139 / 216
第十章
シンガポールのマカロンと、衝撃の偶然⑥
しおりを挟む
どうすれば、新太さんを少しでも元気づけられるだろう。そう考えて、パッと一つの案が思いつく。
「今日、一緒にお風呂に入りませんか?」
「…え?」
「背中を流させてください!」
「あぁ、そういうこと…」
「えっ?」
「いや、嬉しいよ。入ろうか一緒に」
「はい!任せてください」
ご飯を作る以外にも新太さんの役に立ってみせると、私は鼻息を荒くした。
「うぅ…」
「来未、早く」
「私が思ってたのと違う…」
「いいから、ほら」
バスルームってこんなに明るかったっけと、泣きそうになる。必死に羞恥心と闘いながら、手にしていたバスタオルをパサッと下に落とした。
イメージしていたのは、新太さんも私もタオルを巻いた姿。その状態で新太さんにバスチェアに座ってもらい、私が彼の背中を洗う。
ーー日頃の疲れが取れるようだ、ありがとう来未
という感じを想像していたのに。
なんと新太さんは「お互いタオル禁止令」を発令したのだ。
最初は断ったけど、うるうるした仔犬みたいな目で「元気づけてくれるって言ったよな?」と懇願され、私は半ば無意識に首を縦に振ってしまった。
とても落ち込んでいるとは思えない早さで服を脱ぎ捨てた新太さんは、ニコニコしながら手招きをする。
恥ずかしくて堪らないけど、もとは自分で言い出したこと。覚悟を決めて、バスチェアに腰掛けた新太さんの背後に座った。
彼の頭を丁寧に洗って、その後はボディスポンジを使い彼の広い背中をコシコシと擦った。
「気持ちいい」
「よかった」
明るいと言っても新太さんから私の体は見えないわけだし、そんなに恥ずかしがることはなかったのかもしれない。
彼も喜んでくれてるようだし、勇気出してよかったと思う。
「じゃあ」
「はい」
「前」
「前?」
「お願いします」
(ま、前!?)
ポトリとスポンジを落とした私に、振り向いた新太さんが不敵に笑った。
「今日、一緒にお風呂に入りませんか?」
「…え?」
「背中を流させてください!」
「あぁ、そういうこと…」
「えっ?」
「いや、嬉しいよ。入ろうか一緒に」
「はい!任せてください」
ご飯を作る以外にも新太さんの役に立ってみせると、私は鼻息を荒くした。
「うぅ…」
「来未、早く」
「私が思ってたのと違う…」
「いいから、ほら」
バスルームってこんなに明るかったっけと、泣きそうになる。必死に羞恥心と闘いながら、手にしていたバスタオルをパサッと下に落とした。
イメージしていたのは、新太さんも私もタオルを巻いた姿。その状態で新太さんにバスチェアに座ってもらい、私が彼の背中を洗う。
ーー日頃の疲れが取れるようだ、ありがとう来未
という感じを想像していたのに。
なんと新太さんは「お互いタオル禁止令」を発令したのだ。
最初は断ったけど、うるうるした仔犬みたいな目で「元気づけてくれるって言ったよな?」と懇願され、私は半ば無意識に首を縦に振ってしまった。
とても落ち込んでいるとは思えない早さで服を脱ぎ捨てた新太さんは、ニコニコしながら手招きをする。
恥ずかしくて堪らないけど、もとは自分で言い出したこと。覚悟を決めて、バスチェアに腰掛けた新太さんの背後に座った。
彼の頭を丁寧に洗って、その後はボディスポンジを使い彼の広い背中をコシコシと擦った。
「気持ちいい」
「よかった」
明るいと言っても新太さんから私の体は見えないわけだし、そんなに恥ずかしがることはなかったのかもしれない。
彼も喜んでくれてるようだし、勇気出してよかったと思う。
「じゃあ」
「はい」
「前」
「前?」
「お願いします」
(ま、前!?)
ポトリとスポンジを落とした私に、振り向いた新太さんが不敵に笑った。
1
お気に入りに追加
212
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーロットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーロットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーロットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーロットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーロットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーロットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーロットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーロットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーロットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。
真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。
地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。
ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。
イラスト提供 千里さま
私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
日下奈緒
恋愛
課長としてキャリアを積む恭香。
若い恋人とラブラブだったが、その恋人に捨てられた。
40歳までには結婚したい!
婚活を決意した恭香を口説き始めたのは、同期で仲のいい柊真だった。
今更あいつに口説かれても……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる