだけは許せない。
どんな卑怯な手で大澤係長に取り入ったのか知らないけど、あの子だって結局はそういう子だったのだ。
この間カフェで偶然会った時あんなにビクビクしてたのも、全部演技ってことなのだろう。裏で男を使って復讐しようとするような、ずる賢い女。
このまま私がなにも言わずに会社を辞めたら、きっと私に勝ったと勘違いさせる。
それだけは、私のプライドが許さない。
(最後に分からせてあげる。アンタがこの会社で、いかに必要とされてなかったのかってことをね)
真面目にコツコツなんて、無駄なのだ。
本音を言えば、この時はまだ大澤係長にアプローチをかけるつもりだったから、あまり乗り気ではなかった。話しているとそれなりに楽しいし、なにより条件がいいとも思ったけれど。
見た目でいえば大澤係長の方がタイプだ。けれど利根川さんだって悪くはない。
エンジニアは技術職だし、海外での駐在員を任されるということは地位だってそれなりのものなんだろうし。
不動産鑑定士には勝てないけど、このまま断るのも惜しい。
彼はすぐシンガポールに戻らなきゃならないらしく、付き合った直後から遠距離。
もし大澤係長からアプローチを受けても利根川さんにはバレる心配がほとんどないから、逆に都合がよかった。
だけどまさか、大澤係長があんな人だったなんて。
私より山田さんなんかの肩を持つ、なんの計算もできないダメな男。
最初から好きでもなんでもなかったのだから、未練なんてない。
私を慕うフリをして陰で悪口ばっかり言う女子社員達も、自分の保身のためだけに私になにも言わない坂上部長も、上辺だけしか見ていない営業の男達も、みんないらない。
電話でもメッセージでも私のことを好きなのが丸分かりの利根川さんはきっと、私がシンガポールに行きたいと言えばプロポーズしてくれるはずだ。
それで、全てはうまくいく。
だけどただひとつだけ。
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このまま私がなにも言わずに会社を辞めたら、きっと私に勝ったと勘違いさせる。
それだけは、私のプライドが許さない。
(最後に分からせてあげる。アンタがこの会社で、いかに必要とされてなかったのかってことをね)
真面目にコツコツなんて、無駄なのだ。
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