居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

清澄 セイ

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第六章

お洒落なランチと、あの人⑧

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大澤係長は、なにがあっても私の味方だと言ってくれた。

庶務課で一人歯を食いしばって仕事をしていた自分を思い出して、泣きそうになる。あの言葉がどれだけ嬉しかったか。


大澤係長の顔を思い出すたびに、胸の奥がギューッと締めつけられる。

なにもかも忘れて、今すぐ「私もあなたのことが好きです」って叫んで抱きつきたい。

だけど、それはできない。

私を好きだと言ってくれる大澤係長の言葉や気持ちを、疑うわけじゃない。

これは、私の問題なんだ。

劣等感や情けなさを抱えたまま大澤係長の胸に飛び込んだとしても、いつかまた私は彼を傷つけてしまう。

ーー私、ここを出ていこうと思うんです

気を遣うフリをして、私は自分を守ってしまった。

後で傷つかないように、先に自分の価値を決めた。

(もう二度と、あんなことしない)

背筋をしゃんと伸ばして、堂々と彼の隣に立てるように。

三ノ宮さんとのことに、自分自身でケリをつけなくちゃいけない。

「…」

色んな感情が頭をグルグル回って、中々寝つけない。

何回も寝返りを打っていると小さな物音がして、大澤係長が帰ってきたんだと気づいた。

もう日付も変わりそうだし、今私が出て行ったらゆっくりできないかもしれない。

…でも。

少しだけでいいから、顔が見たいと思う。

「お帰りなさい、お疲れ様でした」

そっと部屋のドアを開けて、脅かさないようなるべく控えめに声をかけた。

振り向いた大澤係長は少し目を丸くしてたけど、すぐに表情をフワッと緩めてくれる。

彼を好きだという気持ちが溢れ出して、胸がギュウッと苦しくなった。
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