居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

第九章

アボカドとチキンのサンドイッチと、同期の彼⑤

「野々原」

「ひぃ！」

急いで戻ろうとしていた矢先、背後から肩を叩かれて思わず過剰反応してしまった。

訝しげに眉を寄せる大澤係長に、謝罪する。

「今日、飲みに行かないか？」

「え！」

「やっぱり急過ぎるか」

「い、いえ！行きたいです！ぜひ！」

「そうか。よかった」

表情を和らげた大澤係長を見て、また声を出しそうになるのを必死で抑え込む。

飲みに誘われたこともそうだけど、大澤係長のこんな顔を見たのは、三年目にして初めてかもしれない。

ここ最近、妙に雰囲気が丸くなった気がするようなしないような。

なんにせよ、これはラッキー過ぎる。このタイミングで、大澤係長の方から誘ってもらえるなんて。この間の飲み会のことを詳しく聞ける。

この時俺は、山田さんが会社を辞めた真相を知れるかもしれないと、そればかりが頭の中を占めていた。

どうして大澤係長が俺を誘ったのか、そこまで考えが回らなかった。




「悪いな。急に誘ったりして」

「いえ、光栄です！」

「最近はどうだ？しばらくバタバタすることが続いたけど」

「出張も重なったし流石に少し疲れましたけど、その分勉強になったしなによりこうやして大澤係長に誘っていただけて、全部吹き飛びました」

「それはよかった」

やっぱり、雰囲気が変わった気がする。こんな風に柔らかく目を細めるような人ではなかった。

もしかして今日は、俺を労うために飲みに誘ってくれたんだろうか。

なんにせよお互いもう少し酒が入らなければ、この間の飲み会のことは聞けそうになかった。