居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

第九章

アボカドとチキンのサンドイッチと、同期の彼⑦

内心ではかなり心臓がバクバクだった。でも大澤係長の様子を見て、それをなんとか表に出さないようにする。

いや、多分ほぼ隠せてないとは思うけど。

「彼女が新入社員の頃から、なんとなく気にはなってた。その時は恋愛的な要素じゃなく、真面目な子がいるな程度の認識だったんだけど」

大澤係長の話し方や雰囲気から、どれだけ山田さんのことを真剣に考えてるかがよく伝わってくる。

（…なんだろう、これ）

言葉では言い表せない感情が、頭の中を支配する。係長の話を聞きながら、テーブルの下でずっと拳を握り締めていた。

「だから野々原から山田さんが辞めたと相談を受けた時、本当は知っていたんだ」

「そ、そうすか…」

「すまない、野々原」

「そんな、大澤係長に謝ってもらうことじゃないですよ！」

確かに嘘を吐かれいてたのは事実かもしれないけど、色々事情もあったんだろう。

山田さんも、会社を辞めた理由を知られたくなさそうだったし。

だから腹も立たないし、むしろこの状況に申し訳なさすら感じる。

「野々原が山田さんのことを心配しているの知っていたのに、申し訳ない」

「事情もあったんでしょうし、本当に大丈夫ですから！」

「野々原」

「もしかして、今日はこれを言うために？」

「まぁ、うん」

「大澤係長…律儀ですね」

「そんなんじゃないよ」

俺がなにを言っても、大澤係長は終始申し訳なさそうにしていた。