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第八章
ポークチャップと、懐かしい思い出⑫
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ふと思い出しては悲しくなったり悔しくなったり、夢に出てくるくらいにはまだ昇華できてない気持ちもある。
だけど私は。
「やり返しません」
きっぱりと、彼の目を見ながら言いきった。
「もう私は、心の中からあの人達を追い出すって決めたんです。自分の未来のために」
「来未」
「やり返せたらスカッとするかもしれないけど、そうなるまでにまた戦わなくちゃいけないなんて嫌だし、面倒です」
「面倒…そうか」
「そう、だからもう捨てることにします。いつまでも根に持っていても、疲れそうなので」
「ははっ。来未って意外とサッパリしてるな」
そう口にする大澤係長は、なんだか楽しそうだった。
「俺は正直、アイツらをあの会社追い出すだけじゃ足りないくらいだけど」
「それは脳内でもうやりましたから」
「いいなそれ。俺もやるわ」
「ふふっ
私が笑うと、新太さんも嬉しそう笑うから胸がキュンと高鳴る。
「こんな風に思えるのは、新太さんのおかげです」
「俺?」
「私は一人じゃないんだなって思えるから。なにがあっても味方でいると言ってくれたこと、一生忘れません」
「来未…」
「私は本当に、幸せ者です」
「来未を見つけた、俺の方が幸せだ」
「フフッ、なにそれ」
「あんなヤツらのことなんか思い出すヒマもなくなるくらい、俺でいっぱいにするから」
「またかっこいいこと言ってる」
クスクス笑う私の頬っぺたを摘んで、そのままパクッと食べる動作をする。
「ちょっ、大澤係長っ」
「可愛いのが悪い」
そしてペロリと、舐められた。
「呼び方、戻ってる。敬語も」
「あ…」
「また練習する?あの最中なら、上手に言えてたし。な?」
ニーッて効果音がつきそうな笑顔を浮かべながら、新太さんはあっという間に私を組み敷いた。
「来未、好き」
「ず、ずるっ」
「ハハッ」
楽しげに喉を鳴らしながら、新太さんは私にキスをする。
結局そのまま私は、明け方近くまで寝かせてもらうことはできなかった。
だけど私は。
「やり返しません」
きっぱりと、彼の目を見ながら言いきった。
「もう私は、心の中からあの人達を追い出すって決めたんです。自分の未来のために」
「来未」
「やり返せたらスカッとするかもしれないけど、そうなるまでにまた戦わなくちゃいけないなんて嫌だし、面倒です」
「面倒…そうか」
「そう、だからもう捨てることにします。いつまでも根に持っていても、疲れそうなので」
「ははっ。来未って意外とサッパリしてるな」
そう口にする大澤係長は、なんだか楽しそうだった。
「俺は正直、アイツらをあの会社追い出すだけじゃ足りないくらいだけど」
「それは脳内でもうやりましたから」
「いいなそれ。俺もやるわ」
「ふふっ
私が笑うと、新太さんも嬉しそう笑うから胸がキュンと高鳴る。
「こんな風に思えるのは、新太さんのおかげです」
「俺?」
「私は一人じゃないんだなって思えるから。なにがあっても味方でいると言ってくれたこと、一生忘れません」
「来未…」
「私は本当に、幸せ者です」
「来未を見つけた、俺の方が幸せだ」
「フフッ、なにそれ」
「あんなヤツらのことなんか思い出すヒマもなくなるくらい、俺でいっぱいにするから」
「またかっこいいこと言ってる」
クスクス笑う私の頬っぺたを摘んで、そのままパクッと食べる動作をする。
「ちょっ、大澤係長っ」
「可愛いのが悪い」
そしてペロリと、舐められた。
「呼び方、戻ってる。敬語も」
「あ…」
「また練習する?あの最中なら、上手に言えてたし。な?」
ニーッて効果音がつきそうな笑顔を浮かべながら、新太さんはあっという間に私を組み敷いた。
「来未、好き」
「ず、ずるっ」
「ハハッ」
楽しげに喉を鳴らしながら、新太さんは私にキスをする。
結局そのまま私は、明け方近くまで寝かせてもらうことはできなかった。
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