居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

第六章

お洒落なランチと、あの人⑦

やえちゃんがいなかったら、私はどうなっていたんだろう。あのまま言われっぱなしで、家に帰ってからまた一人で泣いていたかもしれない。

（今は、一人じゃないんだ）

大澤係長はきっと、私を慰めてくれると思う。泣いたら涙を拭ってくれるだろうし、愚痴をこぼせば幾らでも聞いてくれる。

だけど、そんなのダメだ。こんな時だけ都合よく頼るなんてできない。

帰るまでにはちゃんと表情を整えておこうと、自分の頬っぺたを摘んだ。

それからやえちゃんは、三ノ宮さんとの話を無理に聞こうとしなかった。

「来未が話したくなったら、いつでも聞くから」

明るくそう言って、それ以降は全然違う話題で私を笑わせてくれて。

やえちゃんに改めて感謝しながら、ふとした瞬間に表情が沈んでしまわないよう、気を引き締めた。




ーー今日遅くなるから、先に寝てて

今朝家を出る時に、大澤係長の言っていたことを思い出す。

私と違って、彼は忙しい。

ご飯もいらないと言ってたから、今日の夜は適当に残り物を温めて食べる。小さめのダイニングテーブルに、一人分の食事を並べた。

私は、私の作るご飯が好きだ。それなのに今日は、あまり味がしないような気がする。

お母さんが病気で天国に行ってからはずっと、一人で食べていたはずなのに。

どうしてこんなに、寂しいと思ってしまうんだろう。

（大澤係長、早く帰ってこないかな）

なんて。

彼女でもない私に、そんなことを思う権利ないのに。