居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

清澄 セイ

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第十章

シンガポールのマカロンと、衝撃の偶然⑥

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どうすれば、新太さんを少しでも元気づけられるだろう。そう考えて、パッと一つの案が思いつく。

「今日、一緒にお風呂に入りませんか?」

「…え?」

「背中を流させてください!」

「あぁ、そういうこと…」

「えっ?」

「いや、嬉しいよ。入ろうか一緒に」

「はい!任せてください」

ご飯を作る以外にも新太さんの役に立ってみせると、私は鼻息を荒くした。




「うぅ…」

「来未、早く」

「私が思ってたのと違う…」

「いいから、ほら」

バスルームってこんなに明るかったっけと、泣きそうになる。必死に羞恥心と闘いながら、手にしていたバスタオルをパサッと下に落とした。

イメージしていたのは、新太さんも私もタオルを巻いた姿。その状態で新太さんにバスチェアに座ってもらい、私が彼の背中を洗う。

ーー日頃の疲れが取れるようだ、ありがとう来未

という感じを想像していたのに。

なんと新太さんは「お互いタオル禁止令」を発令したのだ。

最初は断ったけど、うるうるした仔犬みたいな目で「元気づけてくれるって言ったよな?」と懇願され、私は半ば無意識に首を縦に振ってしまった。

とても落ち込んでいるとは思えない早さで服を脱ぎ捨てた新太さんは、ニコニコしながら手招きをする。

恥ずかしくて堪らないけど、もとは自分で言い出したこと。覚悟を決めて、バスチェアに腰掛けた新太さんの背後に座った。

彼の頭を丁寧に洗って、その後はボディスポンジを使い彼の広い背中をコシコシと擦った。

「気持ちいい」

「よかった」

明るいと言っても新太さんから私の体は見えないわけだし、そんなに恥ずかしがることはなかったのかもしれない。

彼も喜んでくれてるようだし、勇気出してよかったと思う。

「じゃあ」

「はい」

「前」

「前?」

「お願いします」

(ま、前!?)

ポトリとスポンジを落とした私に、振り向いた新太さんが不敵に笑った。
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