152 / 216
第十一章
手作りなんかより高級店の方がいいに決まってる⑦
しおりを挟む
私を見るあの目、十中八九大澤係長は真実を知っている。
まさかあの人が山田さんの味方なんて、少々面倒なことになった。
真面目なだけでトロくて使えないあんな子をどうして庇ったりするのか、私には理解できない。
ましてやもう辞めているんだし、今さら私に牙を向いたところでなんの徳もないことくらい簡単に分かるだろうに。
人生なんて結局、損か徳か。その二択。
感情に流されて損をするなんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
私と同じだと思ってちた大澤係長も、所詮はそっちのバカ側だった。それだけの話。
自らの今と将来を見据えて、いかに利用できるかを考えて取捨選択していく。それが、賢い生き方なのだ。
私に楯突いたあの子を追い出した私は、自分を守っただけ。
あの子みたいに無駄に頑張ったとして、気づかれなければなんの意味もない。陰でコツコツ努力をしてたら、いつか誰かが認めてくれる。そんなものは、ただのお伽話だ。
やられる前にやる。利用される前にする。
私はなにも、間違っていない。
「分かってるわよね?私はなにも手を出していないでしょ?」
あの件があってからすぐに、庶務の女子社員達に電話をかけた。メッセージなんか送ったら、どう扱われるか分かったものではない。
「は、はい。分かっています」
「そうよね?みんな賢いから安心だわ」
「ア、アハハ」
確かに私は今庶務課では無敵だ。けれど、大澤係長と張り合うつもりなんて毛頭ない。
団結した男達は意外と厄介だ。営業部のやつらが、大澤係長よりも私を取るとは思えない。
考えようによっては、ちょうどいい時期だったのかもしれない。この会社を辞めて、家庭に入れと神様が言ってるのかもしれない。
頃合いを見計らって、日本を離れて今付き合っている彼についてシンガポールへ行こうと、内心ほくそ笑んだ。
まさかあの人が山田さんの味方なんて、少々面倒なことになった。
真面目なだけでトロくて使えないあんな子をどうして庇ったりするのか、私には理解できない。
ましてやもう辞めているんだし、今さら私に牙を向いたところでなんの徳もないことくらい簡単に分かるだろうに。
人生なんて結局、損か徳か。その二択。
感情に流されて損をするなんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
私と同じだと思ってちた大澤係長も、所詮はそっちのバカ側だった。それだけの話。
自らの今と将来を見据えて、いかに利用できるかを考えて取捨選択していく。それが、賢い生き方なのだ。
私に楯突いたあの子を追い出した私は、自分を守っただけ。
あの子みたいに無駄に頑張ったとして、気づかれなければなんの意味もない。陰でコツコツ努力をしてたら、いつか誰かが認めてくれる。そんなものは、ただのお伽話だ。
やられる前にやる。利用される前にする。
私はなにも、間違っていない。
「分かってるわよね?私はなにも手を出していないでしょ?」
あの件があってからすぐに、庶務の女子社員達に電話をかけた。メッセージなんか送ったら、どう扱われるか分かったものではない。
「は、はい。分かっています」
「そうよね?みんな賢いから安心だわ」
「ア、アハハ」
確かに私は今庶務課では無敵だ。けれど、大澤係長と張り合うつもりなんて毛頭ない。
団結した男達は意外と厄介だ。営業部のやつらが、大澤係長よりも私を取るとは思えない。
考えようによっては、ちょうどいい時期だったのかもしれない。この会社を辞めて、家庭に入れと神様が言ってるのかもしれない。
頃合いを見計らって、日本を離れて今付き合っている彼についてシンガポールへ行こうと、内心ほくそ笑んだ。
0
お気に入りに追加
214
あなたにおすすめの小説
【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。
真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。
地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。
ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。
イラスト提供 千里さま
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
日下奈緒
恋愛
課長としてキャリアを積む恭香。
若い恋人とラブラブだったが、その恋人に捨てられた。
40歳までには結婚したい!
婚活を決意した恭香を口説き始めたのは、同期で仲のいい柊真だった。
今更あいつに口説かれても……
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
お前を誰にも渡さない〜俺様御曹司の独占欲
ラヴ KAZU
恋愛
「ごめんねチビちゃん、ママを許してあなたにパパはいないの」
現在妊娠三ヶ月、一夜の過ちで妊娠してしまった
雨宮 雫(あめみや しずく)四十二歳 独身
「俺の婚約者になってくれ今日からその子は俺の子供な」
私の目の前に現れた彼の突然の申し出
冴木 峻(さえき しゅん)三十歳 独身
突然始まった契約生活、愛の無い婚約者のはずが
彼の独占欲はエスカレートしていく
冴木コーポレーション御曹司の彼には秘密があり
そしてどうしても手に入らないものがあった、それは・・・
雨宮雫はある男性と一夜を共にし、その場を逃げ出した、暫くして妊娠に気づく。
そんなある日雫の前に冴木コーポレーション御曹司、冴木峻が現れ、「俺の婚約者になってくれ、今日からその子は俺の子供な」突然の申し出に困惑する雫。
だが仕事も無い妊婦の雫にとってありがたい申し出に契約婚約者を引き受ける事になった。
愛の無い生活のはずが峻の独占欲はエスカレートしていく。そんな彼には実は秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる