居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

第十章

二人の手作り餃子と、新しいスタート⑯

電話越しから微かに聞こえてくる、低い男性の声。新太さんの口調や雰囲気からして、仕事関係の知り合いではなさそうだ。

あまり聞き耳立ててもよくないかなと、私はキッチンに戻る

メインは餃子でいいとして、つけ合わせはどうしようと頭を捻る。サラダとスープと、あとは確か冷蔵庫にナスがあった。ポン酢と七味でさっぱり食べる焼きナスも、餃子との相性はよさそうだ。

「来未」

新太さんが私に声をかける。その手にはまだスマホが握られたまま、電話は切られていないような雰囲気だ。

「電話、大学時代の友達なんだけど。今日今から、俺に会いたいって言うんだ」

「今からですか？」

「普段仕事で海外に行ってて、昨日帰国したらしい。あんまり滞在時間取れないらしくて」

（…ちょっと残念だけど）

一緒に食べられないのは残念だが、タイミングが悪かっただけだ。

「私のことは気にしないで…」

「来未さえよければ、ここに呼んでもいいかな」

「えっ？外に食べに行くんじゃないんですか？私はてっきり…」

「今日、来未を置いて行くわけないだろ？」

「新太さん…」

「やっぱり嫌だよな？急だし」

「いえ！ぜひ呼んでください」

「いいのか？」

「丁度よかったですね、餃子いっぱい作ってて」

そう口にして微笑むと、新太さんも申し訳なさげながらも口元を緩めた。