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第七章
鮭茶漬けと、諸悪の根源②
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(彼女が言う、三ノ宮はどれだ)
何度か関わりはあるが、ハッキリ顔を覚えていない。
飲み会の雰囲気を壊さない程度に相槌を打ちつつ、視線だけを彷徨わせる。
今日参加したのは、これが目的と言っても過言ではなかった。
このタイミングでの庶務課との合同飲み会は、目に見えないなにかが俺に「三ノ宮を探せ」と言っているようにしか思えない。
幸い俺が無愛想なのは周知の事実のようなものだし、険しい顔で無言でいようと誰も気に留めていない。
時折気を遣って話しかけてくる営業部の連中と、仕事の延長のような会話をするだけ。
「三ノ宮さん、次なに飲みますか?」
俺から少し離れた斜め向かいの位置から聞こえてきた声に、神経がピリッと尖る。
なんとなくの目星はついていたが、顔がうろ覚えでいまいち自信がなかった。
やはり、あの女が三ノ宮で間違いない。
瞬間、酔ったフリでもして殴りかかってやろうかという衝動にかられる。
それをなんとか理性で押さえつけながら、露骨にならない程度に神経だけをそちらに集中させた。
「日本酒いこうかなぁ。この銘柄、私好きなんだよね」
「三ノ宮さん日本酒いける口っすか?カッコいいっすね!」
「そう?ただ好きなだけだから」
「今度、おすすめの居酒屋とか教えてくださいよ」
「おすすめかぁ。私適当だからなぁ」
三ノ宮の隣に座る営業部のヤツは、あからさまに彼女に好意があるように見える。
そんな男に媚びるでも嫌な顔をするでもなく、凛とした態度で交わしながら周囲にいる女子社員と談笑を続けていた。
どう見ても、人望の厚い頼りになるベテランという雰囲気。男からよりも、女受けの方がよさそうなタイプ。
確かに、一見陰で人を虐める陰湿な女には見えない。
が。俺にとってそう見えるか見えないかなんて、どうだっていいことだ。
山田さんの努力を踏みにじり、彼女の心に深い傷をつけた。
あんなにもいじらしい真面目な子を泣かせる女は、碌でもない。
側から見れば、俺が山田さんのことを好きだから盲信しているだけに見えるかもしれない。
(別に、それでもいい)
彼女は絶対に、嘘など吐かない。
何度か関わりはあるが、ハッキリ顔を覚えていない。
飲み会の雰囲気を壊さない程度に相槌を打ちつつ、視線だけを彷徨わせる。
今日参加したのは、これが目的と言っても過言ではなかった。
このタイミングでの庶務課との合同飲み会は、目に見えないなにかが俺に「三ノ宮を探せ」と言っているようにしか思えない。
幸い俺が無愛想なのは周知の事実のようなものだし、険しい顔で無言でいようと誰も気に留めていない。
時折気を遣って話しかけてくる営業部の連中と、仕事の延長のような会話をするだけ。
「三ノ宮さん、次なに飲みますか?」
俺から少し離れた斜め向かいの位置から聞こえてきた声に、神経がピリッと尖る。
なんとなくの目星はついていたが、顔がうろ覚えでいまいち自信がなかった。
やはり、あの女が三ノ宮で間違いない。
瞬間、酔ったフリでもして殴りかかってやろうかという衝動にかられる。
それをなんとか理性で押さえつけながら、露骨にならない程度に神経だけをそちらに集中させた。
「日本酒いこうかなぁ。この銘柄、私好きなんだよね」
「三ノ宮さん日本酒いける口っすか?カッコいいっすね!」
「そう?ただ好きなだけだから」
「今度、おすすめの居酒屋とか教えてくださいよ」
「おすすめかぁ。私適当だからなぁ」
三ノ宮の隣に座る営業部のヤツは、あからさまに彼女に好意があるように見える。
そんな男に媚びるでも嫌な顔をするでもなく、凛とした態度で交わしながら周囲にいる女子社員と談笑を続けていた。
どう見ても、人望の厚い頼りになるベテランという雰囲気。男からよりも、女受けの方がよさそうなタイプ。
確かに、一見陰で人を虐める陰湿な女には見えない。
が。俺にとってそう見えるか見えないかなんて、どうだっていいことだ。
山田さんの努力を踏みにじり、彼女の心に深い傷をつけた。
あんなにもいじらしい真面目な子を泣かせる女は、碌でもない。
側から見れば、俺が山田さんのことを好きだから盲信しているだけに見えるかもしれない。
(別に、それでもいい)
彼女は絶対に、嘘など吐かない。
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